【創作大賞感想】王道が1番難しくて1番素晴らしいのだ!
【大団円】、この言葉を一度は耳にされたことがあるのではないでしょうか。
映画や小説などの最後の場面で物語の全てが上手くいき素晴らしい結末を迎えることを言います。作者も読者もみんな幸せになるいわゆるハッピーエンドというヤツです。
ただ一方で人によってはこうしたハッピーエンドではなく、奇を衒った作品を好む人もいます。
僕は基本的にハッピーエンドの作品が好きですが、それでも一辺倒なよくあるめでたしめでたしの物語に物足りなさを感じることもあります。
そういう意味では今から紹介する作品はハッピーエンドの一丁目一番地にある大団円の王道とも言える作品だと思います。
とき子さんが書かれた【メリー・モナークin大原田】を拝読しました。
大原田家のお母さんに下された余命宣告。これにより家族それぞれの”人生の向き合い方”が変わっていきます。
妻の夢を蔑ろにして自分本位で生きてきた父が妻のために仕掛けたフラッシュ・モブの真意とは!?
夢を諦めた過去を持つ姉の花乃は数年ぶりに踊るフラダンスを通じて親友とのわだかまりを解くことはできるのか!?
空手バカだけど熱い想いを持つ弟の真咲は空手部の仲間たちとフラダンスを成功させることはできるのか!?
波乱万丈な大原田一家に加えて他にも魅力ある人物が多数登場するこの【メリー・モナークin大原田】ですが、物語は本当に見事な大団円を見せます。全ての伏線を回収し、誰も不幸にならないめでたしめでたしの結末でした。まさにハッピーエンドの王道中の王道だと思いました。
僕はここで前言撤回をさせていただきます。この作品は、
物足りなさなんてカケラもないくらい素晴らしかった!!!!
もうどの口で「一辺倒なよくあるめでたしめでたしの物語に物足りなさを感じる」なんて言えたなと自分で自分をしばき倒したいくらいです。
この作品は最初から最後まで物足りないどころかハラハラドキドキの連続で胸がギューンと熱くなってとにかく感情が激しく揺さぶられます。
一人一人の登場人物が本当に魅力的でその物語に思わず共感してしまう方も多いのではないかと思います。
大切な人を大切にしてこれなかった後悔を抱いた人もいるでしょう。
諦めた夢…だけどどうしても踏ん切りをつけられない人もいるでしょう。
親友とのわだかまりがあったり男だからと先入観をもったことなどなど……。
【メリー・モナークin大原田】の登場人物は決して特別なわけじゃなく、自分たちとなんら変わらない存在で、悩み苦しみそれでも頑張って生きているんだと思います。だから僕たちは彼らに感情移入をするし、この作品が自分の物語なんだと思ってしまうのです。
フラダンスが主軸となるこの物語ですが、僕はこれまでフラダンスとほとんど関わりがありませんでした。きっと僕みたいな人は多いんじゃないかと思います。
でも、そんなフラダンスの知識がなかった僕でも全く違和感なく文章を読み進めることができました。これはとき子さんがとても懇切丁寧に文章を紡いだからだと思います。
物語の終盤にフラダンスを踊る描写が出てきますが、そのシーンを頭の中で鮮明に思い描けたほどフラダンスのイメージを持つことができました(間違ってるかもしれないけど)。
note内ではエッセイストとして大活躍のとき子さん。そして今春から地元ラジオ局でDJとしてもデビューされました。
そんなマルチで活躍されているとき子さんは、創作もやっぱりすごかったです。むしろ創作こそが本業じゃないかと思ってしまうくらい素晴らしい作品でした。
この物語を拝読したあなたは感嘆の溜息を漏らすと同時にきっとYoutubeでこう検索するに違いありません。【メリーモナーク】と。
とき子先輩。
本当に素敵で心温まる作品をありがとうございました。
読んだ人の胸を熱くさせるドストレートの王道作品を書くのが1番難しく、そしてそういう作品が1番素晴らしいと思います。
やっぱすげえなー、とき子先輩は。
コッシー