見出し画像

【漫画感想】グリッドマン・ドグマを読んで、おまえもユニバースを感じろ

俺だ、コセン・ニンジャだ。
俺はグリッドマンユニバースを見た。
そこでは、SSSS.GRIDMANとSSSS.DYNAZENONの先が描かれ、大迫力の巨大ロボバトルが描かれ、甘酸っぱい青春が描かれ、カオスめいたユニバースが描かれた。
俺は思った。この先が見たいと。
ユニバースの先が見たいと。
そんな折、俺はいつもの酒場でドーナツを食べている時に、ある謎めいた話を聞いた。
「ユニバースで明かされた設定によって、グリッドマンの外伝作品の世界はグリッドマンによって創造されたことになった」
ユニバースの熱が冷めやらぬ俺はいてもたってもいられず、グリッドマンの外伝作品に手をつけたわけだ。
こうして、俺はグリッドマン・ドグマと出会った。
そして、読み進めて思った。
これって、ユニバースじゃん!と。
今日は2021年にくらげパンチというネット媒体で連載されていた、グリッドマン・ドグマについて語ろう。
なお、ユニバースのネタバレはあまりないが、ドグマのネタバレが含まれてるため、それが嫌なら、全3巻(1巻は紙で単行本があるが、2巻と3巻は電子書籍しかないから注意だ。とりあえず全部電子で買うのがオススメ)で12話しかないから買って読んでくれ。
それと、俺はくらげパンチからドーナツの詰め合わせやダークアームドグリッドマンの立体模型をもらったから、この記事を書くわけじゃない。
俺の意志で書くのだ。それを忘れるな。

あらすじ

人々を救うヒーローに憧れるも、選ばれなかった男・ヴァイスが出会った少女、それは異形のグリッドマンだった。2人はコンピューターワールドを巡る旅に出る。ハイパーエージェントを名乗り、助けを必要とする人たちを求めて。行動動機は「正義」ではなく「自己愛」。その欲望の先に待ち受ける真実は!? 歪な憐憫英雄譚、開幕!!

https://kuragebunch.com/episode/3269632237305133575

コンピューターワールドを巡る、という辺りで気づいた慧眼の持ち主なら分かるが、やってることが大体グリッドナイト同盟だ。(つまりユニバースにも絡められる。これはこの先何度も言うつもりだ)
しかし、とにかく異質な作品である。
雰囲気はなんか暗いし、日常らしい日常も一巻で終わるし、人を選ぶ絵柄だから、昔やってた哲学的な深夜アニメみたいな雰囲気が終始漂っている。
登場人物もだいたいが精神ドロップアウトしてるような奴らで、信頼できない奴らな感じがが伝わってくる。
次はそんな登場人物たちを紹介しよう。

キャラクター


ヴァイス・主人公。SSSS.GRIDMANに出てきた新世紀中学生の一員でハイパーエージェント。
本編に出てこなかった最後のメンバーだ。しかし、ある脅威に対して備えるために荻窪に置き去りにされたまま、事件は解決してしまう。役目を失ったと思ったこいつは、孤独で自堕落な日々を送り、鬱屈した感情を抱えながら合コンとかしていた。
誰かを救っていい気分になりたいとかいう、ゲロめいたメンタルの持ち主で、人を助ける時だけウキウキでいい笑顔を見せるゲロ野郎で、怪獣に片足突っ込んでるゲロ野郎だ。
だが、助けてくれと叫ぶ少女のために、怪獣になれるような熱い奴でもある。
アクセスコードは「ヴァイス・トーチャー」。戦闘の際は、バイクに変形して合体することで「トーチャリング・グリッドマン」になる。ダイアクロンのトライランブラーっぽさがクールだ。
しかし、アクセスコードが悪の拷問ってどういうことなのか分からなかったが、ユニバースによって「置き去りにされた者→2か月間の空白で置き去りにされた裕太の人格→そのことへの罪悪感に苦しんでいたグリッドマン→拷問めいた苦しみ→ヴァイス・トーチャー」という強引な解釈ができるようになった。(つまりユニバースに絡められるということだ)
また、ヴァイスにはドイツ語で白という意味があり、和訳するなら、「白い拷問」。そういう意味でも説得力が強い。ありがとうユニバース。

クロエ・ヒロイン。怪獣っぽい角を持つホームレス少女。
公園の水道で髪を洗っていた時にヴァイスと出会った。新世紀中学生に見捨てられたと思っているヴァイスをそそのかし、合体してグリッドマンになった。グリッドマンと言ったが、グリッドマンっぽい何かであり、骨格や身体つきは完全に女性形だし、姿もまったくグリッドマンに似ていないため、グリッドマンという名前の完全な別物だ。けど、本編のグリッドマンもグリッドマンという不定形な力があの形に収まっているという設定なため、このグリッドマンもグリッドマンとして扱っていいだろう。ガンダムと名乗ればガンダムだし、グリッドマンと名乗ればグリッドマンである。出自はグリッドナイトに近いが。
雰囲気や笑い方、それに少女でありながらどこか達観と成熟しているところが、SSSS.GRIDMANに出てきた少女アノシラスに似ているし、それを基にしてグリッドマンが生み出したと考えられる。
また、創造主に生み出された後に、役目は終わりと捨てられた彼女の出自はSSSS.GRIDMANのアンチによく似ており、やはりユニバースに繋がっていると考えられる。(つまりユニバースに絡められるということだ)

マリ・仲間その1。女子高校生のハイパーエージェントだ。時間や場所がループしている荻窪(この作品の荻窪はマルチバースみたいにいくつもある。つまりユニバースだ)で、異変の原因を解決しようとせずに楽しい高校生活を何度もループして27年くらい高校生活して、その間ずっと異変の原因である怪獣に食わせてもらってたヒモだ。
精神と常識はグリッドマンドグマ一味の中でマシな部類だが、生活能力は皆無で、同級生と同居して家事を全部やってもらってたギリギリのヒモだ。
戦闘機めいたアシストウェポン、「マリシャス・ウィング」に変形してめっちゃミサイルをばらまき、合体することでドレス姿めいた「マリシャス・グリッドマン」になって拡散レーザーを撃ちまくる。
マリシャス→悪意、であり、和訳すると「悪意の翼」だ。ハイパーエージェントの命名センスがうかがえる。
しかし、やるときはやる女であり、自身の欲望とは別に、本当に正しい事とはなにかを探ることができる熱い女だ。
また、マリがメインの回はユニバースでエンドレスエイトっぽくなっていた描写と似ており、また27年の空白のことを裕太の2か月間の空白と対応させて見ることで、やはりユニバースと繋がっていると考えられる。(つまりユニバースと絡められるということだ)
あとポニテが3メートルくらいある。

ベイン・仲間その2。仲間を見殺しにしたハイパーエージェントだ。なぜかケモミミがついている。崩壊した荻窪で人々を守っていたが、自己顕示欲のせいでなんか色々引っ込みつかなくなって、死にたいけど死にたくない、死ぬほど苦しいから生きていたくないけど死ぬ苦しみは味わいたくないという、かなりカスな奴だ。
彼の事情が解決した後は、死ぬのはやめたけど元相棒がかつてしていた行動をなぞった行動原理になったり、普段は冷静な常識人だが、何かヤバくなるとすぐに泣き叫びながらキレたりと、割とアレなカスの疑いが出てきた。
だが、仲間の間違いを正すために拳を振るえる熱いやつでもある。
首輪の装置で動物と話せるらしい。
アクセスコードは「バスタード・ベイン」。狼型のアシストウェポンに変形できる。バスタード→不愉快な、偽物。ベイン→呪い、空虚な、など。単純に和訳するのは難しいが、やはりハイパーエージェントの命名センスはダメらしいことがうかがえる。
また、こいつがメインの回は、こいつ自身が自己犠牲になったヒーローに置いて行かれた人物として描かれており、ユニバースで自己犠牲を省みなかった裕太に対応していると見ることで、ユニバースに繋がっていると考えられる。(つまりユニバースに絡められるということだ)

他にも色々いるが、漫画を読んでくれ。


どうしようもない奴らがユニバースされる

この漫画にはまっとうなヒーローは出てこない。
ヒーローの本質である人助けが目的から手段に変わってるヴァイス、そもそもグリッドマンじゃないクロエ、生活能力皆無でやりたくないことは全て召使いにやらせるのが夢なマリ、かなりねじ曲がった性格のベイン。
こいつら全員、雨が上がった時に忘れられた傘だ。何かに見捨てられ、落ちぶれたスーサイド・スクワッドみたいな奴らだ。
だが、こいつらが合体した途端に、まばゆくようなヒーローに変身するのだ。

ダークアームドグリッドマンの、悪魔めいたデザインが俺は好きだ。
純粋にダーク側のグリッドマン全開って感じのデザインが、ユニバースでも見れなかったから新鮮で面白い。
トーチャリング・グリッドマンの、少女がバイクに乗ってる感じのフォルムが、かなり道徳的に逸脱してる感じがして特に気に入っている。

グリッドマンの悪側面の煮凝りみたいな奴らが、変身して戦うのが好きだ。
青春の甘酸っぱさみたいなのも皆無で、もう青春をすっ飛ばして枯れたような奴らの話なのが、あまりにも異質で面白い。
こんなどうしようもない奴らなのに、いざという時には何よりも熱い展開を繰り広げるのも、魅力的で本当に面白い。

そして何より、合体を『魂が収まる場所』として定義してしまったことで、もはやユニバースに繋がざるを得なくなってしまった。
ユニバースにおいて、皆が思い描いた姿に変身し、裕太と合体することで、自らの魂を取り戻したグリッドマンが描かれたからだ。
また、ドグマで描かれた、『誰でもいいは、誰でも良くない』ということも、ユニバースではグリッドマンと裕太の関係に繋がるし、とにかくあらゆることにユニバースを感じてしまう漫画なのだ。

最後に

彼らは最後、自分たちが存在したという記憶を消して、「作品世界の登場人物・団体等は原作の公式設定と同一ではありません。」と言い切ってまでユニバースから逃れようとするが、ユニバースが公開されたことで彼らは掘り起こされることが確定だし、これを読んでる皆さんには、ぜひ彼らを掘り起こして、彼らは忘れられた傘ではなく、これから降る雨のための傘なのだと言ってやって欲しい。
グリッドマン・ドグマがたくさんの人に読まれることで、立体化したり、挙句にはアニメ化まで行って、彼らの先が描かれることが、俺が望む未来だ。
グリッドマン・ドグマ。絵柄が独特だし、あまりに暗くゲロくさい奴らの物語なのに、読んだあとには爽やかな感情と、少しのさみしさが去来する、名作漫画だと俺は思う。
グリッドマン・ドグマを読んで、ユニバースを感じろ。そして、ユニバースから逃げようとするこいつらに本当の色彩を与えてやるのだ。

Something Something Something Something GRIDMAN DOGMA is forever……





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?