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好きなものを、好きと言おう 第8回「お酒」

 このシリーズのエッセイを書くのはすごい久しぶりの感がある。この好きなものを、好きと言おうシリーズは予定を大幅に超過して漫画とアニメ篇を書いてしまったので、予定の回数をとっくに超えている。

前回書いた、第7回「カメラと写真」は、読んでもらえた数がボクがこれまでに投稿したエッセイの中で一番多かった。総じて、この好きなものを、好きと言おうシリーズはみなさんの興味を引く話が多いのだろう。

さて、第8回は「お酒」だ。

 今のボクの状況はとりあえずおいといて、ボクとお酒、について書いてみたい。

お酒は環境?

 お酒が飲める、飲めないは親からの遺伝が遺伝があるとよく言われる。アルコールを体内で分解できる因子を持っているか、持ち得ないか。

 その意味ではボクはお酒を飲める因子を持っていると言える。親父はもう80歳を超えているけど毎日のお酒が欠かせない。働いている時から、年金生活の今でもそれは変わらない。強いか弱いか、は多分あるとは思うが、毎日飲んでいる人に弱い人は少ないだろう。その一人息子であるボクはその因子を持っている。

でも世の中にはそれに反して、親は飲めても自分は飲めない、という人がいると思う。それをボクも証明したかったけど、残念ながらボクは飲める、そして好き好んで酔いたい人間なのだ。

小さい頃は飲んでいる大人が嫌いだった。悪ノリして絡んでくるし、しつこいし、喧嘩も始めるし。いいことなんてない、と思っていた。近親憎悪に近いだろう。皮肉なもので、自分も酒飲みに堕ちてしまった。自分を批判して憎むべし。

初めてのお酒

 初めて主体的にお酒を飲んだのは未成年。18歳、会社に入って高校の先輩に連れられて歓迎会に行った時で、もう36年も前の話だ。そのころは何をするにも今より規制が緩かった時代だった。会社に入ってしまえば18歳でもお酒に連れて行かれたし、飲むな!ではなく飲め!と言われた時代だ。ボクは小さな居酒屋で初めてビールを飲み、酔って吐いた。頭も痛くなった。そう、飲み方を知らなかったし、体に耐性がまだなかったのだ。もう正直飲みたくなかったけど、若さ、はそんな脆弱な決心を貫けるほど甘くはなかった。

飲み会はトイレに籠るもの

 何回か飲み会をこなすたびに、飲み方を知った。自分の限界も。会社の寮で仲の良かった先輩と部屋で飲み、同じく仲の良かった後輩を部屋に連れ込み飲んだ。寮ではもう吐くことは少なくなったけど、会社の飲み会では逆に吐くことが多くなった。特に研究に移ってからの20-30代半ばまでは酷かった。ボクの飲み方は開始5分でジョッキ3杯を空ける無謀な飲み方で、つがれたら絶対断らないし、ボク自身自分から早く酔ってしまいたかった。とにかく若いからといってへんに絡まれるアルハラのおじさんが多かった時代。ボクは自衛のため早く酔って意識をなくすことに努めた。トイレに入って会の半分以上の時間を出れないことも多かった。

コントロールしているのか、第三の男が出現しているのか

 30代半ば以降は醜態を晒すことは少なくなった。といってもゼロではない。時に歓迎会で飲みすぎて、記憶に残る史上最もひどい醜態を晒したこともある。そう、今はなきあの店、泉のマンマ・マリィだ。ごめんね、その会の主役の女の子。そしてお店、そして幹事。そして自分の尊厳。どうか許してほしい。

 その後、吐くことはほとんどなくなったけど、近年、別な症状が出始めた。
そう、”第三の男”の出現だ。

簡単にいうと、飲んでいる途中の記憶はないほど酔って飲んでいるのに、傍目にはしっかり受け答えもしていて、しっかりと歩いて家まで30分以上歩いて帰り、しかも途中のコンビニで買い物もしてお金も払っている。けど、その記憶は何もない。自分がどうやって帰ったきたのか、なぜ服に土がついているのか、そして玄関前においてある水のペットボトルはなんなのか。それに対する解を持たない。まるで別人格、そう第三の男、ザ・サードマンが現れ行動しているかのようだ。これは実は恐ろしい。何が怖いかというと、一見普通に見えるけど何の記憶もない点だ。たいがい翌日にみんなに平謝りし、自分の様子がどうだったか聞いて回る。みんな気を使うふうでもなくこう言う。「全然ふつうでしたよ」

お願いだ、第三の男。理性を保っていてくれ。

現在のボクとお酒

 さて、近年は年200日以上飲んでいたボクだけど(でも計算すれば毎日ではないでしょ?)、去年の5月から一身上の理由により、長期の休酒を続けている。去年120日休酒し、9月に解禁したけど、ペースは上がらない。月に2,3日飲む程度だ。すでに約束している飲み会はできるだけ断りたくないので参加しているし、行ったら飲む。それは昨年5月の有事の際にはいくつもの決まっていた飲み会を断らざるを得なくなってしまい、すごく罪悪感だったので。

いまは自分が許せる数少ない日に飲んでいる。


好きなお酒の種類

 さて、飲み始めた頃の若い時はビールオンリーだった。少し高いプレミアム系のビールが好きだった。今もビールは飲むけど、もうボクの中ではつなぎ役にすぎない。飲むのはいまはウイスキー、それもハイボールがほとんどだ。ウイスキーなんて40歳を過ぎるまでほとんどに飲まなかったのに。これはとある若い子の影響だった。この話は、まぁいいか。

  1.  ウイスキー
     初めて自分で買って飲んだのはグレンフィディック12年、スコッチだった。まだ3000円ちょっとでボトルが買えた時代。いい時代だったなぁ。緑に輝くボトル、綺麗。味もウイスキー特有のキツさがなくて飲みやすい。今でもスコッチの中では特に好きだ。

グレンフィディック12年、スコッチ

それから家飲みで50種類以上のウイスキーを買っては飲み続けた。でもボクには致命的な欠陥があった。味の微妙な違いがわからないのだ。流石にものすごく安い国産ウイスキーと、1万円に近いスコッチが違うのはわかるけど、格付けチェックに出されたら、きっとあり得ないを選んでしまいそうなほど、味音痴だ。

そんなボクでもベスト5を挙げることはできる。単においしいかどうかだけじゃなく、飲んで印象に残ったウイスキーを挙げる。

第5位 メーカーズマーク、バーボン
 買いやすい。スーパーでも売っているし、価格も近年は高いけどまだ手が届く。赤の封蝋が目標。最初はうまく開けられなかったけど、もう慣れた。甘くて飲みやすいとボクは思う。多分一番多く飲んでいるバーボン。

メーカーズマーク、バーボン


第4位 グレンフィディック、スコッチ
 最初に飲んだウイスキー。クセがなく飲みやすい。ボトルが綺麗

第3位 知多、日本
 飲み屋さんで飲んだのが初めて。まだ安かった頃、よく買って飲んだけど、いまは高くてボトルを買う気にはなれない。味はすごい好きだった。どこがとは言えないけど、好みだ。ライムを入れて飲む。

知多、好きだよ


第2位 ニッカセッション、日本
 これは昔一緒に働いていて、いまも飲み友達のお嬢からいただいて初めて知った。ものすごくおいしい。日本のウイスキーで比較的安く買えて(安いか、と言われれば角とかに比べれば随分高いけど)味とのバランス、コスパ的にはいいと思う。

ニッカ セッション


第1位 マッカラン ダブルカスク、スコッチ
 1回だけご褒美で買った。初めて飲んだ高級ウイスキー。別世界の味がした。もう忘れてしまったけど。そんなもんだよ。

マッカラン ダブルカスク

ウイスキーはまぁとにかく味はよくわからない。でもなんかジュース感覚でハイボールは飲めるし、でもジュースみたいに甘くないし、とにかく飲んでいる気にさせる飲み物だ。

②ワインとシャンパン
 ワインは味的にはウイスキーより好きだ。ジュースに近いからガブガブいける。でもアルコールは10%以上あったりするので、水も飲もうね。だいたい1回に1本くらいなら一人で空けられる。飲める人にとっては普通の話なのだろう。赤も白も辛口も甘いのも飲める。ボジョレーの時期は買いまくってずっと飲んでいた年もあった。でもそれより好きなのはシャンパンだ。特別なお酒。年4回だけ自分に飲むことを許していた。過去形で分かるとおり、いまは飲んでいない。

 ワインの種類で好きなものを挙げるのは難しい。日本の安めの1000円前後のワインも好きだし、イタリアの発泡ワイン・プロセッコとか、スペインのフレシネとか、ドイツのリースニング系とかフランケンワインとか、実はなんでもいいからだ。多くは2000円以下で買える代物が多い。あまり高過ぎるのは逆にダメ。味がよくわからないし、なんかボクはそんな奴じゃないと自分で思うから。3000円以上のワインを買う機会はほとんどない。好きなワイン、あえて1つ挙げるなら、ピノ・グリージョだ。1000円前後で買える。爽やかでスッキリしていて、冷たく冷やして飲むとすごくおいしい。

ピノ・グリージョ、白ワイン

一方でシャンパンはフランスのシャンパーニュ地方のブランドなので、安いものはほぼない。安くても4000円台からだろう。シャンパンで最も飲みやすいのは買いやすいモエ・ド・シャンドンだろう。流通量が多くてどこでも手に入る。比較的安い。味もいい。

最も飲みやすいモエ・ド・シャンドン

他には未亡人こと、ウーヴ・クリコ(今じゃすっかり高くなってしまった)とか、テタンジェ、ルイ・ロデレールとかが多い。その昔、飲み初めの頃はよりリーズナブルなポメリーとか、ランソンブラックラベルとかが好きだった。味は全体を通して辛口ブリュットが好き。そして、高いシャンパンの代名詞でもある、ドン・ペリニヨンはお別れしてしまった人に贈ることが多かった。3回くらいは贈ったかな。だから自分用には買って飲まない。

ウーヴ・クリコとクリスマス
テタンジェ
ルイ・ロデレール
リーズナブルなシャンパン、ポメリー

他のお酒はどうか言えば、日本酒は好き好んでは飲まない(以前、獺祭をぐいぐい飲んで記憶をなくした。日本酒は酔いやすい)、焼酎は全種類ダメ(味がダメ。体も合わない)、ジンは飲めるけどウイスキーほど美味しいとは思わない。他は、、、イタリアのレモンのお酒、リモンチェッロはしばらく飲んでいたことがある。トニックで割ると飲みやすかった。

イタリアのレモンのお酒、リモンチェッロ

とにかく生きてると、辛いことが連続して起きる時期が必ず来る。ボクは逆に飲めなくなってしまったけど、そう言う時に飲むしかなくて壊れてしまう人もいるだろう。山が好きなら山で死んではいけないのと同じで、お酒が好きならお酒で死んではいけないのだ。

お酒のことは、月報にこっそり載せたエッセイ お酒篇でずっと書いているから、そっちの方が詳しい。もし興味があれば覗いてみてください。なんかまとまりがなくて無駄に長くてごめんね。

バイバイ

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