第1章 心の奥に押し込んだ自分を許してあげる
お釈迦様みたいになりたい!?
私にも、ずっと自分を責めてきた時期があります。
こんな人生になったのは全部、自分がダメな人間で
価値がない人間で、世の中に必要とされない人間で
だからこんなに苦しいんだと、そう信じて、
先の見えない暗いトンネルをひたすら彷徨い続けた時期が
長いことありました。
今度こそ! 今度こそ幸せになるんだ!
と気持ちを入れ直しても、
びっくりするくらい新たな大きな壁がまた目の前に現れる。
乗り越えても乗り越えても壁のない道はなくて、
もう永遠に幸せになんかなれないんじゃないかと、
自分を責めてばかりの毎日がありました。
いろいろな本を読んでみたり、占いに頼ってみたり、
幸せになれそうなことをいろいろ試してみるけれど、
一向に望むような幸せは訪れなくて、
ただただもがき続けたある日、ふと思ったんです。
「お釈迦様みたいになりたい」と。
これ、本気で思ったんですけどね(笑)
その時の私は、
お釈迦様のように何をされても人を許すことができたら
生きていくのが楽になると思ったんです。
人から裏切られても、どんなつらい出来事が起きても、
それを受け入れ、許せるくらいの人になれたら、
もう傷つくことも悲しむこともなくなるんじゃないか?
そんなふうに思ったわけです。
15年くらい前の話ですが、実の父親に見放され、
それまでも波乱な経験は散々してきたけれど、
本来味方でいてくれるはずの父親にさえも裏切られた時は、
さすがにショックがなかなか消えずに、
それまでにないくらいの人間不信になったのですが、
そうして人生を嘆き続けた先に見出したのが
「お釈迦様みたいになる」だったわけです。
人に話すと、一瞬きょとんとされるのですが(笑)
そのくらい達観した自分になれたら、
もう傷つかずに済むんじゃないかと思ったんですね。
たとえ人から何をされても、
「あなたを許します」と言えるくらいの自分になれたら、
もっと言うと、
裏切った相手にさえも幸せを願えるくらいの自分になれたら、
きっと人生が変わるのだろうと行動を起こした瞬間から、
じつは私の人生が大きく動き出しました。
そこから出会いが変わり、
今まで蓋をし続けてきた自分自身と激しく向き合う日々を過ごし、
そして15年後、やりたかったことを自分のために叶えられる私に
仕上がりました。
でも、最終的に到達した本当に大切なことは、
じつは、「傷つけた相手を許せる自分になること」でも
「裏切った相手を許せるくらい達観した自分になる」でもなくて、
「どんな時も自分自身を許してあげること」でした。
あなたのことをずっとそばで見てくれていた人
私が、自分と向き合って人生を大きく変えることができたのは、
私が強かったわけでも、運が良かったわけでも、
何か特別なことをしたわけでもありません。
ただただ
『自分を許してあげて、どんな時も自分が自分の味方でい続けた』
のです。
でも、それが簡単にできたら苦労はしないわけで、
頭ではわかっていても、ダメな自分を責めてしまうし、
自分を愛することも、
味方になることもそう簡単にはできないのが普通です。
なぜなら、子どもの頃から「もっと頑張りなさい」と
頑張ることを強いられてきたり、
「なんで、お前はそんなことができないんだ!」と責められてきたりして、
すべて自分が悪いからなんだと、
自分で自分を否定するクセがついてしまっているからです。
そうやって頑張ることを強要されていたら、
いつも頑張っている状態がデフォルトになってしまうし、
できない自分を責めることが当たり前になってしまう。
私もそうだったように……。
だからこそ、あなたの気持ちが私にはちょっぴりわかります。
あなたのその痛み、疲れてしまっているあなたの心、
あなたの孤独感、そしてあなたの頑張ってきた日々。
誰も味方がいないと、誰もわかってくれる人はいないと、
ずっとひとりで闘ってきたのだろうと思うのです。
それでも、優しいあなたは誰かのために自分を犠牲にして、
今日もまた頑張っているのかもしれません。
だけど、もう今日からは、
誰かのために自分を犠牲にしないという選択をしてほしいのです。
誰かのために我慢や無理をして、
あなたがあなたを殺してしまわないでほしいのです。
だって、あなたのことを大切に思っている人は、
あなたが我慢や無理をしてまで何かをしてほしいとは思わない。
いつもあなたには笑っていてほしいし、
自然体のままでいてほしいし、
好きなことをして楽しそうにしていてほしいと、
心からそう願っています。
会ったことはないかもしれないけれど、
この私だって、この本を手にとってくださったあなたには、
いつもそういてほしいと心から願っています。
そしてじつは、この世の誰よりも、世界中の誰よりも、
そんなふうにあなたが笑顔で幸せでいてくれることを
望んでいる人がいるんです。
それは、他でもないあなた自身。
あなたの奥にいる、
あなたがずっと心の奥に閉じ込めてきた本当のあなた自身が、
今も今までもずっと、
あなたに幸せでいてほしいと願っています。
理不尽なことで怒られて悔しくたまらなかった時も、
信じていた人に裏切られて悲しくてたまらなかった時も、
傷ついてボロボロになった時も、
あなたの心の奥にいつも味方でいてくれるあなたがいます。
あなたが頑張り続けた日々を、
いつも誰よりも一番そばで見ていてくれた人は、
他でもないあなた自身です。
ずっとあなたのことを見てくれていたあなたがいるんです。
そして、その奥にいるあなたは、
今この時も、あなたのことを見守り、応援してくれています。