わたしは概念になりたい

生身の人間に会うのはもういいかな、という気分になってきた。しかし、オンライン飲み会などで人と話すのは楽しいと思える。人間っていいな、とすら思う。でも、今度は直接会いたいとか口では言いつつも本当はあまり会いたくないような気もする。

オンライン上にだけ存在する、概念的なものになりたい。イメージに一番近いのは、映画『her 世界にひとつの彼女』でスカーレット・ヨハンソンが声だけで演じるAI彼女だ。彼女は会話だけでホアキン・フェニックス演じる主人公と親交を深め、恋人になる。わたしもオンライン恋人/友人として生きていきたい。

肉体は不都合が多い。不具合も多く、メンテナンスも大変だ。人間として外に出るためには身だしなみを整えなくてはいけない。不都合な毛を剃り、不都合な毛穴を隠す。外に出ないことで、その作業の頻度が格段に下がった。「気にしなくていい」ということはとても快適だ。

肉体がなければ太った/痩せたも気にせず、腰も痛くならないし、そもそもコロナウィルスに感染しない。概念になれば、今人類が散々振り回されているパンデミックも全然脅威じゃない。

人類、概念になる時が来たんじゃないの…?と思うのはさすがに痛すぎるだろうか。だろうな。でも、化粧して生身の人間の目に晒されることより、zoom上ですっぴんでいる方が格段に居心地が良い。

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