見出し画像

ガとチョウの話

5月5日 晴れのちくもり
本日のBGM Blossom Dearie


粘土は湿ってて暗いところに置いているので
そういうところが好きな虫が色々と寄ってきます。
ビニールをめくったら蛾がいたので逃す前に写真撮影。

画像1

蛾というのもすごい名前で「が」ですからね。
「蚊」に匹敵するショートネームです。
それくらい短い言葉って「木」とか「目」とか
かなり身近で最初期にできてそうな言葉だから
蛾も古い時代から言語化の対象になるほど
身近な虫だったのでしょうか。


でも今思い出してみたら一文字の言葉でも
そんなに身近じゃないのも結構見つかって
例えば「鵜」とかは鵜飼いの一族以外それほど
みんなに関係のあるものじゃないし、
「麩」なんかも もっと先に名前がつけられそうな
食べ物はいっぱいあって、
1文字の名前だからと言って必ずしも2文字や3文字より
身近であったわけではないのかしら。
「れ」とか「ぬ」とか
特に名詞がなさそうな文字もありますね。


あと濁音の一文字は「蛾」以外に「痔」と「是」
くらいしか思いつかないからやはり蛾という名前は
少し特殊な気がします。


ガ はチョウ目になるそうですが
チョウ目のうちチョウと呼ばれるのは
全体の5%くらいしかいないそうです。
これはどう考えてもガは納得できない結果で、
企業合併で時価総額が5%しかない方の名前を
新会社につけられたようなものですからねー。


まあでも正直言ってチョウの方がイメージいいし、
ガだって「一応分類上はチョウに属してましてね、ええ」
なんて言って自尊心を満たしてるかもしれない。


そんなチョウとガには
はっきりとした違いは特にない、というのも
ガの悲壮感が増してしまうところで、
要するに
気持ちの良い方が「チョウ」で
気持ちの悪い方が 「ガ」 ということですよね?

てことはあの羽をパタパタする系の昆虫は
95%が気持ち悪いと人間から思われてきたわけで、
ガと名付けられた彼らの悲壮感はさらに増して
ヒエラルキーの頂点に立ったチョウ達への
羨望と嫉妬が混じり合った感情に憤懣しつつも
こんな湿って暗いところに入り込んで
じっとしてるなんてなんと陰気な。
そりゃチョウの方がやっぱいいよ。

画像2


でも今回のガは、
私的には結構きれいな部類に入ると思います。
翅の模様もご婦人のマフラーなどに良さそうな感じですし、
羽の形も下側のフリフリがいいよね。


私は虫に対してそれほど気にしない方ですが、
昔からそうだったわけではなく、子供の頃は
虫に触ると皮膚から何か粉的なものや
汚い汁なんかが浸透してきそうな気がして、
極力触らなかったものですが、
今は刺したり噛んだりしないなら別にどうぞ
という感じです。


そうなった理由として虫への理解があると思います。
何か粉的なものとか汁的なものというのは
その虫のことをよく知らないから故に起こる
過剰に空想してしまった被害意識なのではないのかしら。
知らないものはやはり怖いですからね。
だから実態以上に物事を悪い方へ捉えてしまっていたのが、
だんだんと「やばい虫」と「やばくない虫」の分類ができて
気にしなくなったというのがまず一つ、


次は私自身が大変ずぼらになったからで、
潔癖な感覚というのが歳とともにどんどんなくなって
なんなら私の方が汚いんじゃないかな、虫より、
という心境に達すると
これまた虫を気にしなくなるようです。


なんせ庚申窯は木と水に囲まれてますから
細胞の数で比較しても虫の中に暮らしているようなもので、
虫が苦手なままで生活を送ると発狂しかねません。
庚申窯では昔懐かしのあの虫除けがいまだに活躍しております。

画像3

最近父がトマトを調理することを覚えて
やたらとドライにしてるのですが
プチトマトそのまま食べる方が好きなんだけども。。

画像4

理解とずぼらさのおかげで虫は大丈夫になりましたが
とは言ってもヌメヌメする奴は苦手ですね。
だって実際に汁的な奴ついちゃうし。
あと虫を食べるとかそっち系も全然嫌ですね。
キャラ付けにしか思えないので。

おれ

高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目

いいなと思ったら応援しよう!