新事業あるあるTips
こんにちは、越です。
先日、経営者仲間で新規・既存事業のブレスト壁打ちをしてきたのですが、その中で出た「あるある」ポイントを2つ書いてみようと思います。
アイディアを人に話していいのか
特に起業しようとする際に「越さんだから相談しますが、誰にも言わないでくださいね」とか「パクられたら終わりなので秘密にしてくださいね」と言われることがあります。
無意味です(笑)
というかアイディアは人と話す中で新しい気付き・ヒントが出て花開いていくことが多いです。絶対、話す方が前に進みます。
では、なぜ言わない人がいるか?
冒頭のように「パクられる」リスク・心配があるからですが、はっきり言ってここまでの人生で実現前のアイディアを人に話してパクられて後悔した、という人を僕は見たことがありません。
一つだけ例外というか近い例があるとすると、「実現前」x「相談者」ではなく、「実行・具現化後」x「起業家/大企業」間で起こった事例として、タイのデリバリー系スタートアップが「バイク版Uber」としてコロナ前に存在感を放って数百人というバイカーを束ねてサービスが伸びていたところに、某通信会社系財閥が「投資に興味があるから詳細を」と根掘り葉掘り聞いた3カ月後に全く同じサービスをロンチした(そしてこの財閥は他のスタートアップでもパクリの常習として界隈で有名)という話を聞いたことがあります。
ただ、この場合はアイディアを盗まれたわけではなく、要はノウハウと大企業の資本、という話なので起業家/新規事業担当者がアイディアを盗まれるのとは話が違います。
基本的にアイディアには価値はないし、本人は「このアイディアは貴重」と思っていても自分が思いついた時点で100人は同じこと考えてますし、他の人が実施しないのは本人ほどその価値を信じていないからなので、話したところで全く問題ないです。
今すぐやらないと手遅れになるのでは、と焦る
タイで相談に乗ることが多いからかもですが「駐在で来ているのですが、帰任も近いし、でも帰る気もない。こういう事業を思いついたので起業したい。まだ任期はあるからしばらく待つか、でも手遅れになったら困るからいますぐ起業した方がいいでしょうか」という質問を受けたことがあります。
これも即答しますが「焦らずいまの立場でできることがたくさんあるので、立場を変えずにこのプランのためにできることをいまから進めましょう」です。
今すぐ実行しないと手遅れになるというケースはかなり稀です。
失敗例でばかり自分を挙げるのもアレですが笑、たとえばうちは2016年にSaaS/クラウドが来る、と思い当時HappyHRという給与管理クラウドを立ち上げました。
CTOの退職という全く別要因で事業をやめることになりましたが、実はタイのクラウド事業はそこから3年しても黎明期でした。
例えば、現在タイのクラウド会計筆頭で、Sequoia・マネーフォワードなども株主にいるFlowAccountのCEOクリットさんと話した際に、2018年時点で彼らの収入源は実は年間のシステム利用料ではなく、FlowAccount使いこなしのための会計セミナーを月に数百社集めて開催しており、そのセミナー料が柱だったという驚きの話を聞きました。
いまはもちろんシステム使用料の方が上回り本来のSaaSの姿になっていると思いますが、まだ社会に定着していないサービスを仕掛ける時、半年~1年の差などは正直、経営力・資金力・運営ノウハウなどに比べて勝敗の結果に与える影響は圧倒的に小さいです。
なので、いまの仕事でまだやることがあるから、駐在の任期がまだあるから、という場合、焦って乗り出す必要は全くないと思います。
むしろ、恐らく見えていないだろうと思うのは、会社を辞めたりいまの仕事を中断しなくてもその新しいアイディアを実現するためにできることがたくさんあるはず、ということです。
何かを売りたいならその価格・競合製品・販売チャネル・コミュニティなどを調べるだけでなく(ここまでは現職に留まりながらやる方は多い)、実際に自分でも小さなショップを作ってみて、販売・仕入れ・プロモやマーケなどをやって
「いくらで売れるか」
「どんな反応があるか」
「本当に買ってくれる人はどんな人か」
「そういう人たちはどこに出向けばたくさん出会えるか」
ということも十分起業前や現職の任務をこなしながらできることが多いです。
ハードルは物理的な時間というよりも
・(現職と新規アイディアという)全く別のベクトルに生きる時間を分けるマインドシェアの割り方のコツ
・どことなく”いま”に対する罪悪感
・時間的な負荷が大きくなることのしんどさを上記を言い訳にして「背水の陣にならなきゃできない(なればできる。オレ本気出す)」的な気持ちの問題
だったりする気がします。
ということで、もしこういう課題を抱えている方がいたら、参考になれば幸いです。