枇杷とデトックスの話
4月30日 快晴
本日のBGM Gonjasufi
連日の快晴です。雲ひとつないってやつで
私は早くも日焼けし始めております。
粘土作りとか くすりかけとかで
結構屋外にいることが多いのね。
もちろんサンオイルもオリーブオイルで
代用するというライフハックは健在です。
猫には舐めさせないぜ。
庭にあるビワの木に実ができ始めていて
これが熟すのは夏の初めごろになるんだろうから
今のうちに間引いておくとビワは本当に美味しくなります。
なのでグルメ男爵なら労を厭わずにやるべきなのでしょうが
まあそこまでするもんじゃねえやと
自然にできるままに放置する構えです。
他の誰かがやるかもしれないし。
そうしたら熟したものを取っちゃえば良いわけだからね、
労せずして益を得るというこの戦略、
これは一番利得が高い行動になりますが、
全員がこの戦略をとると誰も間引かずに
さして美味しくない小粒のビワが大量にできて
全体の利潤が一番悪くなるという、
ゲーム理論の例題になりそうな
美味しいビワをめぐる戦略的状況でした。
一応私は経済学部でしたからね。
ほぼ忘れてるけどね!
それとは別に庚申窯だけでも他に何本かビワの木があって、
この写真の木は実が沢山つくのだけど
他の木はパラパラとしかつかず、
その分 より凝縮された果汁がたっぷりつまった
大型ビワになるのでめちゃうまなのです。
だから無理してこれを間引かずともって
感じなんですの。
しかしビワの木は葉っぱが肉厚で
南国感を醸し出してくれますな。
それとビワの木って木刀になるらしくて
しかも結構高級品だとか。
うーむそれなら前に切りたおした木とか
取っといたら良かったな。
まあ別に木刀なんていらないと言われれば
その通りだけど、なんかくすぐられるものがありますよね。
そのビワの木のすぐ前が
いつも粘土を作っているところで、
粘土の水簸(すいひ:網でこすこと)作業は
タル1からタル2に粘土を濾して移す作業なのですが
これを繰り返していると タル1には粘土よりも
粒の大きい砂や小石が底に溜まっていきます。
これをあんまり溜めてしまうと
タルは全く動かなくなるので
底の方に全体の2割ほど溜まったら
砂を出してしまいます。
ただ2割でもかなり重く、持ち上げたりすると
確実に腰の寿命を削るので、
フタを閉めてからゴロンゴロン転がしていきます。
段差があるのでこの時に重すぎると大変です。
そうならないよう こまめな掃除を心がけて。
こまめな掃除というのは庚申窯メンバーに欠落している
いくつかの概念の一つですが。
最後は気合を入れて持ち上げて
この砂山にぶっ込みます。
どうせまた砂は溜まるので綺麗に全部出す必要はなく、
あらかた出したらタルを元の場所に戻します。
この容器自体は軽いので帰りは楽々です。
農業用のやつなのかしら。
この砂も捨てているわけではなく、
実は使い道があるのですが、
その作業はまたの機会に。
戻したタルに また新たに原土を3分目くらいまで
入れて、水を8分目くらいまで注ぎます。
これを1日置いておくと土が水に溶け出して
撹拌器でグイングイン混ぜれば
粒の小さな粘土は水中に浮き上がり
砂や小石は下に沈みます。
そうやってまた砂たちは溜まっていくので、
あまり溜まりすぎないうちに
吐き出してしまうことが肝心ですね。
なんかそう書いてみると日常生活とストレスの関係みたいですね。
砂を溜めすぎたタルは動かせなくなるので
スコップですくってバケツに移して
何度も運ぶという、大変 非効率的で
めんどくさい状況になります。
回避するためにもこまめなデトックスが
大事なんでしょうなあ。
溜めすぎ注意。
高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目