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経営者保証を外すための制度!経営者保証改革プログラムを解説します

はじめに

経営者保証改革プログラムが2022年12月に発表されました。これは経営者保証に頼らない仕組みを構築しようとする試みで、実は経営者保証を外す動きは以前からあったのですが、なかなか浸透しませんでした。その理由としてこれまでの金融機関の融資の方針を大きく変えるものであることに加えて、近年のコロナの影響などが挙げられます。ただ、今後は「経営者保証改革プログラム」により経営者保証を外す動きが加速することが予想されるので、今回の記事ではその制度の概要を紹介します。

経営者保証改革プログラムが適用される4つの局面

経営者保証改革プログラムが適用される局面として以下の4つが想定されています。
①スタートアップ・創業
②民間融資
③信用保証付融資
④中小企業のガバナンス

今回は②民間融資と③信用保証付融資にフォーカスしてお伝えします。その理由として、やはり②民間融資と③信用保証付融資が最も適用される件数が多く、利用される可能性が高いからです。

経営者保証改革プログラムを適用できたらどうなる?

経営者保証改革プログラムが目指しているところは、「経営者保証を外す」ことで金融機関が過大な資産保全を回避することにありますが、②民間融資や③信用保証付融資を受けている会社には具体的に下記のような結果が生じます。

①経営者保証を外せる
②条件付きで経営者保証を外す(利率上乗せ・動産担保など)
③経営者保証を外すための改善案
④場合によっては金融庁に通報
⑤他行との取引を視野に…

このうち①経営者保証を外せる、②条件付きで経営者保証を外すについては、結果として『経営者保証が外れる』ため、この制度の望ましい結果といえます。また、改善が必要であれば、③経営者保証を外すための改善案が金融機関から提示される可能性もあります。

ただ、前向きな結果ばかりではなく、例えば、金融機関の指示を受け入れ、経営者保証ガイドラインに沿った状態になったにも関わらず、金融機関が経営者保証を外すことを受け入れない場合も想定されます。その際は④場合によっては金融庁に通報、⑤他行との取引を視野に…というアクションを起こしましょう。

特に⑤他行との取引を視野に…という状態は、金融機関と駆け引きをすることになりますが、このアクションを取る場合は、事前に他の金融機関と交渉を行っておくことが必要です。なぜなら、この状態はもう「ケンカ」している状態なので、今後、金融機関からは協力(融資)を受けられない可能性もあるからです。そのため④場合によっては金融庁に通報も含めて、「最後の1手」と思っておいてください。

経営者保証ガイドラインを守るとは?

経営者保証改革プログラムは、これまであった「経営者保証ガイドライン」という制度を守ることが前提になっているのですが、ただ「わが社は経営者保証ガイドラインを守っている」というだけではダメで、実際の行動が伴わないといけません。

ここで経営者保証ガイドラインの判断基準は
①企業と経営者の関係が明確に区分・分離されている
②財政基盤が強化されている 
③経営の透明性が確保されている
という3項目です。

上記の3項目をシンプルにまとめると「会社と経営者個人」の分離ができているつまり、「所有と経営の分離」ができていて、きちんと管理されている会社ということになります。その分かりやすい例は『役員貸付金』が貸借対照表に無いことが挙げられます。

会社と経営者個人がごっちゃになっている場合、会社のおカネか?経営者個人のおカネか?ということが区分できずに結果として『役員貸付金』という勘定に集約されます。もし自社の決算書に多額の『役員貸付金』がある場合は、それを改善することが必要になります。
なお、経営者保証ガイドラインについて、さらに詳しく知りたいという方は以前の私のブログを参照して下さい。

さいごに

経営者保証ガイドラインは10年くらい前からあった制度です。ただ、これまであまり乗り気でなかった金融機関もあったのですが、経営者保証プログラムが発表されたことで、業界全体として経営者保証を外す流れになっていることは確かです。

経営者保証ガイドラインを守れている会社は金融機関目線でいうと「いい会社」です。このような優良顧客を金融機関は手放したくは無いと考えているのと同時に、ライバルの金融機関は顧客にしたいと狙っています。このように、金融機関にモテる会社になるため、経営者保証ガイドラインを活用してください!

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