見出し画像

労働者にとっての金融機関は依然蟻地獄だが関連産業はホワイト化傾向にある

はじめに

金融機関勤めの人間、特に銀行員をやっている労働者はほとんど皆仕事が辛いと言っているイメージだ

というか言っている

なぜ、断定形で言い切ってしまえるのかと言えば、自分は金融機関に群がる関連産業で働いているからである
傍から見て、金融機関で働くというのは絶対最悪だな〜と肌で感じている一人だ

金融機関は世の中の企業の中で群を抜いてメンタルがやられる仕事だろう
しかし、そんな金融機関の傍らで働く自分は…と言うと、すこぶるホワイトな働きぶりである

金融産業は当事者か取り巻きかで労働環境にかなりの落差がある

今日はそんな話をしたいと思う


地銀の例

上記では金融機関とおおまかに言ったが、そもそも自分が知っている金融機関は地銀である
これより以下、金融機関と言っているものは地銀のことを想定していると思ってもらえればいい
と言っても、金融機関はどこも横並びの文化であり、メガバンであっても文化に大きな違いはないと思われるので、自分が見知った金融機関のここがしんどそうという部分についてつらつらと述べていくことにしよう


謎の選民意識

全ての地銀の人がそうではないことは重々承知していることだが、それにしても地銀の人と関わっていると違和感を覚えるところがある

それは、謎の選民意識を持っていそうだなというところである

もちろん、選民思想を直接的にぶつけられるわけではない
ただ、なんとなく感じるのだ


我々は違うんだぞというオーラを


確かに、地銀はその地域における最も有力な就職先である
地域によっては地銀に入ったら一生安泰、地元の英傑という意識のところもまだまだあるのだろう


都内に住んでしまうと地銀なんて視界にすら入らないかもしれないが、ところ変わって地方に行くと地銀の存在感は存外まだまだすこぶる大きいのである

高齢者のほとんどは地元の地銀の口座をまだまだ愛用しているし、地場産業でブイブイ言わせている地方の事業者は例外なく地銀とズブズブの関係を築いている(※持ちつ持たれつの関係と言いたいだけ)

ということで、地銀はまだまだその地域一帯への強い影響力を持っている

地銀様あってのその地域の発展ありという構造が出来上がっているのだ

だから地銀に就職することのインパクトはその地域の人間からしてみればかなり大きなものとなる

地方就職においてはトップに君臨する就職先が地銀なのである

だからなのだろうか、俺は違うぞというオーラを感じるのは


体育会系文化

金融機関の特徴を一つ述べよと言われたら、この特徴が代表的かもしれない

金融機関は本来頭だけ使っておけば良いはずなので、医者のようにアスペが多くなってもおかしくなさそうな気がするが、実際はアスペには非常に生存困難な体育会系文化の環境が染み付いている

上下関係が非常に厳しく、上位者が下位者に好き勝手してもいいという風潮が根強く残っている

体育会系の会社の文化は世間的にはよく軍隊的と表現されることが多いが、今時の自衛隊や世界の軍隊は仲間を尊重し大事にするのがスタンダードである
下位者であっても無下にせず配慮が求められる文化になっている
やはりいざとなれば生命のやり取りをするからだろう

お隣の人権意識なんてまるでなさそうな気がする中華様の人民解放軍ですら、この辺の意識は醸成されている

中国という国は共産党員という特権階級のみが心地よく暮らせるように設計されていると思われがちだが、金融機関の方がよっぽど階級意識が強く居心地の悪い環境を作り出しているのである


キャリア洗脳教育

また、金融機関の露悪癖とも呼べる文化が、キャリアの洗脳教育である

金融機関に勤めると、露骨に他の職業はまともな仕事ではないという刷り込みを行って来る
少なくとも、銀行員が他の職業に転職しようとしても通用しないぞ、と脅しをかけているのはどの金融機関も同じであろう

そして、存外この脅しはかなり効く
実際に金融機関を辞めた人の予後はそんなに悪くないのだが(官僚リタイア民の方がよっぽど予後が悪い)、この脅しは金融機関勤めの労働者の心を蟻地獄のように縛っている

全員が洗脳されているため異論が入る余地がない
キャリアは自分で切り拓くものではなく、会社の成すがままにされるべきものだという時代錯誤の文化を未だに根強く労働者に刷り込んでいる

今時このような考えは天然記念物ものであるが、金融機関というガラパゴスに囚われると、世界の常識はなかなか見えなくなってしまうようだ

金融機関は新卒至上主義、終身雇用絶対主義、年功序列主義は、JTC共通の文化だと洗脳してくるが、この教えこそが金融機関の視野の狭さを物語っている

社会の解像度がまるで低すぎる
銀行が衰退し、コンサルが隆盛するのも当然である

JTCの新卒至上主義、終身雇用絶対主義はとうに終焉を迎えている
今時の若者が転職というめんどくさいものにビンビンに興味を持っているのが良い例だろう

しかも、昭和の時代ですら新卒一括採用、終身雇用を維持できていたのは、ほんの一部の大企業のみである
上記のTHE JTC文化は名前を聞いたことのある有名企業の中でもほんの一部の会社での出来事である
世の中の企業は僕らの知らない企業が圧倒的に多数を占め、そこに勤める労働者の多くは職を転々としてきた
昔っからである

JTCの新卒至上主義云々というのは、あまりにも上澄の話であり、一般論だとはとても言い難い

実際自分の周りの元金融機関勤めの転職者は揃いも揃って、もっと早く転職していればと口にする

待遇は下がることの方が多いが、それに変え難い幸せが手に入るという

金融機関から出たら社会で通用しないという金融機関が労働者にする主張は全くのデタラメである
この言葉はもはやブーメランであろう
社会で全く通用していない金融機関自体がその言葉を重く受け止めるべきだろう


飲み会にお邪魔したら本当に邪魔してしまった

余談だが、昔一度、地銀の飲み会にお邪魔させてもらったことがある

そこで感じたこととしては、絶望的にノリが合わねぇ…ということである

そういった飲み会にはどうやら流儀や作法が存在するようで、困ったことにある程度共通のテンプレがありはするものの、参加するメンツ次第で攻略法が微妙に異なるようだ

そんな流儀も作法も身につけていない部外者が興味本位で行ったものだから、非常に邪魔だけしたなぁという思い出になっている

まあ一言言わせて貰えば、ノリが合わないとしてももう少し大人な対応はするべきだろう
職場の文化やなんやと名目を立てても、虚栄心を満たしたいだけというのは見え透いている
幼稚な上司に合わせなきゃいけない銀行勤めの人は大変だなと若いながら思ったことがある


ノリが合わないなと感じた部分をざっくりまとめると、なんだか公立高校みたいなノリだなというのが大きいかもしれない

知的になろうとして謎のカッコつけを行うが、知的になりきれていないといったところだろうか?

自分が公立高校に通っていてめっちゃズレてるなと思ったところとして、知的に振りすぎたネタは全くウケないというものがある

単純に学問的な面白さだけで話をすると、必ずといっていいほど、で?なんの話なの?という返しが返って来る

京大ではあり得ない返しだ

インタレストな話は通用せず、ファニーでなければ摂取しないという点が非常に好き嫌いが激しいなと感じる

ファーストフードばかり食ってるとそうなるんじゃないかと訝しんでるが、京大生もファーストフードばっかり食ってるやつはいるからあんま関係ない気はする
ただのぼやき

じゃあ、ファニーな話をしてやろうじゃないかと思っても、笑いのツボが意味不明という問題にぶち当たる

正直な話、俺はピコ太郎の何が面白いか全く理解ができない
PPAPのどこでどう盛り上がれば良いのか本当にわからない
しかし、彼らにウケるのはピコ太郎のようなネタである

できない…
全く真似できる気がしない…

これは自分の実力不足という面もあるだろう

しかし、自分はお笑いが全くわからないというわけではない

俺はアキラ100%が大好きだ

だからアキラ100%みたいなネタをしよう

結果……

ダダ滑りである

なんでや!


これが一番意味不明である

どうやら下品なネタはアカンらしい


どうやら自分がピコ太郎の面白さが全くわからないように、彼らもまたアキラ100%の面白さが全く理解できないらしい

うーん、険しい

ノリが絶望的に合わない

さて、この金融機関の話のノリが絶望的に合わないというのはひょっとしたら自分だけの話かもしれないが、同じようにノリが合わなくてしんどいと感じている人もいるのではないかと思う

ノリが合わない人と四六時中仕事をしなければならないと言うのは結構ストレスだろう

特に金融機関は未だに無意味な出社を義務付けていたりもする
本来うまくやっていけないものたちが無理やり隣人として過ごさなければならない状況に据え置かれることで、じわじわとその精神を蝕まれていくのだろう


詭弁だらけの終身雇用

金融機関のネガキャンは始めればキリがないので、これで最後にしようと思うが、金融機関は労働者を縛る理屈すら詭弁に満ちている

転職したらお前なんてどこに行っても通用しないぞ、というセリフもそうだが、黙って勤めていたら死ぬまで面倒見てやるというのも、嘘だらけでどうしようもない

金融機関勤めの人が転職しても十分通用するというのは、自分の周囲の転職者を見ていても明らかであるというのは先ほども述べたとおりである

死ぬまで面倒を見るという点に関しても、金融機関の嘘はひどすぎる
というのも、一般的なJTCと比べて金融機関に勤める方が定年が早いからだ
とんでもない話である

JTCは一般的な定年の年齢が60歳なのに対し、金融機関は定年が実質50歳である
50歳を超えて主要な役職についていなければ、出向、つまり、会社の外にポイされるのである

会社からポイの年齢は役職によるが、多くの場合、55歳までには追い出されてしまう
確かに、労働者の権利を行使してしがみつくことも可能だが、巧妙に外に追い出すような手を使われるため、結局お外にポイされてしまうのである
定年が短いため、結局トータルで考えた時の生涯賃金も低くなる
今時退職金なんてものは削られに削られる
最初からないものと思った方がいい

普通、金融機関に職を求めに来る人間は安定と高給を求めてくるのに、その労働環境は嘘と欺瞞に満ちている

金融機関の最も大事な資産は信頼であると言うのはなんだったのだろうか?
どの口が言うのだろうかと思わざるを得ない


まとめ金融機関は蟻地獄である

さて、長くなってきたのでまとめるとこうなる

労働者にとって金融機関は蟻地獄である

安易に近づくべからず

仮に入社してしまっても後から十分挽回可能である

さっさと見切りをつけて、後に述べる関連産業への転換を図った方がいいだろう


打って変わって周辺産業はと言うと?

そもそも、金融機関の関連産業というと何があるだろうか?

車産業であれば、車の部品を作るメーカー、工場を作る建設業や車の保険、燃料となるガソリンなどのエネルギー産業、などなど、列挙すればキリがないほど上がってくる

しかし、金融業の関連産業は、リースやクレジットなどなど、いやそれだいたい全部金融業じゃねぇかと突っ込まれるような産業ばかりである
同業他種といったところで銀行に比べればマシなところも多々あるが、それでも金融業なので金融業界の悪い文化が見え隠れする

では、金融業界に入ってしまったら金融業界での関わりしか持てないのだろうか?

ノンノン、異業種で一つだけあるのだ
この業界が死んだら金融業も死ぬという産業が

それは、ズバリIT業界である!

そして、金融機関の働き方が悲惨であるということは上記で述べたとおりだが、打って変わって金融機関を顧客として相対するIT業界は非常にホワイトなのである


金融機関向けIT業界は大体ホワイト

今まで散々金融機関のネガティブキャンペーンを行なってきたが、その周辺産業(IT業界)はホワイトな傾向が強いという話をこれからしていく

意外かもしれないが、これは考えると割と必然的な帰結である

詳しく語ろう


金融機関のビジネスはIT屋ありきである

さて、そもそも金融機関、ここでは銀行を想定しているが、銀行の基幹業務はほぼ100%、IT化されている

例えば預金業務を例に出してみよう

昔々、古の時代の銀行は、現金を受け取って誰がいくら預けたかを紙に記帳していた

しかし、今時紙で記録を取っている銀行を見たことがあるだろうか?

答えを言うと、ない

全て電子化されている

しかも、これは今に始まった話ではなく、もう50年以上も昔のコンピュータ黎明期からの話である

IT技術は新しい技術のイメージが強いかもしれないが、金融システムを僕らが生まれるはるか昔から存在し、支えてきたのだ

ただし、コンピュータの姿や形、その使い方が現代とはまるで違う
ノートパソコンやスマートフォンが当たり前のように普及している現代人では想像もつかないが、コンピュータ黎明期のコンピュータはトラック並のデカさがあるバカデカ物体だったのだ

だから扱う人も限られていたし、SIerや金融機関にでも勤めない限りその存在自体知らなくても無理はない

しかし、確かなこととして、金融機関のIT化はコンピュータが出てきた瞬間から行われてきた
というか、金融機関のIT化のためにコンピュータが発展してきたといっても過言ではない

コンピュータが誕生して大衆に普及するまでの1960年代から90年代の期間は特にそうである

この時代は銀行こそがITの主役であり、花形だった

今はAIや何やらで見る影もないように見えるし、実際金融機関への売上シェア率は低下の一途を辿っているが、それでも未だにIT産業の売上シェアの多くは金融業界へのシステム提供であり、IT業界の貴重な食い扶持であることに違いはない

というのも、IT業界の市場規模15兆円のうち金融システムが占める額が4兆円であり、トップのシェア率だからだ

シェア率がトップと言うことは言い換えればそれは金払いがいい客であることを意味する
金払いが良ければその分IT企業は開発リソースに余裕が生まれる
これは労働環境のホワイト化に直結する

ここで、金融機関の周辺産業がホワイトであるという話に繋がってくる

つまり、金融機関はIT投資を積極的に行っており、その額が大きいので、そのおこぼれに預かるIT企業はホワイト化しやすい傾向があるのである


なぜ、金融機関がIT投資を積極的に行うのかと言うと、本節の見出しにある通り、金融機関は実質的なIT屋さんだからであることに他ならない

このことは冒頭に話したが、この意味をもう少し深く読み解いてもらいたい

金融機関が実質的にIT屋であると言うことは、そのシステムが止まったら金融機関は業務ができない、つまり、死を意味する

と言うことは、システムは絶対に止めてはいけないものであると言うことを意味する

絶対に必要なものになるので、必然的にIT投資額が大きくなるのである

そして、金融機関は伝統的にITスキルを外部のシステム開発会社に頼ってきた

この流れでIT屋が周辺産業として発展してきたのである


金融機関のITシステムが必要不可欠な理由

先ほど金融機関のITシステムは必要不可欠だと述べたが、より詳しく金融ITについて述べると理解が深まると思うので解説しよう

例えば、預金を考えよう

A銀行がX氏より1万円の預金を預かったとする

まずは古の銀行を考えてみよう
100年前の銀行であればその取引は紙に記録されたはずだ
1万円の現金を受け取ったのち、紙にその金額を記帳する
しかし、人間が紙に記録をとる以上、間違いがあるかもしれない

例えば、預かり金1万円と書かねばならぬところを1000円と誤記入してしまったケースである

さて、後で計算すると、紙の記録と現金の額が一致しないことに気づくだろう
この時、何をもって正しいといえるだろうか?

紙で記帳された1000円が正しいだろうか?

そんなバカなことはないだろう

現金1万円がそこに存在することが正しいと皆言うはずだ

燃えたり無くしたりといった可能性ももちろんあるので、絶対に現金の存在持って正しいと言えるわけではないが、紙の記録よりはマシだろう

少なくとも、取引の際に現金のやり取りしているのであれば、現金の行方を突き止めれば真相が明らかになる

しかし、現金を介した取引はデメリットが多分に含まれる

先ほども述べたような紛失消失盗難リスクや現金の準備・取引にかかる労力などである
金額が大きくなってくると嵩張る上に重いという点も見逃せない点である

仮に銀行が全ての預金を現金で保管していたとしよう
例えば、地銀の総預金額は大体1兆円くらいであるが、現金の1兆円は重さで言うと100トン、体積で言うと120立法メートル、つまり5×5×5m幅の保管庫が必要になる

ちょっとした倉庫に収まるレベルではあるが、そんなに嵩張るものを現金で管理するなど、馬鹿馬鹿しい
一度保管したら2度と正確な金額を数えることなどできないだろう
100万円、1000万円単位でちょろまかされてもおそらく気づかないはずだ
そしたら盗まれないために監視を強化するぞ!となる……わけがない
特に現金など所詮紙でしかないのだから、そんなものに莫大な管理コストをかけるのはナンセンスであろう

つまり、電子化するぞ!と言うのは当然の流れであるのがわかるだろうか

電子化すれば、まず実物がなくなるため管理コストがべらぼうに安くなる
また取引も簡便になる
いいことづくめである

このようにして昨今の銀行はほぼほぼ全ての領域が電子化されている

しかし、当然ながら電子化にもリスクが存在する

まずは投資コストが高いという点

今のコンピュータは安価なため想像はつかないだろうが、電子化当初の昔のコンピュータは非常に高価であった
また、ハードだけでなくソフトウェアも必要であり、高度な専門人材が大量に必要であった

導入、維持管理には非常に莫大なコストがかかった

また、電子化した場合の取引記録の管理の問題も存在する

というのも、電子化した場合、実物を介した取引をしないため、取引記録こそが最も重要な証拠になるからである

電子的な取引記録は絶対に正しいものでなければならないという制約が発生する

つまり、1万円を1000円と書き間違えるなどあってはならないし、1万円の預金記録が消失してしまうこともあってはならないのである

なんだ、そんなことか、簡単じゃんと思った人も中にはいるかもしれない

しかし、電子化されたデータの厄介な部分は、この現物が存在しない部分に集約される
現物が存在しない中でいかに信頼性が担保されたシステムを作れるかがシステム屋の腕の見せ所である

意外かもしれないが、この金融システムというのはあらゆるITシステムの中で最も難易度の高いシステムに位置付けられる

システム開発会社は世の中に数多くあれど、金融システム、特に勘定系と呼ばれるシステムを構築できるのは日本では現在4社(6+1社)しかないことからもその難しさは想像に難くないだろう

ただ、DBに口座の所有者と金額を持たせて管理するだけでしょ?簡単じゃないの?難しい難しいと言われてもピンと来ないよ〜という人もいるかもしれない

確かに、金融業務のシステム化の仕組み自体は非常にシンプルである

指摘のとおり、最悪エクセルで口座の所有者と金額残高のカラムを持たせたテーブルを作るだけで、金融システムのIT化は完了した!と言うことも原理的にはできるだろう

しかし、そのシステムは実運用に耐えるだろうか?

エクセルを金融業務で利用した場合、例えば以下のような疑問が浮かんでくるだろう

そのエクセルは誰が管理するのか?
入力の時は誰が記帳するのか?
改竄はされないか?
なくならないか?
使いたい時にいつでも記帳できるか?
大量のデータを保存できるか?(1億人分の口座を作ったら1億件)
大量のデータを処理できるか?
見られてはいけないデータが意図しない人間に見られないか?

考え始めたらキリがないがないが、このような要件が金融システムを作るうえで実際に定義しなければならないのである
これは元をたどれば銀行法にたどり着くらしい
法的な要件を満たせというものであるから、NOとも言えない

そして、金融システムを作る要件で一番きついハードルが絶対に止めてはいけないという要件である
実際に絶対に止まってないかどうかはみずほ銀行の件を見てもらったらお分かりの通りだが、金融システムは原則止めない止まらないのが当たり前水準となる

この信頼性の高いシステムを作るところが、SIerの腕の見せ所となる

まずバカデカ金融システムを作るためには数百人の人間を数年単位で働かせる必要があるため、企業体力が必要という点があり、そもそも作れるか?という一つ目のハードルがある
次に、作ったとしてそれを安定稼働させられるかというのがある
そして、そのシステムを金融機関に使ってもらえるかというハードルもある

結局金融機関のシステムは止まったら一大事なので、新しくシステムを刷新しようとしても、んで次のシステムはチャント動きますのん?とあなたが銀行の頭取だったら心配で心配でたまらないだろう(止まったら記者会見を開いて頭を下げる可能性が高い、いやだろ?)

だから、よくわからない業者の提案など聞くに値しないとなってしまうのだ
本当に作れたとしても実績が重視される業界なのである

だから、産業は固定化される

そして、金融システムは日夜四六時中動いており、メンテナンスやリプレース等日々色々な業務が発生している
金融機関もシステムが止まると金融機関の死を意味するので、ゼッタイ止められないから、システムの維持管理に安くないお金を払うのである
だから、金融システムというのは今では大分廃れていってしまっているものの、それでも今なおまだまだ金の成る木の産業である

この構造が変わるとしたら、金融機関がSIerへの業務委託を辞めて、内製化することだが、内製化のハードルは著しく高いのと、なぜかITがなければ死ぬはずの金融機関は未だにITを軽視している風潮があるので、変わることはないだろう

故に、金融機関の周辺産業は業界が固定化されて、かつシステムの必要性から待遇も確保される傾向にあるので、ホワイト化する傾向にあるという話である


かくいう私も前職はコテコテの金融系SIerだったから、その辺のことは少しは知っているつもりだ
驚いたのは、システム運用・保守周りである

システム運用・保守周りについて、システムに疎いひとのために少しかみ砕いて説明すると、企業が利用する基幹システムは大抵夜間バッチの仕組みが備わっているのだが、これはなにかというと、例えば、スーパーマーケットのレジの売上データを夜間のうちに計算して、次の日の朝には本部で店舗ごとの売上や利益データが見られるようになっていたりするのである
夜間バッチを毎日正常に稼働させるのがシステム運用である
また夜間バッチを動かしていたら、時々エラーが起きたりする
このエラーに対応するのが保守である

このシステム運用や保守は、定形作業とよばれるもので、マクドの店員やコンビニ店員などのように、誰でもできる仕事だという風に原則的には定義づけられている
夜間バッチは夜に流すというのもあって、ここでアルバイト(ほんとはアルバイトではないが表現的にわかりやすいからアルバイトとする)を雇う
システムを作り上げるのに高度な能力は必要とされるが、システムのお守りをするのに高度なスキルは必要としないからである
基本的には用意されているマニュアルやドキュメントを見て、その指示通りに対応したらいい、という何とも簡単そうな仕事である
実際、マクドやコンビニの仕事よりも楽ではあると思う
なぜなら体力はあまり使わないからだ
ややこしそうな画面のボタンをポチポチドキュメントの指示通りにおしていくだけの簡単な仕事である

とまあ、簡単そうに言ったが、実際のところはそんなに単純ではない
クソ雑ドキュメントだったり、ドキュメントに書かれていない謎エラーが起きててんやわんやしたり、不備等色々あって実は全く頭を使わないなんてことないやんけとなるやつなのである
コンビニ店員をしたことのある人ならわかるかもしれないが、レジぴっぴしておけばいいと思ったら、荷物受け取ったり、税金払い込まれたり、にくまん補充したり、やることと覚えることが多すぎて最低賃金の仕事じゃねえよと感じるアレである

原則簡単とは名ばかりの、恒常的な例外状態がスタンダードであるのが、保守運用の仕事である

と思っていた、、、、
話がややこしくなってしまって済まない
とまあ例外が常態化しているのがシステム運用・保守業界の仕事といったが、金融システムの運用・保守に至ってはそんな原則が守られている場所なのである

だから驚いたのである


夜間になにかあれば、保守要員は対応してもらわないといけないが、基本なにも起きないので、スーパー暇タイムである

そこにいるだけでチャリンチャリン出来る仕事

それが、(うまく動いている)金融システムの運用・保守の仕事である

ホワイトだと思わないか?

自分はコンビニ店員と比べて少なくともホワイトだなと感じた


運用保守以外も基本ホワイト

上記は運用・保守の場面で見たが、それ以外のフェーズも基本ホワイトであると言ってよい

全部金融システムが金融機関に必要不可欠であるものだからというものに帰着する

ケチったり、無理させたりでもしてシステムに不具合でもあったら大事だからである
長年の付き合いもある場合も多く、下手なことはどちらも出来ないのだ

よって良識の範囲で仕事が展開される

下請けをいじめまくる製造業などに比べたら大分ホワイトだと言えるだろう


おわりに

長々と書いたら1万字も言ってしまった

そろそろ終わりにしよう

金融機関でつれぇつれぇと言っているなら、金融機関にぶら下がっているシステム会社にも一度興味を持ってみて、ITのキャリアをスタートすることを検討してみてもいいのではないかと思う


いいなと思ったら応援しよう!

ダイキっち
私へのチップが世の中の婚活者を救う助けとなるでしょう(よりアツい婚活者向け啓蒙活動を行います)