公立中学校で「卒業式のオンライン配信」を実施して
Zoom 卒業式オンライン配信のログ
配信のメタデータ
・配信開始日時 2020年3月13日 08:50 AM
・配信終了時刻 11:34 AM
・配信時間 2時間44分41秒
・参加者(のべ) 257ユーザー
ログの事後分析によれば,
・アクティブユーザー数(AU):101ユーザー
・アクティブユーザー平均滞在時間:52分47秒
(卒業式の時間:1時間28分)
ということで,AUも滞在もなかなか好成績だったのではないでしょうか。
動画配信の手答え
3月17日(火)時点では追跡調査をしていないので,確かなことは分かっていませんが,端末ごとの視聴者数が1人よりも多かったと考えれば,在校生の人数(150人)に迫る人数が参加したことが考えられます。
また,視聴場所のロケーション・ログから,遠方(市町村外・県外)からのアクセスが複数記録されており,休校期間中に遠方の親戚宅や外出先からのアクセスがあったとも考えられます。
また,会場内から登壇者の表情を手元で確認するためにアクセスした方もいらっしゃったようです。
学校側の了承が得れれれば追跡調査をしたいところですが,どうやら予想を上回るアクセス数,アクセス場所,視聴シーンがあったようです。
オンライン配信の課題
1. 教師の意識
Zoom の利用に限ったことではないのですが,教育現場におけるICTへの苦手意識は平均的に見ても大きいと思います。
「今回は『特別な事態なので』オンライン配信を実施します」
「無償提供されたから実施できた」
というように,理由にこだわったり,今回限りだと印象付けようとしたりする現場(意思決定者)の姿勢も問題なのかもしれません。
確かに,今回のような休校措置がなければ,在校生に対するオンライン配信は必要ありません。
しかし,「遠方からの視聴者」や「会場から登壇者の表情を見た参加者」の存在のような,多様なニーズに目を向ければ,平常時においてもオンライン配信の意義を見出すことは出来ます。
教師の知識不足や経験不足が苦手意識を助長させ,ICTによって提供できるサービスを実現しないでおくことを,私は非常にナンセンスだと思います。
2. 技術の共有
Zoom のアプリケーション自体は非常に軽量で,回線に対する負担も少ないため,事前の接続確認でビデオ配信を体験された先生の中には,このシステムの有益性を実感している方もいました。
一方で,短期間で構築した安定性の高い配信システムは,端から見ている方には「大変そう」との印象を与えてしまったようです。
この問題の解消には,より軽量なシステム(通常のZoomアカウントを使い,学習者用タブレットのみで構築した環境)で,先生自身が使う体験を通じた技術共有をしなければならないと思います。
オンライン朝学活,授業,学年集会など,休校措置の実施期間にニーズが高まるシーンでの活用,個別支援における利用,テレワークなど,実現できればいいなと考えています。
「卒業式のオンライン配信」で得た経験をつなぐ
課題は残れど,「卒業式のオンライ配信」の実現には,現場の先生,生徒,保護者の多くの方々に関わっていただくことが必要不可欠でした。
「思い出に残る卒業式をみんなで」
予告動画に残したコピーのように,参加者がそれぞれの視点でこの企画にチャレンジした経験を,今回限りのものとするのは,もったいないことだと思います。
次に何ができるか…。考えるだけで,ワクワクします✨😆