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上質紙チャレンジ - ①用紙選定

こんにちは。先日、お客様からこんな相談がありました。

商品カタログで写真を綺麗に出したいけど、塗工紙の光沢が嫌だ。マットコート紙の塗工ですら気になるので使いたくない。かつ、価格は安価なものがいいから、上質紙で印刷をしたい。色が沈むことは分かっているけど、最大限綺麗に印刷をして欲しい。

当初は、カタログで写真が多いデザインになるので、当然塗工紙を提案しました。しかし、アート紙・コート紙に特有の光沢感を完全に排除したいとのこと。一瞬、私の中でマットコート紙+マットニスでの印刷方法も浮かびましたが、費用が高くなるので、これは脳内で却下。ここで完全に開き直り、「上質紙の印刷仕上がりの悪さをどこまで綺麗にできるか?これ以上再現できない所まで持っていくためにどうしたらいいか?」という方針に切り替え、そのための選択肢を色々考えてみることにしました。

※これから何回かにわたって、投稿していきます。もしこれをご覧の業界の方がいらっしゃたら、ご意見やアドバイス等頂戴できますと幸いです。


①用紙選定 - 上質紙の中でもどの紙を使ったらいいのか?

まず用紙選定から考えます。当社の設備は油性オフセット印刷機なので、ドライダウンが発生する前提で考えなければならない。であれば、なるべく色が沈まない上質紙は何か?というところからスタートしました。

オペレーターの見解は「白色度が高い紙を使った方が良いのでは」と。ということで、各社さんwebサイトの商品ページや、各地の洋紙卸商さんのwebサイトを調べてみました。

代表的な上質紙をまとめてみました

ざっとこんな感じです。インターネット上の情報でしか拾えていないので、詳しくは紙屋さんにも確認する必要がありますが、白色度の高さが綺麗な印刷と結びつくならば、日本製紙さんのnpi上質が候補に上がってきました。また、北越コーポレーションさんは特段情報を得られませんでした。

そもそもなぜ白色度が高い紙が良いのかというと、その分印刷物が明るくなるからです。インキの地となる紙が明るければ明るいほど、当然明るく見えます。自分の感覚的には、ディスプレイのバックモニターライトのような感覚です。

ただし、今時点での自分の仮説では、白色度の高さはもちろんですが、いわゆる紙の「平滑性」も関係があると思っています。これは、紙の肌合い(凸凹)が無ければ無いほど、つまり平坦でツルツルな紙ほど、印刷インキが紙に染み込みにくく、綺麗な表現ができるからです。アート紙・コート紙は、紙の繊維間への色んな材料を塗布し、この凸凹を無くしています。紙本来の風合いを消すことによって、印刷適正を高めているのです。

一方上質紙は、その塗布が無いために、紙の繊維間の隙間が多く、スカスカの状態です。顕微鏡で拡大して初めてわかる世界ですが、このスカスカにインキが染み込んでしまい、色が沈んでしまう、といった理屈です。

なので、この平滑性が高い紙も、候補に上がってくるはずだと思っています。ただし、自分1人の情報ではそこまで辿り着くことができず…。

実際、デザイン上でどんな写真が載っているのかにはよりますが、npi上質で本当に良いのか、次回はオペレーター・製版部門と検証したいと思います。

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