【創作】月の調査員
月の色がおかしい、月の調査員のライトは数日前からそう思っていました。いつもは金色に輝いている月ですが、時々赤く染まることがありました。
「体調でも悪いのかなぁ」
ライトは月のことが心配でしたが、月の元へ行く手段がありませんでした。ライトは親友に相談することにしました。
「……というわけで君に月まで行って様子を見てきて欲しいんだ」
ライトは親友であるリュウにそうお願いをしました。リュウは星の配達員の仕事をしていて、いつも星から星まで荷物を運んでいます。リュウならば月までひとっ飛びです。
「えぇー、なんで僕がそんなことを。僕だって忙しいんだよ」
ライトからのお願いにリュウはプウと頬を膨らませてそう言いました。ライトはまぁまぁとリュウをなだめるとポケットからあるチケットを取り出しました。
「協力してくれたら君にこれをあげるよ」
「こ、これは!期間限定メニューの冥王パフェの予約チケットじゃないか!」
「フフフ、さてどうする?」
リュウはニヤリと笑うライトを憎たらしく思いましたが、冥王パフェの魅力には勝てません。
「分かったよ。月に行って様子を見てこればいいんだね」
「うん、頼んだよ!」
「お安い御用さ」
そう言ってリュウは瞬く間に宇宙へと駆けていきました。いくつもの惑星を超えてリュウは月に辿り着きました。月の様子を眺めるといつものように金色に光っていました。
「大丈夫かい?ライトが心配しているよ」
リュウは月にそう尋ねました。月はリュウの言葉に「大丈夫だよ!僕は元気さ!」と陽気に答えました。リュウは月の元気な様子を見てホッとしました。
「そうか、それなら良かった。じゃあライトにもそう言っておくね」
そう言ってリュウが立ち去ろうとした時です。ある星が月に声を掛けました。それは青々と美しく輝く地球でした。
「月さん、こんにちは。今日も綺麗ですね」
地球の声を聞いた月の表面は少しずつ赤みを帯びていきました。
「あ、ありがとう地球さん!き、君も綺麗だよ!!」
真っ赤になった月に地球は「ありがとう」と優しく言いました。その様子を眺めていたリュウは月が赤くなる理由が分かった気がしました。月と地球を囲む惑星たちも二人を微笑ましく見ていました。
「さてと、ライトに報告して冥王パフェをいただこうっと!」
そう言ってリュウはライトのいる星へと目がけて駆けていきました。その瞬間、夜空に流れ星がキラリと光りました。
おしまい(990文字)
☆☆☆
以前にぷにょさんにイラストを描いていただいたこちらの作品と同じ世界観で書きました。
そして、ぷにょさんのこちらの作品が創作大賞中間選考に見事残っていました!すごい!嬉しい!本当におめでとうございます!!
🌕🌕🌕🌕🌕🌕🌕
こちらの企画に参加しています。