同感でなく共感、シンパシーでなくエンパシー
小倉広著『すごい傾聴』(ダイヤモンド社)で、「同感でなく共感」という趣旨の内容があります。「同感とは『私もそう思います』ということであり、共感とは『あなたはそう思うのね』ということ」とあります。
相手と同じように感じなければならないとするとハードルが高いですが、相手を理解しようとする共感であれば、私にもできるのではないかと希望を持てます。
犯罪をしてしまった人に対して、同感はできないかもしれませんが、共感は可能です。
同感は、主語が「あなた」から「私」にすり替わってしまい、傾聴という面で有害な場合もあります。あなたの話を聴くはずが、私の話をしてしまうということです。相手の話を聴いているはずが、「分かります!私もこの前、同じようなことがあって…。」と自分の話を始めてしまったことはないでしょうか。
ブレディみかこ著『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮文庫)では、「シンパシー(sympathy)でなくエンパシー(empathy)」という趣旨の内容があります。シンパシーは、かわいそうな立場の人や問題を抱えた人、自分と似たような意見を持っている人に抱く感情のことですが、エンパシーは、「他人の靴を履いてみること」「自分とは違う立場の人々、自分と違う意見を持つ人々の気持ちを想像してみること」とあります。シンパシーは感情的状態、エンパシーは知的作業とも言っていて、エンパシーは上達可能であることも希望になります。
同感でなく共感、シンパシーでなくエンパシーをめざしていきたいです。