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坂の上の雲が好きです

先日店舗を使っていただき、『坂の上の雲』について語る会を開催してもらった。僕も大ファンなので参加した。

同作は2009年にNHKでドラマ化され、昨年末から今年にかけて再放送されていた関係で、①小説のみ読んだ②小説を読みドラマを観た③ドラマを観た、の3つに参加者の属性が分かれる。当日の参加者でも割とこの3つが均等に分かれていた気がする。

僕は②だ。ただ、本もドラマも浴びたのははるか昔で、「乃木と伊地知ディスりえぐかったなー」とか、「児玉が高橋英樹はかっこよすぎやろ」とかなんかふわっとした印象、かつ割とどうでもいい感想が残っていたのみ。我が家は地上波の線を引いておらず、NHKオンデマンドも入ってないので、小説のみ再読して当日に挑んだ。

テーマ作品を決めての読書会は初めてだったのだが、めちゃくちゃ面白かった。皆さん熱量が高い。同じ本読んでるし、ドラマ見てるし「俺(性別問わず)に語らせろ」という感じで、10人参加で1.5時間設定していたが全然時間足りなかった。時間制限設けなかったら一日いけたな。僕がその後予定があったため会場は定時で閉めてしまった。申し訳ない。

団塊ジュニア以上の年齢の方は、ほぼ全員司馬遼太郎ないし坂の上の雲を通っている、勝手な印象。作品への理解は言わずもがな、歴史背景や前提情報の蓄積もかなりあって、それを聞くだけでも勉強になるし面白い。

大事ではあるが、下瀬火薬エピソードや茶わん一つ使いまわしの好古など、些末と言えそうなエピソードばかりが残っているという方もいて、やっぱそうだよなとうなずいた。大会戦の模様、各師団の動きなどもっと歴史的に重要そうで物語として気を引く内容が意外と残らず、そうした卑近な話が残っている。そんなもんなんだろうか。

「読むたびに新たな発見がある」と参加者の方が言っていた。司馬遼太郎が10年かけて書いた大作、ドラマ化も生前断っていたとのこと。思い入れも強い作品なのだと思う。今回読んでみて、秋山真之と正岡子規の友情を前半の軸に据えたのが同作を白眉とした要素なのかなと感じた。秋山兄弟の日露戦争物語としてもよかったはず。その鉄と地の匂いのするストーリーに、薄命の文化人(彼も血の匂いがしてしまうのだが)を織り合わせることで、当時の国内の世相がより読者に伝わるし、奥行きができて対象読者がぐっと広がったんだろうなと思った。

ずっと手元において5年ごととかに読みかえしていきたい。文庫で8巻あるので結構大変だけど。

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