【映画感想】モータルコンバットで強いニンジャの目撃者になれ
俺だ、コセン・ニンジャだ。
最近のニンジャは弱い。20人くらいのニンジャがワーッと主人公とその仲間に襲い掛かって、グワーッとやられていくイメージしかない。
よく言えば仮面ライダーのショッカー戦闘員。悪く言えば、ただのカカシだ。
モータルコンバットを観るまでは、そう思っていた。
ハサシ・ハンゾウとスコーピオン、サブ・ゼロ、この二人だ。
この二人が強い。強すぎる。
今日は、弱いニンジャの汚名を返上した、モータルコンバット(2021)について話そう。
なお、俺はドーナツの重箱やモータルコンバット最新作出演を打診されたからこの記事を書くわけじゃない。
俺が書きたいから書くのだ。それを忘れるな。
そもそもモータルコンバットとは
モータルコンバットは地獄の格闘ゲームだ。
1992年に発売された初代は、登場キャラクターは全員実写取り込みで、防災頭巾みたいな生地の服を着たキャラクターたちが殴りあったり、火の玉とか投げ合ったり、鎖付きクナイでゲトオバヒアしたりするゲームだ。
そして、何より特徴的なのは、フェイタリティ(Fatality)の存在だ。
普通の格闘ゲームは、とどめが小パンだろうと、爪先でチョイと蹴っただけでも、体力が無くなれば問答無用でKOだ。
だが、モータルコンバットは地獄の格闘ゲームだから、リアルな闘争を追及した。
戦いを終わらせるにふさわしい、絶対的なとどめの存在。フェイタリティだ。
脊髄をぶっこぬく、首が飛ぶ、酸で溶かす、銃で撃つ、口から炎を出して焼く、腕と足を切断して切断した腕で殴りころす。
やりたい放題だ。当時はまだゲーム業界にレーティングなんて存在しなかったが、モータルコンバットのあまりの残虐さに恐れおののいたワシントンD.C.が、裁判の末にレーティングという存在を産み出したという逸話まである。
はっきりいって、残虐すぎて目を覆いたくなる。
だが、戦いというのは残虐なものだ。
人を殴れば骨が折れるし、銃で撃てば肉が弾ける。
ゲーム的な都合という言い訳で残虐さから目を背ける俺たちの髪をゲトオバヒアとばかりに掴み、「これが戦いの真実だ」とフェイタリティをみせつける。
俺が生まれる前から、そんなハードな事をやってるゲームなのだ。
海外ではスーパーマリオ並みに人気だが、日本では知名度がほぼゼロだ。
そもそも日本でほとんど発売していない作品だし、しょうがないのだが。
そんなモータルコンバットの映画も、どうせ海外限定だろうと思い、俺はいつものテーブルでウォッカを飲んでいた。俺は舐めていた。
ワーナーはやりやがった。
モータルコンバットは日本でも上映されたのだ。
あらすじ
胸にドラゴンの形をしたアザを持つ総合格闘技の選手<コール>は自らの生い立ちを知らぬまま金のために戦う日々を送っていたが、ある日、魔界の皇帝が<コール>を倒すために放った最強の刺客<サブ・ゼロ>に命を狙われる。<コール>は家族の危険を察知し、特殊部隊少佐<ジャックス>と女性戦士<ソニア>と合流。地球の守護者<ライデン>の寺院を訪れる。そこで太古より繰り広げられてきた世界の命運を懸けた格闘トーナメント“モータルコンバット”の存在と、自らが魔界の敵たちと戦うために選ばれた戦士であることを知る。コールは新たな仲間たちとともに、自らの秘められた力を解放し、家族、そして世界を救うことが出来るのか?
(公式サイトより)
ぶっちゃけ、あらすじはうろ覚えでもいい。
映画オリジナル主人公のコールが家族を守るために戦う。ぐらいを覚えておけばいい。
この映画の神髄は、真田広之が演じるハサシ・ハンゾウとスコーピオン、ジョー・タスリム(ザ・レイドのめっちゃ強い敵)が演じるサブ・ゼロにあるからだ。
ハサシ・ハンゾウ
冒頭で戦っているニンジャだ。
カタナと即興で作ったロープ付きクナイで、敵をズバズバ倒しまくり、ビ・ハン(悪いニンジャで氷使い)相手に互角の殺陣を繰り広げる技量を持つ。
というか、youtubeでワーナーが7分間のノーカット映像出してるから見てもらった方が早い。
https://youtu.be/nbzOvWFpBIw
そして、このアクションに惹かれたなら見に行っても損はない。
モータルコンバットとはそういう映画だ。
ビ・ハン/サブ・ゼロ
めっちゃ強い氷使いのニンジャだ。
どのくらい強いかというと、とにかく強い。
登場するたびに周りの空間は凍り付くし、発射された銃弾を凍り付かせて止めるし、空気中の水分を凍らせて霰を降らせるし、直接触れた相手を凍らせるし、とにかく氷使いとして強い。
ギアッチョなどの、強豪氷使い並みに強い。
だからといって格闘が弱いわけではなく、上記のハサシ・ハンゾウ相手に勝利するし、頭一つ身長が高い軍人相手に圧勝するし、いくらぶん殴られても動じない殺人マシーンめいたニンジャだ。
その圧倒的な実力で、最後までタイマンでは今作最強の名を欲しいがままにしている。
弱点は、その力の強大さゆえに詰めが甘いことだろう。
殺したと思った相手が、実は生きてたみたいなミスを割と犯す。
だけど、許される。なぜならサブ・ゼロだから。
魔界の王を差し置いて、ラスボスみたいな風格がある。
だけど、みんな納得する。なぜならサブ・ゼロだから。
登場するたびに周りが凍るから、ちょっとシュールな場面も。
だけど、みんな興奮する。なぜなら、サブ・ゼロだから。
今作におけるサブ・ゼロとはそういう存在なのだ。
スコーピオン
ハッキリ言わせてもらう。
この映画は、真田広之演じるスコーピオンのために作られた映画だ。
登場シーンは少ない。
本当の本当にクライマックスにしか出てこない。
しかし、キャラは濃厚だ。
鎖付きクナイとカタナを武器にする炎使いで、「ゲトオバヒア!(こっちに来い!)」が決め台詞だ。
ビ・ハン(サブ・ゼロ)に妻子を殺され、復讐に燃えるニンジャであり、サブ・ゼロとのライバル関係でモータルコンバットの90%が構成されている。
その発端となる惨劇の場面を冒頭でやってくれるので、クライマックスになってから登場しても、ヒーローは遅れてやってくる理論で、逆に燃える。
この映画におけるスコーピオンとサブ・ゼロの一戦は、真のモータルコンバットとは何かを如実に物語っていると言ってもいい。
しかし、復讐の炎に身を焼かれながらも、子孫であるコールには敬意を表したり、大事なことをしゃべる時にはわざわざマスクを外すという、奥ゆかしい礼儀作法をわきまえた真のニンジャだ。
総評
正直、ストーリーラインはかなりぐだぐだだ。
コールが覚醒し、味方の面々が能力に目覚めるまではへっぽこ野球チームみたいな雰囲気が終始まとわりついてるし、ジョニー・ケイジは出ないし、リュウ・カンはフェイタリティ以外はいいとこないし、敵は強すぎるし、ゴローはなかなか4本腕を活用しないし、ジョニー・ケイジは出ないし。
だが、皆が能力を獲得し、スコーピオンも封印を解かれた今、次回作では真のモータルコンバットが繰り広げられるに違いない。
そして、この作品にはニンジャの精神が強く根ざしている。
現れた瞬間に、圧倒的な強さで相手を恐怖に陥れる黒ずくめの戦士。
味方に回った時は、ミステリアスで強力な熟練のアサシン。
それが、ニンジャの魅力だと俺は思う。
全体としては70点くらいだ。
だが、スコーピオンとサブ・ゼロのニンジャイズムだけで、この映画は5000点くらいあるし、全米ナンバーワンは伊達ではないことを思い知らせてくれる。
もはや、かませとしてのニンジャの姿はそこにない。あるのは、殺戮技術の達人としてのニンジャだけだ。
モータルコンバットを見て、強いニンジャを見ろ。
そして、長年語り継がれてきた、ニンジャの恐怖と冷徹さの目撃者となれ。
ついでに言うなら、俺はスコーピオン派だ。
↑ もはや主人公食いすぎているスコーピオン。だがそれがいい。
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