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完結した漫画のネタバレなし読書感想『ジョジョの奇妙な物語Part6ストーンオーシャン』荒木飛呂彦

完結した漫画シリーズではないけれど、はたして前作を読まなくても、第6部のストーンオーシャンのみで楽しめるか?

答えはもちろん! 楽しめるのであ〜る!!


ひとまず、スタンドという特殊概念さえ、各種サブカルチャーで知ってさえいれば、第6部のみでも楽しめました。

わたしは第5部から読み始めた、原作とアニメの視聴者です。

たしかに初期ジョジョの男臭さというか、泥臭さみたいなのには、抵抗があって、ちょっとキツそうだな……と思いつつ、美少年や美少女が、主人公の華やかな第5部から読み始めたライトユーザーです。

スタンド同士の戦いは霊能力勝負みたいなところがあり、ウィットな機転で劣勢を挽回する描写あり、笑えるユーモアありと贅沢なエンターテイメント作品ですね。

絵はとってもお上手です。

この絵に抵抗があって、ジャンプ連載時代は避けていたのですが、慣れてしまえば、かっこよく見えるから、あら不思議!

悪役でさえ、ポーズを決めて、どことなくカリスマ感が出ていましたよ。

作者の荒木飛呂彦さんは、悪役を単なる悪党として描かず、そこにある背景にこだわりを持ってらっしゃいます。

今作の悪役も、過去との因縁に決着をつけようともがき、あがく一人の人間でした。

理想を叶えるために主人公たちの前に立ちはだかるのですが、手段を選ばない正義とは一方で悪なのだと、考えさせられるテーマでもあります。

また、「じゃ『あ』ないぞ!」みたいな独特のアクセントを用いた、吹き出しのセリフ回しなど、映画を意識して作られたような、3次元的な作品創りをされています。

舞台となる刑務所から、アメリカの湿地帯、宇宙センターのスペースシャトルまで、読者が旅行をしているような、楽しい舞台が用意されていました。

女性主人公の精神力のタフさが、今作のかっこいいところでもあります(大の大人の男をたじろがせる美少女……かっこいいですね!)。

スタンド能力には、SF的な要素もありますが、それは専門家としての科学技術ではなく、あくまでもエンターテイメントとして仕上がっているので、肩を力を抜いて気軽に楽しめました。

バトルものなので流血もあり、命を落とす人たちもいて、そこはどこか切ないのですが、結末まで読むと、ほのかな明かりが見えたような気がします。

ジョジョの奇妙な冒険シリーズは、第5部から読み始めましたが、正直、後から前を読んでもなんら問題ない作品シリーズとなっています。

今作から読んで、前作を読むのもよし。

この後に続く、第7部以降を楽しむのもよし。

とにかく、単体としても楽しめる「ジョジョ第6部ストーンオーシャン」でした。