新しいやり方を伝える方法(後編)
こんにちは😃コッシーと申します。
愛知県で介護事業を運営している会社の介護事業部の統括責任者をしております。
さてさて、今回は前回からの続きでございます。先に前回の記事をお読みいただけると幸いです。
【さらっと前回までのおさらい】
デイサービスの入浴介助のやり方に疑問を持った僕は、施設長に新しい入浴介助方法を提案するも、全く受け入れてもらえない。まずは現場を知ることが先決と入浴介助に入る事に決める。現場から見えた事とは?!そしてこの問題はどう解決できたのか?!
【現場から見えた事】
施設長からは嫌がられ、スタッフからは驚かれましたが、実際に入浴介助に入りました。
うちのデイサービスの入浴時間は基本的に9:30~11:30ごろまでの約2時間です。2時間で平均30名ほどのご利用者が入浴されます。外から見ていた時にも大変そうだなと思ってはいましたが、実際入浴介助に入ってみると、想像を遥かに超える大変さでした(笑)。
大きい声が飛び交う喧噪の中、最初の3日ほどはそれについていくのに必死で周りを見る余裕はありませんでしたが、4日を過ぎるあたりから一人ひとりの動きやどのように介助をしているかなど少しずつですが見えてきました。
結局2週間ほどしか入浴介助には入りませんでしたが、その中でいろいろと分かったことや確認できたことがありました。
【既存のやり方でも良いところがたくさんある】
まず着脱に関しては、ご利用者の自立支援を促すためにご利用者自身が出来ることは出来るだけ行ってもらってました。ですので、どうしても着脱には時間がかかってしまうため、同時に何人かご利用者の脱衣を行っており、それで裸で待機する方がいるという状況が作られてました。
また、裸で待機されてるご利用者に対して、「寒くない?」「もう少しです」「お手洗いは大丈夫?」など、頻回に声掛けを行っており決して裸のまま放っておいてるわけではありませんでした。
そして入浴前にバイタルを測定しており、その際に寒さを感じる方や少し風邪気味の方などは裸で待機させることなく、入浴を行っておりました。
上記の事は、おそらく入浴介助をやってみないと分からなかったと思います。外からだけだと問題に見える事柄でも実際には細かな配慮が行き届いておりそれを全く見ないで提案した僕に対する施設長の態度も理解が出来ました。
【既存のやり方×新たなやり方のハイブリットで考える】
ただ実際に現場に入ってみても問題と思える事はあって、例えば裸のご利用者を3人待機させることは、やはり3人目の方にとっては待ち時間が長すぎると思います。他にも入浴介助をマンツーマンで行うことは転倒リスクなどが懸念されます。
この問題を解決するには、やはりフリーに動ける入浴スタッフを1人配置することだと考えました。
フリーの入浴スタッフが脱衣を行うご利用者に少し手助けを行うことで、何人も同時に脱衣を行う必要がなく、裸待機の人数を減らす事が出来ます。また入浴介助時にもしも何かあった時にもすぐに駆け付ける事が出来ますし、何かある前に手助けが欲しい場合もすぐに行けます。
既存のやり方を理解した事で、全部のやり方を変えるのではなく、既存のやり方と新たなやり方を掛け合わせたカタチを取ることで、真の問題点を解決することができるのではないかと思えるようになりました。
【”同志”からの提案には耳を貸す】
このフリーの入浴スタッフを1人配置するという案は、僕が現場に入る前から提案していた事と大きな変更点はありません。しかし現場を体験した上での発言になるとその意味合いは大きく変わった様子で、施設長は今回の提案には耳を傾けてくれました。おそらく僕を同じ現場で働いた”同志”だと認識くれたのだと思います。
いろいろと話合った結果、この案を取り入れ、うちのデイサービスでは今もこのカタチで入浴介助を続けています。
【理解した上で提案する】
結局のところ今までと違う事や新しいやり方などを伝える場合は、今のやり方をきちんと理解した上で提案する事が大切だと思います。
自分たちがなぜこのやり方をしているのか、その歴史や苦悩などを知らないまま机上の空論をぶつけたとしても、現場に声が届くわけないと思います。
現場からは以上です。それではまた。
コッシー