Youは何しにマカオへ?
インスタのストーリーやらツイッターやらnoteやらでマカオについて発信しまくっているので、「どうやらおーばやしは二か月マカオにいるらしい」という事は分かっていただけたと思う。そろそろ「分かった分かった。もういいよ…」という声も聞こえそうだが、そこは……無視していこう。
一応生存報告なので、死ぬまではやります笑
という事で、今までカジノなりクラブなりドリアンなり、遊び関連ばかり投稿し続け、noteを見た大学(日本)の助教にも「ちゃんと勉強しなさい」と言われ、Youは何しにマカオへ?って感じなので、その答えを今回は書こうと思う。今回は小難しい話が多いです…笑
IAESTE
多分大学になってから僕と関わっている人は、一度は僕自身かその周りからこの言葉を聞いたことがあると思う。これまでの投稿にも何度かこのワードが出ているため、一度きちんと紹介したいと思う。
IAESTEとは、怪しい宗教団体や意識他界系の団体ではなく、れっきとした海外インターン(理系)仲介NGO及びそのプログラムである。日本語名は「日本国際学生技術研修協会」と言い、事務局が巣鴨にある。世界80か国以上に支部があり、世界中の学生を各国に派遣している。
僕は今年度の日本人派遣生の一人で、名目上はインターンとしてマカオ大学に来ている。更に、IAESTEは生活費として給料が発生する、言わば有給インターンであるため、学ばせてもらっているのにお金をもらっている。
興味がある方は是非HPから情報を仕入れてほしい。
という事で、簡単に言うと僕は
マカオ大学で技術研修(研究)をしている
という表現が一番しっくりくる。というのも、研修が始まってから数日しかたっておらず、実験は来週からで、今は研究内容について勉強中。特に今日と明日はメンターのポスドクがマカオにいない為、やる事がない。何かあるかと聞いたら、「チップ詰めといて」との事。中国では学部生はあまり研究や深い知識の勉強をしないらしく、プライマー設計ができると言っただけでめちゃめちゃ驚かれた。正直少しナメられている感があるので、もっとコミットするためには自分からもっと動かないといけないなと思っている。(※追記:そう思っていたのだが…)
研究内容は簡単にいうと、微生物の防御システムに関わる分子機械(T6SS)についての研究である。T6SS(Type Ⅵ secretion system)は、宿主が毒素等のエフェクター分子を直接ターゲットの細胞内に輸送するシステムで、非常に複雑な分子機械と制御系の上に成り立っている。これが発見されたのは十数年前なので、分かっていない事が非常に多い。教科書にはほぼ載っていないため、論文や英語の資料を使って色々調べたが、「unclear」とか「unfound」とか生命科学系あるあるの単語がたくさんあった。教授がパワーポイントと論文をくれたのは非常にありがたかった。ポスドクの論文が2週間前に受理されたばっかりらしく、確かnature communicationって言ってた気がする。ホントだったら凄いかも。ちなみに上の写真に写っているのはそのポスドクである。盗撮してやった。
ちなみに、今僕はFaculty of Health Science(通称 FHS)という健康科学部みたいな所にいる。日本にいるときは「健康科学っていったら保健とか整体とか…?」みたいなイメージがあったが、実際に行ってみると生物医薬専攻と医薬学専攻があり、生物学×薬学の立派なバイオ系の学部だった。また、大学院(?)にはICMS(Institute of Chinese Medical Sciences)という中国医科学の専門もあり、これはSKL-QRCM(state key laboratory-quality research chinese medicine)という多分国家絡みの領域になっている。
よく分からんけど、なんかかっこいい。
という事で、別に遊びに来てるわけじゃないよ!って事が言いたいだけです!笑 ちゃんと勉強してますよ!
実は、来年ヨーロッパに行く事が決まりそうです…笑
詳細はまた今度。
再見!
※追記
もう少し詳しく研究内容について言うと、この研究室ではT6SSに関わる新しいエフェクター分子(タンパク質)を発見し、その性状などについて研究している。エフェクター分子はヌクレアーゼ活性を持っていて、ターゲットのDNAを直接破壊する作用を持つ。それに加え、これが自己に対して働かないようにある仕掛けを使っている事が分かった。(まだ多分論文がpublishedじゃないので一応隠します笑) この「ある仕掛け」に関わる遺伝子の1つに関してデータを取ってくるのが最初の仕事になりそう。遺伝子群を調べるとどのデータベースでもhypothesized geneとかになってたので、未解明だった遺伝子領域の機能が分かったってのもすごい。
T6SSについて知りたい人はこちらの文献や論文を参考にしてほしい↓
https://www.annualreviews.org/doi/10.1146/annurev-micro-121809-151619
Basler M, Pilhofer M, Henderson GP, Jensen GJ, Mekalanos JJ. Type VI secretion requires a dynamic contractile phage tail-like structure. Nature 483, 182-186 (2012).
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