臨採日記【採試】(口語訳)
【に識別】(文中の「に」を文法的に説明する)
水無月 の ころ、
(六月ぐらいだったか)
翁 に 教育 を 問ふ 試し ある に、
({老境の}私に教員採用小論があるというので)
この 世 に
(この世の中で)
いかで かかる こと は あり けむ と
(どうしてこれほどの{素晴らしい}ことがあるだろう、いやない、と思えるほど)
めでたき は 文 に はべる なり。
(素晴らしいのは論文でございますなぁ)
枕草子 に また 無名草子 に
({手紙という意味の「文」については}枕草子にも無名草子にも)
言ひ に けれ ば、
(すでに言われていることなので)
げに 新たに 申す に
(本気で新しいことを申しあげるほどのことには)
及ば ざる に あら む や。
(及ばないんだろうされどもさ)
かく て 志 あれ ど
(こんなふうに心に兆していることはあるけれど)
学ば ざる に あら で、
(学ばないのではなくて)
ささやかに 小論対策 など 見 ける に
(ちょいちょいではあるものの、小論対策とかいうサイトとかを見たわけだけど)
よに みぐるしき こと と こそ おぼゆれ。
(ガチで恥を知れ、という風に感じたものさ)
曰く
(言っていることは)
かく あら ば こそ 受かり なむ と て
(こうやれば受かるぜ! 的なことで)
したり顔 に いみじう はべり に けり。
(ドヤ顔イキりでござらっしゃった)
見れ ば 論説 の 姿 だに
(ちゃんと見ると{国語の表現で扱う「レポート」とか「論述」とか}論説ってかたちすら)
え 整へ ざる もの に 候ふ に
(整えることもできていませんのにね?)
あやしう こそ かたはらいたけれ。
(不思議で、なんとも、傍らですらイタイタしいことよ)