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キャリアは一本道でないからこそ、輝けることがある

特別養護老人ホームにいる父への差し入れで、『ジャイアンツ90年史』という雑誌を買ってみました。父にプレゼントする前に少し自分で読んでいたら、92才になった廣岡達朗の記事がありました。
廣岡達朗は、現役時代は読売ジャイアンツのショートで活躍し、監督としてはヤクルトスワローズ、西武ライオンズをそれぞれリーグ優勝・日本一に導いています。
中学生のときに読んだ『監督』(海老沢泰久著)という小説の主人公「広岡達郎」は明らかに廣岡達朗のことで、とても印象的でした。
廣岡というと、選手を強制する「管理野球」というイメージがありますが、選手の健康管理やローテーションを守ることを大事にし、選手生命を長くしようと考えてくれる監督でもありました。自身が92歳で健在ですから、体で示していると言えるでしょう。
上司である川上哲治にお世辞の1つも言えない廣岡の不器用さが私は好きです。廣岡は川上との関係が悪化し、最終的にはジャイアンツを追われることになります。
一方で廣岡は、川上が野球に関して選手を差別しなかった点を認めています。「私をいじめてくれた川上さんには感謝しかない。」と言い、そしてこの雑誌への寄稿文の最後は「カワさん(川上哲治)に逢いたい。」で終わります。

ちなみに、「野村再生工場」と呼ばれ、他球団を戦力外になった選手を再活躍させた野村克也は、自身が南海を追われたことで、ヤクルトスワローズで監督として活躍し、チームを日本一に導くこととなりました。

廣岡達朗にジャイアンツ以外の選択肢がなかったら、野村克也に南海以外の選択肢がなかったら、これほど輝けなかっただろうと思います。キャリアが一本道でないからこそ、輝ける場合があります。公務員の世界を含めて転職は増えていますし、職は変わらなくてもさまざまな異動があります。それらに寛容な気持ちでいたいと思います。

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