空っぽの交わり。note20
抱きしめられたとしても
指を絡めて繋いだ手は寂しい。
甘い言葉を呟かれたとしても
目線の先に温度を感じないのも寂しい。
わたしがほしいものではない。
あなたではないし
あなたも、わたしではない。
こうありたかったと願っても
そんな願い事は叶うことはなかった。
こうありたいと願うことがなくなった。
期待は裏切り。裏切ったのはわたし。
怖かった。失うと思った。
失う前に、引き離さないとと思った。
苦しんでいたのは
私だけではなかったのか。
朝方の外気は、少し冷えて湿っていた。
つきまとうような嫌な湿気じゃなくて
さらっとした軽い風だった。
重苦しくさせていたのはわたしだった。
言葉を掛けてくれなかったのは
わたしが想いを言葉にしなかったから。
そうやって、いくつも落とした粒を
今日も拾って行ってしまう。
捨て置くことなんて、まだできないから。