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Eyja

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小説『Eyja』をまとめています。 どのように配置したら読みやすいかは検討中です。 noteのことまだよくわかっていません。
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Eyja #05

Eyja #05

 人類史上初めて、民選により女性が国家元首になったのが1980年。アイスランド第4代大統領のヴィグディス・フィンボガドゥティルは、モノクロの写真の中で英国初の女性首相、サッチャーと並んでいる。2人は完全に横並びで、共感が画角を律しているが、ヴィグディスのドレスはフォーマルを逸脱していてどこか演劇めいている。故アレキサンダー・マックイーンの仕掛けたコレクションの、そのランウェイの途中。1995AW「

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Eyja Girl #04

Eyja Girl #04

 比奈と喜八郎は『The Bermuda Triangle』の話もしたかもしれない。誇張や牽強付会さをそのまま受け入れ、割り切れない世界への揺らぐ想いを互いの瞳に認め、信頼を深めたかもしれない。2人は互いを尊重し、老いた惑星の地層のような親しみを重ねてきた。比奈と喜八郎の惑星のコアは既に重金属を生成している。『The Bermuda Triangle』について語り合っていたら。チャールズ・ベルリッ

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Eyja Girl #03

Eyja Girl #03

 「Hina-Hanaia-i-ka-Malama」の先頭の「ヒナ」は比奈の名前の由来で、ポリネシアでも最も古い神話に出てくる女神。その子は半神半人のマウイで、放埒な性格ながら現在でも愛されている。比奈が物心つく前から祖父喜八郎は繰り返しこの物語を語り聞かせてきた。兎が餅をついている、よりも先にまるい月には女神ヒナがカパ布を打っている姿が見えていたし、特に暗い部分はカパ布の材料となるバニヤンの木が

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Eyja twins #02

Eyja twins #02

 チャールズ・ベルリッツが22歳の記憶、西暦で言うと1937年。1937年の冬。アイスランドの南西沖で海底火山の噴火があった。世界大戦の合間に起こった奇跡のような出来事。チャールズ・ベルリッツはそう言っていた。そう言っているところを内側から見ていた。私はチャールズ・ベルリッツとしてそう口にしていた。当時新聞か何かで知った記憶を引っ張り出したのだ。チャールズ・ベルリッツが。私が。ウルトラブルカノ式の

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Eyja #01

Eyja #01

 誇大広告だけが生活の風景になる前の1974年、誇張だらけのオカルト本『The Bermuda Triangle』が出版され、世界的なベストセラーになった。著者とされるチャールズ・ベルリッツは謎の失踪を遂げており、死体は見つかっていない。最後の目撃者とされるフロリダの証券投資家は、明け方の海で自身のサロンクルーザーの甲板に中腰で立つ彼の姿を見た。半身だけ振り返った彼の右眼から何かが突き出ているのが

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