見つけた。note17
ここに咲いたのか、ここに咲いていたのか。
どちらにしても、見つけた。
この花が、咲いてくれていた。
この道を通らなければ、見えなかったもの。
あした通っていたとしたら、見えなかったもの。
この花びらは、散っていたかもしれない。
打ちつけるような土砂降りの雨に
耐えてくれていたかもしれない。
照りつける日差しにも、その暑さにも
負けないでいてくれたかもしれない。
そんな「かもしれない」ことばかりを
追いかけたり、振り返ったりしていた。
そんな自分の不甲斐なさを責めたりした。
それでも、それでよかった。
この花を見つけたのは
下を見るわたしだったからだ。
一心に前だけを見ていれば
それは大きく誇らしげで、色鮮やかな
誰もが目を見張るくらいの花々を
この腕いっぱいに抱いていたかもしれない。
昨日という一日が
もっと、ずっと前からの時間の経過が
今日という日につながって。
この花が、いまここに咲いてくれている。
「かもしれないこと」だらけでも
わたしはこの一輪が、よかった。