ガーディアンズ・オブ・ミヤコガーデン
【これまでのあらすじ・手に入れればこの世のすべてを支配できる石、もよストーン。コセン・ニンジャとの決戦の末、それを手に入れたミヤコセンセイは、なんかモンハンの武器とかを手作りする星、じゃす星を侵略すべく、宇宙戦艦ドリームリバーを進行させていた。】
【一方、真の戦士コセン・ニンジャ、鋼の拳を持つイツキ、鉄球のオオトリ、武器職人じゃす、コセン・ニンジャの姉ゴリラ入間、の五人、ガーディアン・オブ・ミヤコガーデンは小型宇宙船で宇宙戦艦ドリームリバーへの突入を試みようとしていた。最後の決戦が始まる…】
【ガーディアンズ・オブ・ミヤコガーデン】
4月1日 22時34分 小型高速宇宙船 クリナゴ号船内にて。
「コセン…これが最後の戦いになる」イツキは戦闘義手テッコの調整をしながら言った。その声は覚悟を秘めて重い。「わかっています。ミヤコセンセイを止めないと、じゃす星…いや銀河の危機です」コセン・ニンジャも真剣に答えた。もよストーンを奪われた今、自分たちに残された時間は少ない。
一度、ガーディアンズ・オブ・ミヤコガーデンは敗北し、偶然噴火した火山によって命を拾った。次はない。狭い宇宙船内は真剣な空気に包まれていた。「ねえ!聞いて!僕がこないだ次長に昇進したって話、あれ嘘なんだ!」例外もいる。ゴリラ入間はジャージャーピングスめいて飛び跳ねた。
それを聞いて、オオトリがガタッと椅子を立った。「ちょっとー!?みんながどれだけ祝ったと思ってる!?」「へへー、エイプリルフール!驚いた?」ゴリラ入間は白い髪を振りながら、くるりと回って皆にテヘペロの顔を振りまいた。
「マジかよ!あんだけ騒いだのに?」じゃすが肩をすくめた。「おいおい!アストラ星の九星チキンの代金はどうするよ?」イツキも真剣さを崩して苦笑いする。「くっそー!マカド社のゴールデンチョコケーキまで食べたくせに!」オオトリが地団駄を踏む。
「姉さん、今から俺たちは命をかけて銀河を救うんだぜ。ネタバラシは今じゃなくても…」ゴリラ入間は励ますようにがしっとコセン・ニンジャの肩を掴んだ。「力が入り過ぎだよ、コセン君。いつもの君なら、こんな事件くらいラクショーじゃないか。ナンセンスなジョークを言いまくってさ」
「でも、相手はあの銀河最強のミヤコセンセイだし……なんで正義のヒーロー、ミヤコセンセイがこんなことを…」コセン・ニンジャの脳裏に、無様な敗北の瞬間が蘇る。光剣を携え、邪悪な赤い目で見下ろすミヤコセンセイ。青いもよストーンを取り出してじっと見つめた。ミヤコセンセイの邪悪なる赤きもよストーンと対になる青いもよストーン。今までの旅はこの石によって導かれてきた。その導きも、今は沈黙に沈んでいる。ゴリラ入間は優しく言った。「大丈夫さ、コセン君なら勝てる。あの時は一人だったけど、今は」
ゴリラ入間は宇宙船内を見渡した。コセン・ニンジャと何度も激しい戦いを繰り広げ、互いの正義を知り合った、イツキ。ピカチュウっぽいのがコンプレックスだったがみんなと乗り越えた、イツキの相棒オオトリ。復讐を捨て、故郷の星のために戦う、じゃす。道中で雇った、パイロットのねこむら。
彼らの心は、利害を超えた絆で結ばれている。今度こそ勝てるはずだ。「みんな聞いて!」パイロットのねこむらが操縦席から呼びかけた。「あと二分で、宇宙戦艦ドリームリバーに突入するけど、君たちを射出したら、ぼくはすぐに逃げるから。脱出手段はそっちで用意してね!」
ねこむらはプロであり、脱出分のお金はもらっておらず、したがってそこまで働く気はない。「分かったぜ!みんな武器を用意しろ!」コセン・ニンジャが叫んだ。彼は二丁拳銃を腰に吊るし、二本のナイフを背中に装備している。
イツキが戦闘義手テッコを起動させ、圧縮エナジーを噴出口からプシューと排出した。オオトリは幾何学的な刻み目のついた4つの鉄球をお手玉して不敵に笑い、ゴリラ入間は身の長ほどの大鉈を軽々と背負い、じゃすは炎剣リオレウスを背負いノコギリ鉈を腰に吊るした。「ドリームリバー!エンゲージ!」ねこむらが叫び、眼前に巨大な宇宙戦艦が姿を現した。
星々がまたたく暗黒の宇宙を背景に、旧式の海軍戦艦を思わせる形状の宇宙戦艦が虚空を駆けている。かつて、虹色に彩られた船体塗装は黒く塗りつぶされ、ブリッジをまたぐように作られた虹の橋は跡形もなく、凶悪なプラズマ砲に置き換えられ、巡らされた配管を光りながら通っていた正義のブルーエナジーすら邪悪なレッドエナジーだ。
「ドリームリバー…なんと無残な…」宇宙戦艦に造詣が深いじゃすが、眼前の黒い宇宙戦艦を見て呟いた。かつて、夢の川を翔けるとまで言われ、やや派手すぎると言われた装飾の一つ一つが、激戦を潜り抜けるたびに英雄の勲章となり、誇りに満ちていた宇宙戦艦の末路。それがこのような邪悪とは……じゃすは心をかき乱される思いだった。
「じゃすさん…」「大丈夫だ、コセン君。行こう」皆はそれぞれの靴に搭載されたジェットのスイッチを入れ、突入に備えた。小型宇宙船めがけて発射される、針のむしろの如き小型プラズマ砲の弾幕を超電磁バリアと、ねこむらの超人的操縦で切り抜けた。小型宇宙船はドリームリバー外板に取り付いて、一瞬止まった。
「今だよ!」「「「うおおおお!」」」ねこむらの号令と共に、ガーディアンズ・オブ・ミヤコガーデンは後部ハッチから飛び出し、外板のメンテナンス用出入り口に向かって飛び出した。彼らは園児なので宇宙空間でも少しなら活動できるのだ。
「ウォラアアア!!!」イツキのテッコによる一撃が、扉をくしゃくしゃにして吹き飛ばし、皆はプリズムリバー船内に突入した。「誰だ?ぐあああ!」彼らを発見した戦闘兵が、オオトリの鉄球を食らって倒れた。その物音を聞きつけて、さらに戦闘兵がやってきた。「キル?ノーキル?」ゴリラ入間が聞いた。
「アー…できたらノーキルで」コセン・ニンジャはゴリラ入間が肩に担ぐ、バカでかい大鉈を見て言った。「わかった!でりゃあああ!みねうち!」曲がり角から飛び出してきた戦闘兵に、ゴリラ入間が渾身の一撃を食らわせると、戦闘兵は頭をひしゃげさせながら壁にふっとび、動かなくなった。
「ね?」ゴリラ入間が笑いながら振り向いた。「……みんな、好きにしよう!」コセン・ニンジャはため息とともに二丁拳銃を抜くと、戦闘兵がわらわらとやってくる通路に身を翻した。
4月1日 23時04分 ドリームリバー船長室にて。
「ミヤコセンセイ。船内に侵入者です」ダースニンジャがミヤコセンセイに報告した。ミヤコセンセイは、アームガル星産の特注黒曜石の玉座に座し、赤い目を巨大モニタに向けながら、それを聞いた。船内モニタの中では、ガーディアンズ・オブ・ミヤコガーデンが大暴れしている。
モニタに向けられたミヤコセンセイの目は、殺意に満ちている。邪悪な黒いコートとマントに身を包んだその姿に、かつて正義の使徒と謳われた清らかさは欠片もない。「…一時、ドリームリバーを停止させなさい。侵入者がいては、落ち着いて侵略もできません」ミヤコセンセイは威厳と共に言った。
「…ここまで来て、停止?もうすぐ射程圏内ですぞ!」ダースニンジャは怒りと共に叫んだ。「もよストーンを手に入れた私に、ここまで歯向かってくる勇者……興味があります。彼らの意を汲むのも一興でしょう」「っ!」「それとも、私に異議を唱えますか?ダースニンジャさん?」
玉座に座るミヤコセンセイとダースニンジャは階段を挟んで睨み合った。焦りを含んだ眼光で見上げるダースニンジャに、ミヤコセンセイは余裕の表情と共に赤い瞳で見下ろしながら、煌々と赤く輝くもよストーンを掲げてみせた。「どうなんです?ダースニンジャ」「…貴様の腰抜けた態度には、もううんざりだ!ここで死ね!」
ダースニンジャはビームガンを構え、ミヤコセンセイに六連射した。だが、ミヤコセンセイの姿は一瞬で消えていた。「だめですね…ぜんぜんダメです」ダースニンジャは戦慄した。ミヤコセンセイの戦意すら感じさせぬ柔らかな声が、背後から聞こえてきた。「なっ…?」「もよストーンの力に、あなたごときが勝てるとでも?」
ミヤコセンセイの手には、正義の青いプリズムソード、そしてもう片方の手には邪悪な赤きマジンケンが握られていた。ダースニンジャはビームガンをミヤコセンセイに向けようとした。できなかった。ダースニンジャは胴体を真っ二つにされ、口から血を吐きながら倒れて、死んだ。
「はあ…いくら極悪非道なニンジャでも、斬りたくはなかったんですが…」ミヤコセンセイは残念そうに呟きながら、階段を上がって玉座に座った。そして指を弾いて、清掃ロボットを呼び出して死体を片付けさせると、横の台に置かれた黒電話を取り、兵器管理部にかけた。
「もしもし、私です。ヒーラギとコッペを出撃させてください」
4月1日 23時43分 ドリームリバー前部船内通路にて
「これで全部だな」イツキがテッコのエナジーカプセルを交換しながら通路を見渡した。銀色に輝くプリズムリバー船内通路は、クローン戦闘兵の緑色の血があちこちに付着し、戦闘の激しさを物語っている。「よし、このままミヤコセンセイのところまで…!」コセン・ニンジャが駆け出した。
その時だった。「あぶない!コセン君!」オオトリが鉄球を投げ、通路の奥から放たれた大口径弾を弾いた。もし、直撃していればコセン・ニンジャは肉片だ。「誰だ!」じゃすが炎剣リオレウスを構えて叫んだ。「ありゃ、外れたね。こっぺさん」通路の奥から声。
通路の奥から二人組が現れた。一人はメイド服に身を包んだ銀髪の少女、もう一人は装飾が少なめな緑色の服を着た、茶髪の少女だ。「事変予測誤差、0.5。問題なしです」茶髪の少女が機械じみて言った。その手には対アサルトロボ用徹甲ライフル。
「でもさー、外れたじゃん」銀髪の少女が、得物の高周波カタナをくるくると振り回しながら言った。「次は当てます」「なんか、アテにならないね」「先にデリートしましょうか?」「誰を?」「あなたを」「ほんと?こっちもマジになるよ?」「かまいません」「ねえ、コセン君」ロボ二機の剣呑な言い合いのさなか、ゴリラ入間が言った。
「なに?姉さん」「あの二人、もしかしてヒーラギとコッペじゃない?」「知ってるの?」オオトリが聞いた。「え?知らない?ミヤコセンセイの直属の部下で、この銀河ではトップレベルの人気を持つ、ロボットアイドル」コセン・ニンジャの脳裏に、姉に見せられた彼らのファーストシングル『ガイノイドでも恋がしたい!』のライブ映像が映し出された。「その二人がなんで戦闘に?」コセン・ニンジャが疑問を唱えた。
「それはもちろん」銀髪のロボット、ヒーラギがカタナを構えて言った。「私達の本来の用途は、戦闘用だからです。お覚悟を」茶髪のロボット、コッペがライフルをパージし、ガトリングを両腕に展開させて言った。「戦闘用ガイノイド二機、しかも最新型…どうする?」じゃすが炎剣リオレウスを構えて聞いた。
「決まってる!盛大にファンサービスしてもらおうか!」コセン・ニンジャはナイフを二刀流に構えた。戦闘開始だ。ガガガガガガガガ!!!コッペはけたたましい連装バレル回転音を唸らせながらガトリングを斉射し、船内通路を薙ぎ払った。遮蔽物のない通路では、各々の武器でガードするしかない。動きを止めた彼らに、ブースターで急接近した高速戦闘型ガイノイドのヒーラギの凶刃が迫る!
「とろいねえ!」「ぐっ、うおおお!」刃を受けたのはコセン・ニンジャ!特殊金属ナイフと高周波カタナが火花を散らす。ロボットの力に押され、不利な鍔迫り合いの最中、ヒーラギのブースターが火を吹き、さらにコセン・ニンジャを押していく。
「でりゃあああ!」コセン・ニンジャが押し切られ、首を刎ねられる寸前、ヒーラギに蹴りを浴びせたのはゴリラ入間だ。「おっと!」フレンドリーファイア防止のためにガトリングの弾幕が止んだ隙を突いた蹴りは、しかしヒーラギのブースターによる急退避機動によって避けられた。
「くそっ!」そして、再びガトリング斉射がガーディアンズを襲う。コッペの制圧射撃で抑え、ヒーラギの奇襲で一人ずつ仕留める。ロボットの正確さと無慈悲さで行われる一方的なワンサイドゲームだ。狭い通路上という状況もあわさり、ガーディアンズは確実に体力を削られていく。
「コセン!埒が明かねえ!プランBだ!」ガトリングの弾幕をテッコで防御しながらイツキは叫んだ。「プランB!了解!」ガトリング弾を鉄球回転によって発生した力場で弾きながら、オオトリが答える。「プランB?」コセン・ニンジャが聞く前に、二人は走り出していた。「プランバッシュ!押せ!押せ!押せ!オラアアァッ!!!」
今までガトリングに押され、動きを止めていたはずの敵が、急に距離を詰めてきた状況に対応するように、コッペとヒーラギはブースターを吹かして距離を取った。遅れて走り出した三人も、ガイノイドニ機と距離を詰める。
コセン・ニンジャは気づいた。普通ならコッペのガトリングで大半はハチの巣となり、残りはヒーラギの高速戦闘で蹂躙されているはずが、予想外の抵抗によって、戦術ルーチンにエラーが生じ始めているのだと。コセン・ニンジャの予想は当たっていた。
「あいつら、結構ねばるね」ヒーラギがブースターで敵との距離を取りながら言った。「予測誤差、45.2。無視できないです」「でもさ、それも面白いよね。今までこんなことは、ミヤコセンセイと戦った時くらいだよ」ヒーラギはニヤリと笑った。「…否定しません」コッペもわずかに微笑む。
「おっ、少しは人っぽくなった?人間性プログラム入れてからまだ2週間だっけ?」「否定。……弾数減少。この先のグランドスペースでケリをつけましょう」「よしきた!」ニ機はさらに加速した。「どうやら、狙いがあるみたいだな」イツキが走りながら言った。「何が来ても驚かないよ」じゃすが笑って言った。
通路の先は、巨大な広間につながっていた。ドリームリバー最上層まで吹き抜けとなった大広間には、来客用のテーブルやソファが並び、それらに面してライブ用ステージがコメディアンやアイドルを待ち、中央には巨大グランドピアノが座している。本来なら船員や客人がディナーやショーを楽しむ場であるが、今夜はそうではない。ヒーラギとコッペは、グランドピアノの前に着陸した。
「さあて、客人たち。ダンスはいかがかな?」ヒーラギはからかうように聞いた。「舐めやがって…ミヤコセンセイはどこだ?」コセン・ニンジャが息まいた。「この最上階、船長室でくつろいでいます」コッペが淡々と答えた。「教えていいのか?」イツキが聞いた「お前たちのボスなんだろ?」。するとヒーラギはカタナで地面に線を引いた。
「ミヤコセンセイは、もよストーンを求める前は、ほんとに正義の味方だったんだよ……あの石が全部ぶち壊しにしたんだ」「え?」思わぬ言葉に、コセン・ニンジャはたじろいだ。するといきなり、ヒーラギは頭を抱えて叫んだ。「あっ、センサーが故障!何も見えない!コッペは?」コッペも頭を振りながら言った。「こちらも故障。再起動まで20秒」ヒーラギは悲しげに、しかしワザとらしくうつむいた。「あー!これじゃ一人くらい取り逃しちゃうかも!」
「コセン君。ここは僕たちが」ゴリラ入間がコセン・ニンジャの肩に手を置いて言った。「姉さん…」「さあ!」「わかった」コセン・ニンジャは靴のジェットを吹かして、船長室に向かって一直線に飛んでいった。その直後、ヒーラギはカタナを構えた。「センサー修復完了!さあ、楽しませてくれよ!」
「茶番終了、戦闘再開。任務遂行します」コッペは弾の尽きたガトリングを捨て、電磁ブレード二刀流を構えた。「やってやろうぜ、オオトリ」「もちろんさ」イツキとオオトリが連携の構えをとる。「やろうか、即興で」「ゴリラは森の賢者さ、連携くらい!」じゃすとゴリラ入間も連携の構えだ!
テッコと電磁ブレードが衝突し、大鉈と高周波カタナが火花を散らした。決戦が始まった。
4月1日 23時55分 ドリームリバー船長室にて。
「ミヤコセンセエエエ!!!」船長室の扉を開けて、コセン・ニンジャは叫んだ。「来ましたね!コセンさん!」黒いマントを翻し、ミヤコセンセイはアームガル星産の特注黒曜石の玉座から立ち上がった。その手にはプリズムソードとマジンケン!「決着をつけましょうか!無謀なる勇者よ!」
バサァ!階段をひと飛びに降りて、ミヤコセンセイはコセン・ニンジャと対峙した。コセン・ニンジャは二丁拳銃を向けた。「なぜ!闇に落ちて、じゃす星を侵略しようと!」「じゃす星の技術があれば、スターブレイカー砲の製造すら3日で可能!そしてもよストーンが導くままにすべての銀河を…すべての宇宙を破壊します!まずはあなたから楽にしてあげましょう!」「うおおおお!!!」バン!バン!バン!コセン・ニンジャは二丁拳銃連射!
「無駄無駄無駄です!」カキン!カキン!カキン!銃弾を難なく弾き、マジンケンがコセン・ニンジャに迫る!「はっ!」コセン・ニンジャは拳銃をクロスさせて受け止め、鋭い回し蹴りを繰り出す。その瞬間、ミヤコセンセイが黒い霧となって消えた。「なっ!バカな!」
コセン・ニンジャは動物的直感で、背後からの一撃をころがって躱した。「ほう、少しはできるみたいですね…」「今のは…!」ミヤコセンセイは不敵な笑みとともに、赤いもよストーンを掲げてみせた。「くくく、これがもよストーンの力。これがある限り、私は無敵です」そして、また消えた。
「くっ、どこだ…グワアアア!!!」死角からのプリズムソードの一撃がコセン・ニンジャの肩を切り裂いた。バン!バン!コセン・ニンジャが拳銃を乱射しても、そこにミヤコセンセイはいない。「く、くそっ!卑怯な…!グワアアア!」今度は背中をマジンケンが切り裂いた。
コセン・ニンジャはたまらず膝をついた。その目の前にミヤコセンセイは姿を現した。「どうします?降参しますか?」「ぐっ…うおお!!!」コセン・ニンジャは立ち上がり、二丁拳銃を向けた。「無駄です!」ガキン!ガキン!二丁の拳銃は、それぞれプリズムソードとマジンケンに弾き飛ばされた。コセン・ニンジャは絶望と共に両膝をついた。ミヤコセンセイは笑った。勝利の確信と共に笑った。「ハッハッハ!さあ、反逆者の首を切り、じゃす星を侵略しましょう!」
「ま、待って!」コセン・ニンジャは尻もちをついて後ずさった。「い、命だけは!」そして無様な土下座をした。ミヤコセンセイはつまらなさげにそれを見ていたが、ふと何かを思いつき、もよストーンを取り出して言った。「でしたら…もよストーンに忠誠を誓って下さい」
ミヤコセンセイはコセン・ニンジャの前に、もよストーンを差し出した。コセン・ニンジャはもよストーンに両手を組んで差し出した。果たしてコセン・ニンジャは邪悪なるもよストーンに忠誠を誓い、全宇宙の破壊に加担してしまうのだろうか?
「ところで、ミヤコセンセイ。今何時です?」ふいに、コセン・ニンジャが聞いた。「今?今は夜の11時59分…」
……4月2日 0時0分 ドリームリバー船長室にて。
その時だった。日付が変わった瞬間、もよストーンの輝きが薄れた。「え?」ミヤコセンセイの戸惑いを見逃さず、コセン・ニンジャが拳銃に手を向けると、遠隔操作によって、拳銃が飛んできた。バン!迷わず、もよストーンを撃ち抜くと、もよストーンは割れて地面に落ちた。
日付が変わった瞬間、もよストーンの輝きが薄れた。「え?」ミヤコセンセイの戸惑いを見逃さず、コセン・ニンジャが拳銃に手を向けると、遠隔操作によって、拳銃が飛んできた。迷わず、もよストーンを撃ち抜くと、もよストーンは割れて地面に落ちた。
「もよストーンはエイプリルフールの力で邪悪さを増していたんです。さあ、ミヤコセンセイ!今ならあなたはもよストーンの呪縛から逃れられるはず!」コセン・ニンジャが懐から青い正義のもよストーンを取り出して掲げると、正義のもよストーンは共鳴反応によって青く輝いた。その光を浴びたミヤコセンセイの黒いコートとマントが、白く変わっていく。
みなさんご存知の通り、外次元宇宙の遺物もよストーンは正義と悪の2つがある。その強大な邪悪ゆえに悪のもよストーンは封印されていたが、ダースニンジャによって封印は破壊され、ミヤコセンセイを洗脳した。正義のもよストーンはコセン・ニンジャを導き、悪のもよストーンを止めに来たのだ。
「ミヤコセンセイ」青いもよストーンから、光り輝く正義のもよが現れてミヤコセンセイを抱きしめた。「わたしのはんしんが、めいわくをかけた」「いいえ、いいんです。私の悪もそこにあったのですから」ミヤコセンセイは邪悪から解放された。「おのれ…!正義のもよ…!」赤いもよストーンが呻いた。
そして、獄炎をまとった邪悪な悪魔の姿となり、コセン・ニンジャの目の前に立ちはだかった。「せめておまえだけでも…!」「なんと強大な悪意…!」怯むコセン・ニンジャ。「コセンくん、きみにちからを」その時、青い正義のもよはコセン・ニンジャの拳銃に青く輝く力を込めた。
「これは…」「ひとはあくをかかえていきる。しかしじゃあくとなってはいけない。いまはねむれ、わたしのあくよ」正義のもよはコセン・ニンジャと手を重ねて、共に拳銃を構えた。「うおおおお!!!」悪意の塊と共に突進してくる邪悪なもよに向けて、二人は引き金を引いた。「よい子は寝る時間だぜ!」
「グアアアアアアアアアア!!!」コセン・ニンジャの決め言葉と共に拳銃から発射された青い閃光が、邪悪なもよを貫いた。そして、青い光は膨張していき、宇宙戦艦ドリームリバーを包み込み、虹色の船体塗装を、ブリッジにかかる虹を、数々の色とりどりの装飾を蘇らせ、夢の川を翔ける、かつての宇宙戦艦ドリームリバーを蘇らせた。
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数日後、じゃす星にて。
「いろいろ、ありがとうございました」コセン・ニンジャがミヤコセンセイに言った。ドリームリバーはじゃす星に着陸し、ガーディアンズ・オブ・ミヤコガーデンの皆と、ドリームリバーの船員たちはじゃす星の大地を踏んでいた。「もう少し、ゆっくりしていってもいいんですよ」ミヤコセンセイが笑った。
ドリームリバー内で、豪華な食事と、ヒーラギとコッペのライブや模擬戦闘による歓待を受けたが、コセン・ニンジャは船から降りることを選んだ。「じゃす星で宇宙船を用意してくれるみたいなので、それで宇宙自警団みたいなのをやろうと思っています。そうですよね、じゃすさん」コセン・ニンジャが見ると、じゃすは親指を立てて答えた。「僕は王族だからな。宇宙船の一つや二つ、わけないぜ」
「そうですか…呼んでくれればいつでも駆けつけますから!」ミヤコセンセイとコセン・ニンジャは固い握手をした。「なかなか面白かったぜ。お前たちとやり合うのは」イツキがヒーラギに言った。「またよろしくしたいねえ。いいデータがとれたよ」ヒーラギが笑っていった。
「そういえば、君。感情豊かだけど、ほんとにロボット?」オオトリが聞いた。「乙女の過去にふれたら火傷するぜ」ヒーラギは笑いを崩さず答える。「きになるなあ…」「不要な質問です」コッペがオオトリを遮った。
「ん?ムキになった?僕はそういうのすぐに分かるよ?ふふっ」ゴリラ入間が茶化すと、コッペは無言で手を向けた。「握手かい?」「いや、内蔵型60ミリビームライフルだな。チリ一つ残らん」「どひゃあ!」じゃすが説明すると、ゴリラ入間は尻もちをついた。皆はそれを見てハハハと笑った。
「そういえば、宇宙自警団の名前はもう決まったんですか?」ミヤコセンセイが聞くと、コセン・ニンジャは青いもよストーンをじっと見た。もよストーンは一瞬、わらったように輝いた。「ええ、俺たちは…」コセン・ニンジャは答えた。
「ガーディアンズ・オブ・ミヤコガーデンです」
【キャスト紹介】
【コセン・ニンジャ コセン・ニンジャ】
【イツキ イツキ】
【オオトリ オオトリ】
【ゴリラ入間 ゴリラ入間】
【じゃす じゃす】
【戦闘兵 現地のボランティア】
【ダースニンジャ ベン・アークライト】
【ヒーラギ ひいらぎ】
【コッペ こっぺぱん】
【ミヤコセンセイ ミヤコセンセイ】
【パイロットねこむら ねこむら】
しばらく後…
「ミヤコセンセイ。任務完了です」ガーディアンズ・オブ・ミヤコガーデンが去ったあと、ねこむらが陰から姿を表した。「ありがとうございました。ねこむらさん」「いえ、ミヤコセンセイを止めるため、あえて彼らをドリームリバーへ導く…危険な任務でしたが、成功してよかった」
「さすが銀河一のパイロットですね。…彼らをどう思いますか?」「彼ら、いえ、ガーディアンズ・オブ・ミヤコガーデン…これからが楽しみですよ。本当に」パイロットねこむらは、明るく笑いながら、じゃす星を飛び立つ一隻の宇宙船を見上げた。満月が彼らを祝福するように輝いていた。
【ガーディアンズ・オブ・ミヤコガーデン】終わり