「女性活躍推進」とかもうやめない?その価値観が闇を深くする
僕は「女性のライフキャリアを豊かにする仕組みをつくる」をミッションにする会社で働いています。
なので日頃から色々と考えるわけですが、
「日本では男性が活躍しているが、女性が活躍していない。」
「だから女性はもっと活躍すべし。女性をもっと活用すべし。」
という話はおかしいなぁといつも思っています。
「女性活躍推進」とか「女性活用」という言葉は、そろそろ使うのをやめた方がいいと考えています。
女性は「活躍」していない?
そもそも「女性活躍を推進しよう!」というメッセージは、暗に、今日の日本社会では女性が活躍していないということを前提にしています。
でも、例えば「専業主婦」と呼ばれる女性を例にとって考えてみると、
家族のご飯を作って、
家を掃除して、
家族全員分の洗濯をして、
子どもたちに絵本を読んで、
寝かしつけをして、
…というのを一日フルパワーでやっていたら、それはどう考えても「活躍」していますよね(笑)
だから、「活躍」という言葉を20世紀の資本主義的な意味合いに限定し、「企業に労働力を提供すること」「高い社会的地位に就くこと」と考えるのはナンセンス。
(もしそのような定義と捉えると、政府が推進している「男性も育休を取ろう!」という政策が成功すればするほど、「男性”不活躍”社会」になってしまいます。)
そうではないのです。
高いエネルギーをもって活動していれば、その舞台がどこであろうと、その人は紛れもなく「活躍」しています。
だから、「女性活躍推進」みたいな言葉は的を射ていない感じがします。
「いや、みんなもう活躍してますよ」と(笑)
男性も女性も、みんな活躍しているんです。
とすると、
日本で男性が活躍しているが、女性が活躍していない
→だから「女性はもっと活躍すべし」「女性をもっと活用すべし」
という課題設定はおかしい。
もっと言うと、日本の一般的な現状(男性は職場で頑張り、女性は家庭で頑張る)を見て、
「おー、男性は活躍しているのに、女性は活躍していないなぁ」
と捉えるその価値観こそが、昨今の日本のジェンダーに関する問題の根本要因(=闇の原因)なのではないかとすら思ってしまいます。
そういう価値観から脱却しない限り、話が前に進まない気がするのです。
問題は「活躍の『場』に偏りがあり過ぎること」
では、女性の「活躍」について、何が問題なのでしょうか?
結論を言うと、問題の本質は
性別によって、活躍の『場』にあまりに偏りがある
ということです。
すなわち、
男女の活躍の「場」がもっとシャッフルされれば、
家庭・職場・社会に大きなプラスの効果がある
とも言えます。
今日の日本社会の一般論で言うと、
・家庭の中で活躍している人の多くは、女性
・民間企業や政治の世界で活躍している人の多くは、男性
そんな社会に生きる僕たちが目指すべきは、
・家庭の中で活躍する男性がもっと増えること
・民間企業や政治の世界で活躍する女性がもっと増えること
ではないでしょうか?
男女の活躍の『場』を、もっともっとシャッフルするのです。
男性が家庭の中で活躍することが家族に与えるポジティブな影響は、計り知れません。
また、女性が民間企業や政治の世界で活躍することが社会に与えるポジティブな影響も、計り知れないといえます。
場のシャッフルと「セルフ=リロケーション」
社会全体から見れば、この「場」のシャッフルこそが、最重要な課題です。
言い換えると、活躍の場の「再配置(リロケーション)」が、僕たちの解くべき課題なのかもしれません。
ただ、ここでの再配置(リロケーション)は、僕たちが将棋の駒のようになって、「誰かに動かしてもらう(=リロケーションされる)」のを待っているのでは面白くありません。
そうではなく、サッカーやバスケットの選手たちがフィールドを自由に駆け回るように、自分たちの意志で、これまで踏み入れていなかったスペースで活躍しようとする方が、よっぽど面白いはずです。
自らの意志による再配置、すなわち「セルフ=リロケーション」がキーワードになるとよいなぁと思います。
まとめ
・「活躍」という言葉を「企業に労働力を提供すること」「高い社会的地位に就くこと」と考えるのはナンセンス。
・そのため、「日本では男性が活躍しているが、女性が活躍していない。だから女性はもっと活躍すべし、女性をもっと活用すべし」という課題設定はおかしい。
・問題の本質は「性別によって、活躍の『場』にあまりに偏りがある」ということ。男女の活躍の『場』がもっとシャッフルされれば、家庭にも職場にも、社会にもプラスの効果がある。
・活躍の場の「再配置(リロケーション)」こそが、僕たちの解くべき課題である。特に、自らの意志による再配置、すなわち「セルフ=リロケーション」が「女性活躍推進」に代わるキーワードになるべき。
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