キンチョーの夏

エアコンがない部屋でただ一人で黙々と、暇を持て余した犬がおもちゃの骨をかじり続けるように、本の検品と出品を行っていく。犬と違うのは、この作業が今まさに作業している部屋の賃貸費だったり日々の生活費につながることで、犬と同じなのは特に作業に感情が入ってないということだ。

本の買い取りを依頼いただいた方からご実家の使わないエアコンの譲りますよとお申し出いただいた。あつかましくも、お申し出をありがたくお受けさせていただく。今は冷風機（扇風機の進化版1万円）で東南アジアなみになったこの日本の夏キンチョーをしのいでいる。（日本だけこんなに暑いのだろうか？測り方が間違ってるんじゃないか？）

「13坪くらいなんですが、金がないので一旦これでしのごうかと」
と伝えたとき、ヤマダ電機の店員さんは口を真一文字に結んだまま少し眉の尻を下げた。慣用句的な意味ではなく。

「たぶんこれだと部屋の中を涼しくするのは難しいです。」
小柄できちっともみあげを刈り上げた店員さんは、無理して営業スマイルを維持することなく、丁寧かつ誠実にこの製品の限界と、活用イメージを教えてくれた。信用できる人だ。

扇風機の延長という説明を十分理解し購入し、今この冷風機さんに頼り切っている。結論、扇風機の延長だった。もう少し期待していたが、扇風機の延長でしかなかった。事前の丁寧で信用できる説明の通り。気持ち涼しい風が来るので常に冷風機前にいる必要がある。冬、ストーブの前に居座る猫状態。（夏とか冬とか、犬とか猫とか）
国道沿い、2階、南向き全面窓と恐るべき採光力を持つ弊店においては、焼け石に水。夏の弊店に冷風機。まあそれでもないよりはだいぶマシな命の水ではある。

そんなところで、殺人的暑さに現勢力での対抗に白旗を振り振りな状態だったため、エアコンくれるのほんと神でしかない。本当にありがとうございます。設置費用くらいは確保できる程度に、今日もほんの検品、出品をがんばろうと思う。

自宅から出ると少し涼しい。今日は8/9。昨日8/8が立秋ということで、秋の入口に立ったということなのかもしれない。夏は好きだ。寒いより暑い方が好き。ずっと野球部にいたので体がそれに慣れているからかもしれない。冬の練習は道具を使わない反復練習ばかりでつまらないものだ。陸上部はすごい。