紫露草と空気圧縮機の話
5月13日 快晴
本日のBGM XXXTENTACION
薪窯がある掘建て小屋の前に小さい花壇があって
その時々で咲いてるものが違うのですが
今日はこの紫色の強い花が咲いていました。
調べてみたらムラサキツユクサというそうです。
ムラサキツユクサは漢字で書くと「紫露草」
大変 和っぽい名前ですが原産は北アメリカだそうで、
咲いた花は1日でしぼんで
次の日はまた別の花が咲くというスンポーなんだとか。
そんな様子からつけられた花言葉が
「ひとときの幸せ」
意味のわからん花言葉に比べたら納得しやすいですね。
まあ花言葉というのも
花の方で喋らないのをいいことに
勝手なイメージを押し付けてる
人間の傲慢さのなせる所業なわけで、
てことは誰がつけたって構わないんだから
お気に入りの花に自分のオリジナルで
花言葉を作って、ネット上に10か所くらい
その花言葉を書いておったら
いつの間にか事実になるんじゃないかしらん。
出典の根拠って3~4個くらい見たら
「事実!」って思っちゃうし。
マイナーなやつから始めるとバレにくいかと。
あ でも有名なやつはまた
えらいいっぱい花言葉持たされてるから
有名なやつでも大丈夫だな。
花言葉乱造キャンペーン。
花言葉に権威団体ができる前に!
さてこちら この間ペーパーがけのあと素焼きした
小皿ですが、削った際の粉が素焼き後も残っております。
これから釉薬をかけるのに この粉が残っていると
釉薬を弾いたり 気泡の元になったり、
釉薬の方に粘土の成分が混じって
色が変わったりするので
最初にこれを掃除してあげます。
その掃除方法は風で吹き飛ばすというもので、
使いまするはこの空気圧縮機
通称「コンプレッサー」です。
詳しい構造はわからないのですが、私なりに説明すると
これはとにかく空気を吸い込めるだけ吸い込んで
ぱつんぱつんになってる風船のようなもので、
容器に弾力性がないから このサイズのまま
中に何倍もの空気を圧縮して溜めておける機械です。
その空気を飛ばすのがこちらのスプレーガン
引き金を引くと空気を発射できます。
空気のパゥワーは調整可能で、
右側についている筒に液体を入れると
液体をスプレー状に発射してくれます。
普段はここに釉薬を入れて
釉薬の吹き付け作業に使いますね。
筒が空の状態では空気だけ飛ばせるので
その風で削り粉を吹き飛ばします。
吹き飛ばした後がこんな感じ。
粉だけでなく家電やカーペットにたまった
ホコリなども吹き飛ばせますし、
タイヤに空気を入れられて
水を入れれば高圧洗浄機にもなります。
もうコンプレッサーなしの生活は考えられない。。
このコンプレッサーは局所的には
かなりの風圧があり、
粉をきれいに吹き飛ばしてくれるのですが、
それでもこのお皿の表面を撫でてみると
サラサラした粉が指につきます。
つまり風で吹き飛ぶ粉にも
ある程度の大きさが必要ということで、
一定よりも小さくなると、風をうける圧力よりも
ものにくっつく力の方が強くなるんでしょうな。
このくらいだったら もうあまり関係はない(はず)
だから くすりかけに移行します。
もしこの小さな粉も取りたい場合は
水で洗うと取れますが、
今度はその水でも取れない小ささの粉があって、
サイズが変わると法則が変わるというのを
体感できますね。
そしてペーパーがけという何気ない作業で
そんな細かい物質を量産していたと考えると
これまた感慨深いものがあります。
かける釉薬はさし板にチョークで番号を書きます。
私は釉薬を自分で勝手につけた番号で把握しておるので
庚申窯のHPでは この番号で焼き物の説明もしています。
だって同じ釉薬でも発色が全然違うことが多くて、
それを色で説明するのがめんどいのだもの。
こっちも704あれも704。
それでいいじゃないかい。
ちなみにこの704+はワラ白釉に緑青流しのやつです。
釉薬がけは基本的に日のでている時間しかできず
今日は終わらなかったのでまた明日。
高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目