共同創業・経営するときの「誰をトップにするか」問題
こんにちは、越です。
タイで起業した当初「これから大変なことがたくさんあるのだろうな...」とは思いつつも「何が、どう、どれくらい大変なのか」「何を備えればいいのか」など具体的なイメージが沸かず、本当に分からないことだらけでした。実際に、とても難しかったトピックの一つが「共同創業者」について。
先日見かけた、東南アジアのスタートアップ系メディアのトピックが「How to split founder equity without splitting up=(共同)創業者の株式を仲たがいせずに分ける方法」だったのですが、実際には、株式の分け方だけではなく、
・どう出会うか
・誰にすべきか
・どう付き合うべきか(特に責任分担)
・どう/いつ別れるべきか
とかなり深いテーマかと思います。
ということで議論の観点も多いこのトピックですが、「誰をトップにするか」問題について書いてみます。
前提として、僕は、共同創業者・経営者がいてもトップは1人、という認識でいます。
長年企業再生に携わってきた父から以前「No.2と3の差は机の距離。けれどトップとNo.2の距離は月と地球ほどある」と言われたことがあります。企業経営という長い旅路になると、結局のところ意思決定は1人でないと行き詰まることが多いので、「共同創業/経営」と言ってもトップとチーム、というのが僕の認識です。
そして、そのトップを決めるのにやってはいけないパターンがいくつかあると考えています。
1.多く資金出す人がトップ
共同出資で会社を設立する場合に「一番多く出すから大株主」はアリかと思いますが、だからその人がトップというのはまったく理由にならないと思っています。経営と所有の分離、株主は資本で決まるけど、経営者か否かは別問題。
2.言い出しっぺがトップ
事業アイディアを思いついて声かけ始めたから、平等にお金は出し合うけれど、言い出しっぺの人が尊重されてトップ。これも理屈にならない。
3.専門だからトップ
たとえばAIの会社で、その人が一番技術に詳しいから。財務・会計に一番詳しいから。もっとふわっとしてると「社長っぽい」から。これらも経営者とするべき理由にはならない。
他にも、「年長だから」「発言力が大きいから」など色々ありますし、たとえば「経営力が一番高い人」としても、判断がつかない場合もあるかもしれません。
では、何で決めたらいいのか?
僕の中の一つの基準は「一番最後まで逃げずに問題と向き合う人」です。
もう少し正確に言うと、最後までこの会社の問題と向き合い続ける人。
資金、人、ビジョンとの乖離、当初と違うテーマ/方向性へのシフトなど出発点とその後では、ありとあらゆるものが変貌していきます。誰がそれに一番対処するスキルがあるか、変化に適応できるか、なってみなければ分かりません。
ただ、それでも、出発時にありとあらゆる問題が起きたときに、誰が一番最後までこの船に残りそうか?というのはある程度分かると思います。
経営力でも資金力でもなく、上記の観点でトップを決めると、多くの場合で経営者の交代、経営権や意思決定を巡っての争いなどは避けられる気がします。もちろんそれは、リスク/問題を減らすだけであって、対立して共同創業者が去ることも、経営者が代わることもあると思います。それでも、最初から決めていれば、いざ問題に直面した際に準備が出来ていて、対処が少しでもうまく行く可能性があります。
起業・経営において、共同創業者の問題は最も表に出てきにくい一方で、直面する方も多い問題だと思うので、また取り上げていければと思います。