LOVE AFFAIR 〜秘密のデート
「あら?あなたのフェイスシールドおしゃれね。」
「分かる?ヴィトンの新作よ」
本当にこんな時代くるとは思いませんでした。
こんにちは、コッシーです。
さて、うちの入居施設のオプションサービスで『外出同行』というサービスがあります。文字通り入居者の外出先に同行するサービスで、お一人での外出が不安な方などが利用されています。と言ってもほとんどの場合医療機関に同行するケースが多く、ご家族が用事で来れない場合があるため、その際にご家族の代わりに同行しています。
ちなみに介護保険サービスでも訪問介護で『外出同行』のサービスがありますが、病院内の同行はなぜか介護保険が適用できません。介護度が高い人ほど院内同行が必要だと思いますが、不思議なモノです。
話を戻します。
うちの入居者で院内同行以外の『外出同行』を頼まれる方は全くおらず、一緒に買い物行くよりも、代わりに買物に行ってもらう『買物代行』を頼まれる入居者がほとんどでした。
そんな中、Wさんという女性の入居者に買物に一緒に行って欲しいと言われました。Wさんは介護度も低く自分の事はほぼ自分で出来る自立に近い方で、もちろん買物も自分で行っていました。
そんなWさんから外出同行を頼まれるのは本当に意外で、その理由を伺うと、コロナによりしばらく外出しておらずストレスが溜まっているが、1人で外出するのが不安だという事でした。
そういう理由なら喜んで、というわけでWさんの外出に同行したわけです。
まず最初にパジャマを買いたいと言われたので『しまむら』に行きました。店内でパジャマを選んでいるWさんから話しかけられます。
「私はこういう派手な柄ではなくて落ち着いた柄が好きなの」
「へぇ~そうなんだね」
「ほらこの柄とか私に似合うと思わない?」
「確かに、よく似合ってるね」
「こちらも良いわね。あなたはどの柄が私に合うと思う?」
「ええと、そうだな…これなんかよく似合うと思うけど。」
「うん、いい柄ね。それ買うわ」
いや僕たち付き合ってるっけ!?と思うようなやり取りをし、しまむらでパジャマを購入しました。
次に向かったのはドラッグストアーでした。
Wさん後を僕がカート引きながら付いていきます。ティッシュやトイレットペーパーなどの日用品をカートに入れていきます。
そのお店は一部食品も売っており、必要な日用品をカートに入れたら次は食品ゾーンに突入です。
「あなたはプリンとか食べるの?」
「食べるよ」
「プリンとヨーグルトはどっちが好き?」
「どっちも好きだけどどちらかと言うとヨーグルトかな」
そんな会話をした後、Wさんがおもむろにヨーグルトを掴んでカートの中にひょいと入れ、僕に一言こう言いました。
「今日のお礼。後で渡すわ」
いや惚れてまうやろーー!!と思うようなやり取りをし、スーパーで日用品や食品を購入しました。
最後に喫茶店に行きたいと言いましたが、残念ながらうちの施設ではまだ外食を禁止しています。ただ一緒に外に出る機会なんてほとんど無いので、多分行ったことないであろうスタバに行きました。ドライブスルーでコーヒーとフラペチーノを買って帰りに車の中で一緒に飲みました。
「これ甘くて美味しいけど私には少し量が多いみたい。もうあげるわ」
「ありがとう。じゃあお口直しに僕のコーヒー飲む?」
「いただくわ。うん美味しい」
いやもうこれ完全に付き合ってるよね!?と思うようなやり取りをして施設に帰宅しWさんとのデートいや外出同行は終了しました。
久しぶりに外出ができて楽しかったのか、Wさんは以前よりも元気を取り戻した様子でした。
Wさんは僕とのデートいや外出同行がよほど楽しかったのか、他の入居者に嬉しそうにお話をされていました。
一緒に買い物をした話やコーヒーを飲んだ話、そして僕にネグリジェを選んでもらった話。
ネ、ネグリジェ!?!?
いやいやいや僕が選んだのは普通のパジャマであり、断じてネグリジェなんてハレンチなモノを選ぶわけありません!!だいたいネグリジェなんてしまむらに売ってないと思います!!
しかしそれを伝え聞いたスタッフたちから、「ネグリジェ責任者(笑)」という不名誉なあだ名をつけられ、Wさんに僕とのデートは秘密にしておいて欲しかったと深く思った次第です。
なんだよ、ネグリジェ責任者って(泣)
現場からは以上です。それではまた。
コッシー