他力(ときどき自力も)で楽しむ読書#44
「『昔はよかった』病」パオロ・マッツァリーノ(新潮新書)
今はなき雑誌「新潮45」が好きで読んでいた時期があった。主に2000年代後期に特集されていた「現在と前の時代の事件やゴシップを同列に紹介する」シリーズが好きだったのでわくわくしながら読んでいた。そして編集長が交代してそういった特集は無くなり、代わりに連載のコラムやエッセイに興味は移り、炎上からの休刊までひととおり読んでいた。そんな連載物で好きだったのが、#34でも取り上げた「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。」のように単行本化されたものは良いのだけれど、大半の文章はどこに収録されているかは分からず。そんな中でもこちらも連載中から好きで、無事に単行本(新書)となったので入手。
元々この作者(プロフィールを信用するとイタリア生まれらしい)の文章が好きで、何冊かは手元に持っていて時折読み返す。この作品はタイトルから少々検討がつくように、「昔はよかった」と言われがちな事を当時の新聞や文献から客観的に判断するというもので、熱中症は明治時代からそれらしい症状があったり、女性が事件に巻き込まれたら「美人」かどうかが重要という身もふたもない現実にあちゃーと思ったりと今読んでみても興味深い内容が多く、まだまだこういったジャンルのものを読んでみたいと思ってしまった。
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