見出し画像

デザイン経営スクール進捗報告会2024

公社が運営する「デザイン経営スクール」は、これまでに100名を超える修了生を送り出しています。約4か月に渡る濃ゆい講義を一緒に過ごしたお仲間たちは、スクールが終わったあとも交流が続いているようです。
「ランチに誘った」「事務所に遊びに行った」などの緩いつながりから、「お仕事を依頼した」「プロジェクトを立ち上げた」「新事業のための新会社を設立した」というようなガチ協働まで、活発な動きが生まれています。
さて、そうした活動を共有し合う「進捗報告会」を毎年行っています。2024年は6月に第1期から第4期の受講生にお声がけし、30名以上が集まりました。
その中から、主だった進捗報告をご紹介します。


EVENT REPORT 進捗報告会2024

1.株式会社トムテ

トムテ・榎本さんは、デザイナーとしてスクール第2期に参加しました。スクールの最終課題として取り組んだ新規事業開発に興味を持ち、今井講師が紹介した「東京ビジネスデザインアワード(TBDA)」に応募。マイステックの医療器械職人の手加工技術というテーマに対し、医療器械職人によるソリューションサービスの構築とブランド展開という提案をし、テーマ賞を受賞しました。

東京ビジネスデザインアワード(TBDA)のHPより
AXIS Web Magazine 東京ビジネスデザインアワード実現化への道のり(インタビュー

そして、2023年より「SICRASS(シクラス)」として事業化。日本の手加工技術を評価し医療器械職人の価値を広めるため、6つのサービスを展開しています。整形外科に特化し、国産の手術器械の製造や医師の監修のもとここでしかできない製品の開発、販売を担っています。また会員制度を設けたことにより協力者のネットワークが広がっています。

医療器械職人によるソリューションサービス「SICRASS」の概要図

榎本さんは、昨年のTBDAでは最優秀賞とテーマ賞をW受賞されました! ビジネスデザインの楽しさを実感しており、これからも取り組んでいきたいとお話されていました。今後、どのように事業展開していくのか、来年の報告を楽しみにしております。

きっかけはデザイン経営スクール!という嬉しい言葉。
担当者冥利につきます。

2.株式会社マエダ

建築金物や建具の設計・製造を行うマエダ。同社の岡村さん、志賀さんは、デザイン経営スクール第1期受講生です。スクール修了後は、em.feel(エムフィール)という自社ブランドを立ち上げ、「楽しいから愉しいまで人生に豊かな彩りを」をコンセプトにした小物を製造。今年は新たにピンホールメガネやスマホスタンドとして使用できる「黒猫」「桜」を発表しました。

ピンホールスタンドマーカー「黒猫-Black Cat-」

また、様々な技術を持つ町工場とクリエーターのコラボにより生まれた魅力的な作品を披露する「川口まちこうば芸術祭」に参加。イラストレーターの坂崎千春さんとコラボした「チーバくんと日本の仲間たちパズル」で注目を集めました。作品展示だけでなく、イベント内の展示スペースの施工も担当したそうです。

「川口まちこうば芸術祭」出展作品より
「チーバくんと日本の仲間たちパズル 青」

さらに、同じ川口にある新光ステンレス研磨と共同で新たなブランド「空のカケラ」を立ち上げました。金属加工に強みをもつ両社の技術を活かし、様々な表情を持つ時計を受注生産で製造しています。企業の周年記念としてオリジナルの仕様でオーダーされることも増えているそうです。来年は海外の展示会出展を目指すなど、意欲的に取り組んでいます。

「空のカケラ」では様々な表情をもつ時計を生み出しています

3.D-noum

空間設計を主体としているデザイン事務所であるD-noum(ディノーム)。第3期スクールを受講したデザイナーの藤井さん、山田さんは、デザイン経営スクールでの協働体験を踏まえて、新たな取り組みをはじめました。
その名も「Parallel Product(パラレルプロダクト)」。ものづくりの際に生じる不要となる部分を廃棄するのではなく、どちらも使えるように「同時製造」して、2つのプロダクトを生み出すという考え方です。同じ道筋で2つのものをつくることで、作業時間や人件費の短縮・効率化を図れますし、同じ魅力が宿っているのでストーリー性も高い。そもそも手掛けていたものを同じ工程を経るので、はじめの一歩を踏み出しやすいと考えたのです。そのうえ本来廃棄していたものをダウンサイクルするのではなく、アップサイクルという新たな価値を付加して送り出すことが可能となります。昨今のSDGsを意識したものづくりにもぴったりといえそうです。

D-noum が提案する「Parallel Product」の仕組み

すでに事例もいくつか生まれており、スクール関連では、同じ修了生であるマエダやミューテックとコラボを進めています。マエダとのコラボのきっかけは、昨年の進捗報告会でした。参加した期が違う同社ですが、報告会で出会って意気投合し、マエダの工場見学に藤井さんが伺った際に、まさに「空のカケラ」の製造中で丸くフレームが抜かれたあとの板金を見つけ、ひらめいたそうです。この形状を利用し、針も端材でつくって新しい時計「Another Clock」を提案し、製造を進めているところです。

マエダの時計ブランド「空のカケラ」とコラボした「Another Clock」

このように修了後も共創の輪が広がり、中小企業の技術や強みとデザイナーのアイデアをかけ合わせて新たな製品・サービスを生み出し続けていること、チャレンジし続けていることそのものが本スクールの魅力といえますね。
他にも、熱のこもった報告がたくさんありました。全てをこのnoteに書き起こすことができず非常に残念ですが、修了生の皆様の熱意が少しでも伝わればいいなと思います。

講師の清水さんからもメッセージをいただきました

4.懇親会

さて、報告会のあとは、軽食とドリンクを片手に懇親会となります。今回は1期生から4期生までの皆様にご参加いただきましたが、ご自身が参加した期はもちろん、異なる期の方ともお話が弾んでいたようです。デザイナーと事業者という枠組みを超えた交流が持てるところも、デザイン経営スクールの強みです。ここから新たに、未来の新商品/サービスの芽が育っていくかもしれません。

約1年ぶりの再会に盛り上がりました

スクールでの学びを活かして、新たな事業を生み出している様子に、事務局としても胸が熱くなります。また一年後にどのような変化が起こっているのか、修了生の皆様からのご報告を楽しみにお待ちしています。

デザイン経営スクールについてはこちら↓

#デザイン経営
#異業種交流
#共創

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?