HR・採用サービスの変遷をおおざっくりと。
どうもこんにちは。IT企業のHR事業部門にて、顧客の主に採用活動の生産性UP支援の仕事をしており、その一環として求人広告制作のディレクターや、組織開発のコンサルタント、様々なHRテーマでのワークショップのファシリテーターなどが具体的な仕事内容です。
特に文献などを調べたわけではないのですが、最近、リクルートの創業時代をさらに知るために「心理学的経営」「江副浩正」を読み進めたりする中で、「HRのサービスの歴史って、いろいろ変遷があるんだなー」と感じたので、個人的に少しだけ変遷を振返ってみようと思います。
▼縁故的な採用時代
故江副さんがリクルートの創業事業を立ち上げた時、大学生の就職は、通っている大学の教授などから「あの会社の人と知り合いだから、あの会社に入れてもらえ」とか、もっと言うと多分、親戚のおっちゃんとかおばちゃんとかがいて「親戚なんだから、あの会社入れるよ」的な縁故採用がたくさんあったのだろうと思います。(今も縁故採用行われているケースあると思いますが)
そうなると、生まれた家とか、入った大学・研究室がほぼ就職先を決定するカギとなってしまって【職探しをする大学生側】からすると、その枠内に入れなかった瞬間に望む就職先に入れないという機会損失が起きるという不が存在することになります。
一方【大学生を採用したい企業側】からすると、どれだけ事業を成長させて組織を大きくしていきたくても、自社に関係する学生がいない時点で、優秀でやる気があって自社に合うかもしれない学生を採用する機会を得られないという不が存在しちゃいます。
というわけで、その不を解消するために、それまでのバックグラウンドや人脈や置かれた環境に依らず「学生が、いろいろな企業を見て比べて選べる状態」と「企業が、健全に他社より良い事業・会社づくりをしていないと選ばれない状態」を作って、採用活動市場を形成した。そういう言い方もできるのかなと思います。
江副さんは実は「求人広告とは」というタイトルで、求人広告が担う機能・使命を10か条にまとめていらっしゃったそうです。
(全部詳しくソラで書けないのですが)求人広告とは【産業を育てるものである】という役割まで唱えられています。なぜなら、求人広告を各社フェアに掲載され学生に選ばれるためには、それまでのように「繋がりがあるから入社してくれる」という事は無くなり、自社を健全に育てないといけないので、結果、各社が競い合うことを通じて、その産業そのものが育っていくということまでをスコープしていたことになります。
▼就職サイトが出来た後
それまで縁故採用的な面も強かったであろう時代から、少なくとも、どの家の、どの大学の出身であっても、自由に就職先を選んでチャレンジすることが可能になったと言えます。今の時代となっては良い言い方ではまったくないですが、それまでの状況から比べれば、せめて学歴くらいは見てもらえるようになった、と言えるのかもしれません。(それまでが、特定の研究室にいないと採用されなかったことに比べてマシだろうという意味で)
しかし当然、今度は学歴だけで決まるんかい、という話になり、今度は「学歴だけに頼らず、より学生と企業がマッチしてほしい」という意図から「適性検査の結果」も、採用の基準として活用されていくことになります。(もちろん、数の都合上、面接の前にそのような基準を活用せざる得ないという話であって、最終的な採用基準は「会ってみて一緒に働いてみたいか」というところだろうと思います)
ここまでを軽くまとめると、採用のされ方が
【縁故的な繋がりがあるか否か→学歴が合うか否か→適性検査結果が合うかどうか】
みたいな変遷になっているのかなと。人を「学歴やテストの結果だけで判断はできないし、さらに言うなら、数時間面接で話しただけで、その人を分かりきることも出来ないし」という前提ですが。(そもそも人と人は分かり合えないよね、という話も好きですが、ここでは一旦置いておくとして)
▼就職サイトが一般化した後
僕も2013年卒なので、この時期に就職活動をしていた人です。この時期には「インターンシップ」が徐々に一般化してきて(昔から存在はしていたのだろうと思いますが)就職サイト上だけで、企業と学生がコミュニケーションを取るのではなく、実際に会って一緒に仕事をして、選び合うというフェーズが市場に広がったと思います。
自分も大学3年生の時に初めて就活っぽいことをやったのが、ユニクロのインターンシップでした。服屋の店員くらいのイメージしかなかった会社に対して「店長は、数億円の売上や顧客満足を作る経営者なんだ!」とか、事業や仕事の理解が進んで就職活動がしやすくなったことを覚えています。
さらにここから先、「学生を人として、もっと理解するためには」「企業を、もっと理解するためには」「その理解を、学生と企業がさらに擦り合わせていくためには」という視点で、様々なソリューションやサービスが増えていった事は周知の事実かなと思います。
さらに直近では、求人に限らず販促領域も含め「WEB上での行動が、その人を理解するのに役立つ」という考えのもとサービスやサービス機能が増えていき、一方で、世界的に個人情報保護の機運も高まり、そのバランスの取り方が議論を巻き起こしています。
どこまで行っても「そのヒトらしさや、その企業らしさを、互いに理解・共感し合えるか?」という基準が重要であることに変わりはないと思いますが、それを実現する手法が今後もいろいろと変化・進化していくのだろうと思います。
▼個人的には、ラベリングしやすいデータの変数としてのそのヒトらしさも参考情報にして効率を高めることは重要でありつつも、ラベルだけでは見えてこないそのヒトらしさ・企業らしさも、スムーズに共有しあえるような世界観が大切かなと感じます。限られた時間で、より良い就業・採用を行うための努力は絶えず大切にしたいですね。
ざっっくりですが今回は以上です。
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