【創作】指輪のサイズを知る4の方法
【彼女 指輪 サイズ 知る方法】
検索バーにそう入力してタップする。
スクロールしながら画面に表示されたサイトを目で追う。
彼女と出会って半年経った今日、初めて彼女が僕の家に来ていた。
この次に彼女と会う日、僕は彼女へのプロポーズを決意していた。
彼女の全てを知っているつもりの僕だったが、残念ながら指輪のサイズまでは分からなかった。
プロポーズには指輪がないと話にならない。
指輪を贈るために彼女が僕の家に来ている今日、絶対に薬指のサイズを知る必要がある。
幸いにも彼女は今お風呂に入っていた。
なんとかその間にサイズを知る方法を見つけなければと僕は思っていた。
いくつかのサイトを吟味していると、ふとあるサイトが目に留まった。
【これならバレない!彼女の指輪のサイズを調べる4の方法】
リンクをクリックして記事を読み進めた。
これはダメだ。
口下手の僕は彼女と話す時に緊張してしまう。
情けないけど、いまだにまともに会話ができない。
それとなく指輪のサイズを聞き出すなんて僕には到底無理な話だ。
却下だ。
これもダメだ。
僕は彼女の友人と1人も親しくはない。
それどころか会ったことすらない。
それにきっと彼女は僕と付き合ってることを誰にも話していないと思う。
これも却下だ。
これも難しい。
前に彼女の使っていた物をいくつか貰ったことがあった。
けれどその中に指輪はなかった。
バイト帰りに突然家に来た今日も指輪なんてしていない。
これも却下。
これなら大丈夫かもしれない。
眠ったままの彼女なら指輪のサイズを簡単に測ることもできそうだ。
風呂場で寝ている彼女はそう易々と目を覚まさないだろう。
僕は紙テープを手に持って風呂場に向かった。
浴槽に横たわり眠っている彼女の左腕を持ちあげる。
ヒンヤリとした感触が僕の手に伝わる。
左手の薬指に紙テープをぐるりと巻いた。
案の定、彼女が目を覚ます気配は全くない。
「やっぱり4の方法が正解だったな」
彼女の指輪のサイズは分かった。
これで彼女にプロポーズできる。
彼女は永遠に僕のものだ。
彼女の濁った瞳がずっと僕を見つめていた。
おしまい
【本文:1189字】
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