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経営者の孤独、実は最高の贈り物 - カントが教える逆転の発想

頭上の星空と、我が内なる道徳法則

皆さんには、こんな経験はないでしょうか?

夜遅くまでオフィスに残り、明日の戦略を考えていると、ふと窓の外に目をやる。そこには美しい星空が広がっています。
でも、その星空を見上げながら、ふと孤独を感じる瞬間・・・。

カントという哲学者は、「頭上の星空と、我が内なる道徳法則」という有名な言葉を残しました。

ここに、我々がそれについて長い時をかけて思念を重ねていくごとに、以前にも増して新たな感嘆と畏敬の念をもって我々の心を満たし続ける二つのものがある。

それは、我が上なる星空と、我が内なる道徳律である。

私は、いまやこの二つのものを暗黒の内に閉ざされたものとして、あるいは、超越的なものの内に隠されたものとして、その存在を私の意識の外に求め、それについてただ不確かな当て推量をするだけにとどまることを要しない。

カント『実践理性批判』

カントは、広大な宇宙(頭上の星空)と、人間の内なる良心(心の中の道徳法則)を並べて語ることで、人間の存在の神秘と崇高さを表現しました。
つまり、私たちは物理的には小さな存在でも、内面には無限の可能性と道徳性を秘めているという洞察です。

今日はカントの言葉をちょっとひねって、皆さんにこう問いかけたいと思います。
「あなたが見上げている星空は、他の誰かの地面なのでは?」と。

「経営者の孤独」の正体は何か?

経営者の孤独は、よく語られるテーマです。
でも、その孤独の正体って何でしょう?

それは、「誰も自分の星空を見上げてくれない」という感覚かもしれません。

毎日必死で考えているビジョンや戦略。それは確かにキラキラと輝く星空のようです。
でも、従業員たちにとっては、それが足元の「地面」になっているんです。
だからだれも、その「星空」を見上げようともしない・・・。

ここでカントの知恵を借りましょう。
彼は「物自体」と「現象」を区別しました。
つまり、物事には「本当の姿」と「見え方」があるというわけです。

経営者である「あなた」が見ている世界と、従業員が見ている世界は違います。
でも、どちらが正しいわけでもありません。
大切なのは、その「違い」に気づくことなんです。

星空も地面も、結局は同じ世界の一部

さあ、ここからが本題です。

経営者の孤独を解消する秘訣は、自分の「星空」を従業員の「地面」につなげること。
言い換えれば、あなたのビジョンを、従業員の日々の仕事にどう落とし込むか。それが鍵になります。

カントは「啓蒙」を重視しました。つまり、
人々が自分の頭で考えられるようになること。
経営者の役割も同じかもしれません。

従業員一人一人が、自分で考え、行動できるようになること。
それこそが、孤独な夜空に、にぎやかな笑い声を響かせる方法なのです。

哲学って、難しいことを言うイメージがありますよね。
でも実は、哲学とは世の中の「当たり前」を疑う営みなんです。

経営者の皆さんも同じですよね?
今までの「当たり前」を疑い、新しい価値を生み出す。そう、皆さんはもう立派な哲学者なんです。

だから、こう考えてみてはどうでしょう。

星空も地面も、結局は同じ世界の一部。
あなたの孤独な夜空は、きっと誰かの大切な地面。


だったら、その地面の上で踊る人たちの笑顔を想像してみるのも、悪くないかもしれません。


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