ZOZOマリンとKアリーナを終えて〜2023年オタク総括〜
自分の2023年は2月12日の日向坂46四期生のおもてなし会に始まり、12月10日の日向坂46 Happy Train Tour 2023にて幕を閉じた。その年のラストのLIVEは絶対良いものであってほしいという謎のこだわりがあるのだが、KアリーナのHappy Train Tour 2023は一年を締めくくるに相応しい最高のライブであった。
ただ、日向坂46というグループに思うことが多い一年であったことも否めない。今年は4回目のひな誕祭を機にnoteを始めた(と言っても投稿は二つしかしていないのだが)年でもあったため、同じく一年を締めくくるに相応しいLIVEであった櫻坂46の3rd year anniversary liveの話も交えながらKアリーナの感想と、日向坂オタクとしての今年の総括、そして来年以降の展望の話などをnoteに残すことにした。
今まで「あーだこーだ言いながらもなんだかんだ自分は別に楽しめてるから良いや」の精神で、勿論内々ではあるものの好き勝手言ってきたのだが、今年一年で「オタクの不満が充満しすぎて居心地が悪いからもうオタクするの控えます」という方を何人か見かけた。
確かに日向坂のMVコメント欄などは見ているだけでこちらの気が滅入るほどのネガティヴな意見も多く見られ、これじゃ新規どころか既存オタクも離れるわなと妙に納得してしまった。ただのオタクという身分故与えられたものだけで楽しむということは当たり前に心がけていたつもりだったが、この陰鬱とした雰囲気形成に自分も加担してしまっていたのだという事に気づき少なからず罪悪感に襲われた。恥ずかしながら、今年一番の気付きと言っても良いだろう。以降ネガティヴな話題にはなるべく触れない、発信しないを心がけるようにはなったのだが、一方でこれも自己流の楽しみ方であるということも事実だ。そのため、このnoteはネガティヴな話題にも触れる内容であるということをここで先に伝えておく。
そういった話題に触れたく無いという方はここで読むのを控えていただきたく思います。興味のある方のみお読みいただけると幸いです。
ブラッシュアップ
2018年から毎年行われていたひなくりが中止と発表され、その代替案としてツアーの追加公演をやると発表された時は「ステージのセット費用ケチりたいだけだろ!どんだけ予算無いねん!」とブチギレて、配信が決定した際に公式からリリースされた
を読んでは「なんやねんこの文章wあとそれ判断するのこっちだから!」と乾いた笑いがこぼれるなど、惨憺たる”脈打つ感情”を経て臨んだ本公演だったのだが、結果から言うと文字通りブラッシュアップに大成功していた完成度の高いLIVEだった。
Happy Train Tour 2023は初日の大阪公演にしか足を運んでいなかったため、Kアリーナ二日目の千秋楽が二度目の参加となった。ひなくりで無くなってしまったこと自体は残念に思いながらも、一度しか行けていなかったツアーを約三ヶ月ぶりにもう一度観られる嬉しさや、Kアリーナという最新設備の会場、まあまあ良い席、メンバーの気合の入り方などでとっくに楽しみの方が上回っていたが、直近の櫻坂46のZOZOマリンが今まで参加してきた櫻坂ライブの中でも最高クラスの楽しさだったこともあり(流石にZOZOの後だと見劣りしちゃうか?)と気持ちハードル低めでLIVEへ向かった。
そんな野暮な予防線を張った自分を恥じてしまうほどの良いLIVEだったのだが、大幅な演出、セトリの変更無くしてここまで良いLIVEになったのはその些細なセトリ変更の選曲、そしてトレインツアーが持つポテンシャルをKアリーナという会場が最大限引き出したからだと個人的には感じた。
初日の大阪公演に行った時も「今年のツアーめっちゃ良いじゃん」という所感はあったのだが、大胆にAR技術を使用した映像演出などは正直「今回はそーゆー感じね」くらいにしか思っていなかった。Kアリーナでも同様の演出が使用されていたのだが、驚くことに大阪城ホールで見た時には無い圧倒的な迫力があった。冒頭のAR列車が会場を走り回りステージ上のモニターへ貫通してメンバーが登場するシーンは、Kアリーナの立体的なホールと横幅があるステージ、そして音響も相まって何をしているのかがとてもわかりやすく、大迫力の没入感ある演出へと進化していた。その後ダンストラック、一曲目へと続いていくのだが、一曲目が「アディショナルタイム」→「君は0から1になれ」へと変更されたことで「演出・ダンストラック・一曲目」の色合いのようなものがより統一され、掴みのワンパッケージのクオリティが底上げされていたように思える。
言い方は悪いのだが個人的な「ぶっちゃけ観られなくても問題無い曲」が全削ぎされていたのも良いブラッシュアップだと思った。詳しくは後述するが、どうしても新曲勢の火力が弱く思えてしまう昨今の日向坂にとってタスク消化的に新曲を盛り込んだセトリを組むと満足度に欠けてしまうというのが個人的な見解だ。そんな中で全体曲(全員で披露する曲)を優先的に残し、期別曲を削ったのは良い判断だと思った。ただ、期別曲と言えど粘り強く披露することで定番化できる可能性はあるし、結局メンバーの労力は増えてしまうため一概に良いとは言えない部分でもあるのだが。
各全体曲の披露形態も全て綺麗にハマっていたように思える。メインステージのみを使った正規振り付けで披露する曲と、花道や舞台装置を使用して盛り上げる曲の選別が過去一で上手だった印象だ。トレインツアー全公演を通して披露された「恋は逃げ足が早い」は、曲が発表された当時(良い曲だけどこれLIVEでどう使うんだ…?)となっていたのだが、LIVEでは花道を使用した披露と可愛い振り付けによりメンバーがキラキラと輝き、観ていて楽しい曲へとしっかり昇華されていたのは驚いた。今回のツアーの一番の功績と言っても過言ではないかもしれない。
Kアリーナのみの特別追加演目である「ホントの時間」は、これと言ってクリスマス曲でもなんでも無いのだが、オタクらのホントの時間に対する潜在的な記憶がひなくり2019くらいしかないことを逆手に取ったのか、難なくクリスマスソングヅラさせることに成功していたのも面白いと思った。おそらく2020年2月に行われたDASADA LIVE初日ぶりのメインステージのみでの正規振り付け披露となったが、クリスマス仕様の衣装も相まって「こんなに振り付け良かったんだ」という再発見も出来た。「アザトカワイイ」も同様に良い選曲と披露だった。
元々Kアリーナでの開催をメインに構築していたのかと思えるほど会場との相性が良い最高のツアー千秋楽となった。根本的な改変は施すことなく、無駄の無い良質なLIVEに仕上がっていたのはまさしくブラッシュアップした進化系の内容であった。
卒業セレモニー
櫻坂のZOZOマリンに二日行った後の月曜日の朝、身体に大きな疲労を感じ「もう休日二日間LIVE行くの無理な年齢なんや…」となり、潮紗理菜の卒業セレモニーがあるKアリーナ初日公演への応募はスルーしてしまっていたのだが、配信を視聴するなり大後悔する事となった。絶対行かなきゃダメなヤツだった。
ここで少し櫻坂のZOZOマリンの話を。櫻坂のZOZOマリンは櫻坂46パーフェクトイヤーとなった2023年を締めくくるに相応しい、自分が今まで行った櫻坂のLIVEの中でもトップクラスで楽しいLIVEだったのだが、もし二日間両日行けていなかったらそうは思えていなかったかもしれない。
一期生メンバーである土生瑞穂の卒業セレモニーが行われた初日、日向坂で言う「ひなくり2019」のような、最高の一年の集大成かつ来年からの活動にも大きく期待が膨らむ凄まじいLIVEを期待して向かった自分としては(良いLIVEだったけどパーフェクトイヤーの締めくくりとしては意外とかな…?)といった所感だった。
櫻坂46一期生の守屋茜と渡辺梨加の卒業から櫻坂、日向坂共に恒例となったセレモニー文化だが、セレモニーがある日と無い日で致命的なまでに1LIVEとしての満足度に差が生まれてしまう問題は以前から薄々感じており、ZOZOマリンはそれが露骨だったように思える。勿論、今まで頑張って活動してきたメンバーとそのご家族、そのメンバーを推しているオタクなどのためにも絶対にやったほうがいい式典であること、そして櫻坂においては欅坂時代では叶わなかったLIVEというアイドルが一番輝ける場所で卒業を祝えるようになったことの有り難みは重々理解してはいるのだが、セレモニーが無い日の出来を目撃してしまうと大体二日間開催の櫻坂、日向坂LIVEにとって今のグループで徹頭徹尾本気を出せるLIVEというのは実質一日だけ、それも今やLIVE単位で見れば各グループ年2本しか出来ないLIVEの貴重な一日をセーブしてしまう少しばかり勿体無い気がしなくもない。セレモニー中は会場が感動に包まれるとても暖かい空間が出来上がるのだが、LIVEが持つ一番の特性である熱狂や高揚感などとの折り合いは悪く、どうしても尻すぼみな印象を与えたまま公演が終わってしまうのは、全然許容出来る範囲の話ではあるがそれはLIVEに両日行けた場合に限った話かもしれない。
ただ、今回のZOZOマリンとKアリーナに共通して観られる改善点としてセレモニーを初日に持ってきたことが挙げられる。これは年内最後の公演だったからというだけで次回以降はまた二日目に戻ってしまう可能性もあるのだが、個人的にこの采配は今後も続けて欲しいと思った。卒業するメンバーには感謝の意を込めて最高の晴れ舞台で卒業して欲しい、でも今のグループが出来る本気のLIVEも観たいというトレードオフの今出来る一番の解決案としてはこれしかないかなと思う。
卒セレに否定的なことばかり言ってきてしまったが、櫻坂一期生の土生瑞穂には思い入れも深く、その卒業セレモニーに立ち会えたことはとても喜ばしいことだった。心優しい寛容な人柄で、いろんなメンバーから慕われ愛されていたのが伝わってくる感動的なセレモニーを肌で感じることが出来て良かった。欅坂46をやり抜き、櫻坂46を支え続けてくれて本当にありがとうございました。
配信で視聴したKアリーナでの潮紗理菜卒業セレモニーは、おそらく今まで観てきたセレモニーの中でも群を抜いて感動的であり、あまり泣いているところを見た事が無いようなメンバーが次々と泣き始めたのを観て(潮卒業したらこれ今後の日向坂大丈夫なのか…?)と少しばかり不安に思ってしまうほど潮紗理菜という人間がグループにもたらした影響をまじまじと思い知らされる、感傷度高めでありながらも最高に美しいセレモニーだった。
潮が紡ぐ水のように透き通った言葉の数々が、画面越しながら自分の身体に浸透していくのを感じた。潮が期別ごとに後輩メンバーへと授けた言葉はこの先もグループの支えになるに違いない。潮が「ファンの皆さんは暖かいから大丈夫」と言った旨の発言をする度になんだか襟を正される思いになった。
「この人がいなかったらこのグループは今のようにはなっていなかったかもしれない」というのはほぼ全てのアイドルに言えてしまのだが、日向坂46の潮紗理菜に関しては本当にそうとしか言いようがないほどグループの地盤となる精神性を作り上げた張本人だったんだなと改めて思った。そして潮自身も「この一期生の面子でなければ一年ほどで辞めていたかもしれない」と語り、奇跡的な巡り合わせで生まれ、ここまで頑張って来たひらがなけやき一期生達への尊さが溢れた。そんな中で披露された一期生の新曲「最初の白夜」は、おそらく最初で最後の披露だったことも踏まえ、儚いシチュエーションと曲調が合わさりゆっくりとエモーショナルな時間が流れる最高の披露だった。
精神性が強すぎてあまり触れられていないが、今までの全ての回の「日向坂で出会いましょう」を合計したら全体の約3割くらいは潮で笑ってたんじゃないかと思える程バラエティでも一線級のメンバーで、パフォーマンス力も高く、個人的な見解だが声質や滑舌などを含めた上でのトークスキル(ラジオスキルと言うべきか)に関しては日向坂の中では一番のメンバーだったと思う。精神面だけでなく物理的な戦力的にも欠かせないメンバーの一人だったことはこの先もずっと忘れないでいたい。
どこかで自分本位な発想に切り替えない限り耐え難いほど無数の心無い声に晒される職業に就きながら、ネガティヴに惑わされる事なく自分の生き方を信じて歩き続けてきた結果、家族、メンバー、おひさま、関係者などなど誰からも愛される存在の象徴としてアイドル人生を終えた潮紗理菜には、これからの人生がこれまで以上に幸せで輝くモノとなってくれることを願うばかりだ。日向坂46に入ってくれて、ありがとう。
新曲
追加公演でセトリ変更が施された曲の中には前述した「ホントの時間」に加え、オリジナルメンバーでは久々の披露となった「青春の馬」や「期待していない自分」といった名曲達も含まれていた。どちらの曲も直近での披露は四期生が担当しており、「期待していない自分」はツアーを通して四期生が各公演1人ずつ、日替わりでセンターを務めた。四期生単独公演「新参者」には行かなかったのだが、Kアリーナでの四期生に対する会場の反応から新参者を通して多くの味方を作ることに成功したことが伝わって来て、心の中で「よくここまで耐えて頑張った」と四期生へ賛辞を送った。
四期生のフレッシュなパフォーマンスに対して、1〜3期で披露した「青春の馬」「期待していない自分」は当時の再現では無く、各々のメンバーが今まで培って来たスキルや技を取り入れ、よく披露していた頃以上にパワーアップしていたように思えた。特にセンターを務める小坂菜緒、佐々木美玲のあの頃とは別格の覇気を纏ったパフォーマンスは圧巻だった。
余談だが、大阪のトレインツアー初日に1番度肝を抜かれたのは小坂菜緒のパフォーマンスだった。東京ドームでの復帰から徐々に活動ペースを上げていって、今年の4回目のひな誕祭の頃にはとっくに完全復活したなといった印象だったが、トレインツアーでは休養以前を含めても過去1のLIVEパフォーマンスをしていた様に見えた。メンバーという一つ一つの歯車が噛み合って巨大な動力を生むLIVEという場で、今までは小坂を被動歯車の様に思っていたが、本ツアーからは立派な駆動歯の一つとして動作の入力に加担していたように思える。「今日のパフォーマンスが今出来る最終形態です、という気持ちでLIVEをしている」「ツアーだろうと1公演1公演本気で取り組んでいる」と直近のインタビューやラジオで語っていたが、その宣言通りKアリーナでも今が1番良い状態の小坂菜緒であることは一目瞭然だった。細かく説明すると長くなってしまうため省略してお伝えするが、小坂菜緒はオタクの心を滾らせるのが1番上手いメンバーだと自分は思っていて、その滾らせ上手な側面は今までブログ、メッセージ、インタビューなどをメインに度々発揮されて来たモノだったのだが、そこにいよいよLIVEパフォーマンスまでもが加わることになるのかもしれないと思った。小坂菜緒でアツくなれるということは自分がおひさまをする中でこの上ない喜びの一つだ。
久々のオリメン(+新三期)披露に加えて元々の楽曲パワーも相当高い曲達の唐突な披露に会場は熱気に包まれ、勿論自分も大興奮だったが、以前投稿したひな誕祭の感想noteの時にも触れた通り「懐かしい曲」「久々の披露」ばかりでの点数稼ぎにはなって欲しくないと言うのが本音だ。
櫻坂のZOZOマリンでは、今年リリースされた表題曲「start over!」「承認欲求」の二曲が本編のトリを飾り、会場は過去最高レベルのボルテージに達していたように感じた。それだけで無く、二日目はワンマンライブでの披露がまだ出来ていなかった6th、7thのカップリング曲を積極的にセトリへ取り入れていたのだが、通常ある意味義務的に、タスク消化目的でセトリへ新しいカップリング曲を入れ込むとどうしても盛り上がりに欠けてしまうところを、会場のボルテージをキープしたままやり遂げていた。メンバーのLIVE力、曲順の工夫もあったとは思うが、何よりやはり櫻坂はカップリング含め曲の質が高いんだなということを再認識させられた。
そもそもLIVEの方向性が違うため日向坂も櫻坂と同じようにやれとは言わないが、今回の櫻坂のZOZOマリンLIVEに限って言えば日向坂LIVEの方向性にかなり近しい物だったこともあり、今回ばかりはどうしても両グループを照らし合わせて考えてしまう。やはり新兵器で盛り上がれるのが理想だよなぁと言うのがZOZOマリン後にKアリーナへと足を運んで思ったことの一つだ。既存の人気曲をあえて温存しバリューを担保するのも一つの策ではあると思うが、何度も切れるカードではないことを考えるとやはりすぐにでも一線で使えるような新兵器を欲してしまう。
「Am I ready?」期間のライブとして始まり、追加公演では「君は0から1になれ」が加わる、シングル(アルバム)リリースを跨いでのツアーとなったが、その表題曲のどちらもが「青春の馬」「期待していない自分」などの久々軍団の盛り上がりに敵っていなかったように思えた。
「Am I ready?」は今回のツアーの顔となる曲で、ツアー全公演を通して本編のトリを飾った10thシングルの表題曲だ。コールをして盛り上がれるような曲ではないのだが、意味不明にフィナーレ力のようなモノが異様に高く、本編のトリに披露することで「なんか今日LIVE来れて良かったな」と穏やかな気持ちになれる不思議な力のある曲だ。おそらくLIVE制作サイドもその特性を理解した上でそう仕向けるような演出を施しており、MVからインスピレーションを得たと思われるステージ上のモニターにエンドクレジットを流すという演出はそのフィナーレ力を上手く増大させていた良い施策だったと思う。MVに登場した小物やキャラクターのARを使用した前座の演出なども心地の良い世界観を見事に作り上げていて、「Am I ready?」という楽曲、そしてこの曲のセンターかつ本ツアーの座長となった上村ひなのの摩訶不思議な魅力を十分なまでに引き出していたように思えた。
福岡二日目のダブルアンコール、そしてKアリーナの二日間の一曲目で披露された最新アルバムのリード曲「君は0から1になれ」も、センターを務める佐々木久美の煽りに加えて開幕直後のメンバーが気合い入りまくりの披露タイミング、Kアリーナの良質な音響などのおかげで、初めてMVを試聴した時の印象を遥かに凌ぐ良い楽曲披露になっていた。
だが、これら二つの曲に言えるのは"メンバーのLIVE力、振り付け、演出や披露タイミングでなんとか形になっているだけ"という点だ。「Am I ready?」はこのツアーが初めてのお披露目だったにも関わらず、メインステージでの正規パフォーマンスでは無く花道と舞台装置を使用した披露で、LIVE制作サイドの(この曲どう使うのがええんや…)という苦悩と努力が垣間見えた気がした。「君は0から1になれ」も、メンバーと振付師の間で煽りやコールのタイミングを想定して振り付けをブラッシュアップしていったという裏話から分かるように、工夫に工夫を重ねてなんとか形にしてお出ししてくれてる上でのあの出来な訳だ。
今年発売した9th「One choice」10th「Am I ready?」は、個人的にはどちらも好きな曲ではあるのだが、MVの再生回数から分かるとおり外ウケどころかオタクらにすらあまりウケていない印象だ。それぞれに、「にぶちゃん初センターへの期待とはかけ離れた曲調だったこと」「紅白歌合戦出場の実質ラストチャンスとなるタイミングで変に冒険してしまったこと」などの理由が考えられるが、正直センターの人選や曲の路線などはどうでもよくて一概に誰が聴いても「良い曲」と思えるモノが一向に巡ってこないだけという問題な気もする。日本中で流行る曲を生み出すのは至難の業かもしれないが、せめておひさま内だけでも「めっちゃ良い曲来た!」と内輪で大騒ぎできるくらいの曲は作れないものなのだろうか?また、カップリング曲のラインナップにおいても、期別ライブを開催してくれるわけでも無いのに基本そのシーズンでの使い捨てになりがちな期別曲ばかり増やしていて、制作意図が全く理解出来ない。
長い間巷で言われがちな日向坂の楽曲の質について、極論ただの"好み"の話に成りかねないため触れるかは迷ったが日向坂の2023年を語る上で避けられない話題な気もしたため自分はこのようにまとめてみた。日向坂の楽曲の質については最もどうしようもない課題であり、これからも向き合い続けなければならないということを改めて認識したツアー追加公演だった。この約一年半、7th以降の表題曲は全て良い曲だと思っているし好きな曲もあるのだが、当たっているかハズしているかで言えば全ハズししているなとは感じてしまう。LIVEで観れば大体どんな曲も良く思えてしまうのだが、それは演者サイド全員の苦労の上で成り立っているモノであり、単純に曲が良ければもっと良いモノが出来上がると思うとやるせなさを感じる。
本気で「LIVE」と書いて「体温」と読みたいのであれば、早急に誰跳べノーウォーに代わる新兵器の支給をお願いしたい所存だ。
目標の再設定
盛り上がりに水を刺すような真似はしたくない。ここまでで(こういうめんどキモいオタクもいるんだなぁ)と思っている方が大半だと思うが、ここからはもう一歩引いたところから見ていただきたい。と言うか、以降はもう思考の掃き溜めみたいな物なので読まなくて大丈夫です。
本編が終わり、あまりの高揚感でアンコール一曲目の「HEY!OHISAMA!」では過去一の声量でコールをして楽しんでいたのだが、その後のMCで佐々木久美が話した日向坂46の新たに設定した目標の話以降は身体に力が入らなくなり、何の記憶も無い。「もう一度東京ドームを目指します」と聞いた瞬間に「え…?じゃあこの2年ってなんだったの…?」という感想が真っ先に浮かんだ。大袈裟だが、今まで日向坂46のオタク、おひさまとして日向坂を追っかけて来た中で一番失望した瞬間だったかもしれない。メンバー各々が個人仕事でスキルアップしたり、新メンバーが増えたり、一人一人のメンバーにとっては決して無駄な2年では無かったであろうし、その経験が今後何かグループに良い影響をもたらすはずだと頭では分かっていても、ドーム以降も日向坂の更なる繁栄を願って応援して来たせいかどうも心が受け付けなかった。この宣言によって、結成から6年、デビューから3年かけてドーム公演が出来る様になり、また2年かけてドーム公演を再び目指す立場まで逆戻りしてしまった、落ちぶれてしまったことを証明されてしまった気がしてただただショックだった。
今思い返してみれば我ながら流石に純粋過ぎたなと思わなくもないが、今年の夏前あたりまでは本気でドームツアーも、日産スタジアムや国立競技場でのLIVEもやって欲しいと願ってしまっていたし、雑誌のインタビューなどでもメンバーからそういった発言が出る度に期待を膨らませてしまっていた。自分の解釈違いで無ければ、来年は”勝負の年”と息巻いてメンバー間で昨年末行われた2023年に向けての決起集会のようなモノで決めたグループの目標はドームツアーだった気がしたが、”勝負の年”発言と同様それはあくまでメンバーが勝手に言っていただけで、運営が作るストーリーや目標では無いから単なる"夢"の話に過ぎなかったようだ。まあそんな簡単なことにも気付かず鵜呑みにしていた自分が悪いのだが、気持ち良く騙されていた内はまだ幸せだったんだなと今になって思う。結局は「出来て東京ドームが関の山」というのが運営の考えなのだろう。(感覚が麻痺してしまっているが、東京ドームLIVEを目指す、開催出来るだけで十分凄いことではある)
3回目のひな誕祭で東京ドーム公演を行って以降、日向坂の勢いは落ち続け、今年はついに紅白歌合戦にも出られなくなった。「櫻坂は紅白なんて出られなくてもやることやってる分格好が付くけど日向坂は前提としてテレビの人気者である必要があるし紅白落ちちゃアカンぞ!」という持論を拗らせているため、心構えはしていたもののいざ落選を知った時は大きくショックを受け、その日は相当落ち込んだ。ただ、メンバーのお気持ち表明ブログを読んでまだ熱は失っていないことを確認し少しばかり安堵感もあった。
今年に入ってから運営の日向坂に対するアシストがなんとなく弱まった感触があった。芸能界に”流れ”があることは理解しているつもりだし、ただのオタクが事情を詮索しても無駄なのでこればかりは仕方の無いことだと思い、この一年を通して「日向坂はもっと行けるはずだから運営ももっと本気出してよ!」から「一通り旬も過ぎてもうあまり力は入れて貰えないかもしれないけどまだ主力級は揃ってるし各々のメンバーのやる気は漲ってるこの状況ってメジャーアイドルの中でも結構稀有だしこれから何が起こるか全然読めなくてなんか逆に日向坂面白くなってきてね?」というオタクスタンスへとチューニングを完了した。これからは落ちぶれようがまた這いあがろうがどちらにせよ自分は楽しい、面白いと思えるし、運営アシスト少なめのリアリティの高いストーリーが楽しめるのかもしれないと、自分の中で新たな楽しみ方を見つけらたつもりだった。その矢先、運営に取って付けたようなストーリーを付与されてしまったことが、再設定した目標が「東京ドーム公演」であることへの抵抗の根源なのかもしれない。
日向坂が迷走しているのは目標が無いからだ論者が多く溢れていた昨今の日向坂にとって目標を明確化する必要性は確かにあったが、MC内で「もっと他の目標もあったんですけど…」と含みを持たせた佐々木久美をはじめ、これまで高い志や目標を度々語ってきたメンバーを抱える日向坂にとって、妥協案のような目標が果たして意味を成すのかは今のところ疑問に思ってしまう。細かく言えば「色々と夢ややりたいことがある上で、それももちろん諦めてはいないけどわかりやすいおひさまとの共通目標として一旦東京ドームを掲げた」という内訳なのだと思うが、一度東京ドーム公演を行った頃とさほどメンバーが変わっていない中で、2年間のマイナスを0に戻すだけのように思えてしまう目標よりも、別の夢があるのであればそっちに直接向かえば良いのでは?と思ってしまう。
自分は日向坂が迷走していると思った事はないし、曲の路線やセンターの人選を問題視した事も無いが、「もう一度東京ドームを目指すので約束の卵蘇生させます」にはさすがに迷走を感じざるを得なかった。ラジオで音源が初解禁されたあの日から、東京ドームでついに最後の役目を終え、華々しい最期を迎えるまでを大切な記憶として残していた自分としては今回の唐突な墓荒らしはあまり気持ちの良いモノでは無かった。再度東京ドームを目指すための新曲を用意して来たのであればまた話は変わっていたと思うが、"低予算で手っ取り早くオタク共を焚きつける"が第一目的であろうこの施策でそんなものを用意してくれているはずも無く、目標に対する軽薄な本気度が伺えてしまう。
ならどうすれば良かったかと言われれば何も思いつきはしない勝手なご身分でゴチャゴチャ言うなよとは思うが、極論、世間的に見れば東京ドーム公演を行うよりも凄くないようなことでも良かったのでは無いかと思っている。MC内で「ハッピー」と言うフレーズが度々使われ、それこそ日向坂が求められる理念を意識的に再定義して来ているなと言う印象があった。まずは自分達がハッピーに活動して、それを見ているオタクもハッピーになれると言うのがおそらく理想の構図なのだろう。
2019年頃に放送されたセルフドキュメンタリーで佐々木美玲が語った「もし何か災害とかがあった時には日向坂でボランティアに参加したい。そこで役立つためにはもっと影響力のある存在に、有名になる必要がある。」という話はアイドル、ひいてはエンターテイメントの真価そのものの話として素晴らしい考え方だなと当時衝撃を受けた。そして、以降自分も日向坂には最終的にそんなアイドルグループになって欲しいと思い続けている。日向坂46のみーぱんというアイドルが当時デビュー一年目ながらにこのヴィジョンを見据えていたというのもこの話の肝だ。これは「ハッピーに活動して、見てる側もハッピーに。」に共通した話でもあり、自分はここに何か本当に良い解決策が埋まっている気もするのだが、そういった曖昧な目標を立てるとまた迷走扱いされてしまうから結局はわかりやすい東京ドームのような目標が必要で…という堂々巡りに陥ってしまう。
少し話は変わるが、今年のツアーの地方公演で空席が出て以降、急にメンバーらがライブライブ言い始め、福岡公演では佐々木久美から「もう一度LIVEで最強になれるグループを目指します」という勇ましい宣言が飛び出した。元々ひらがなけやきのLIVEパフォーマンスに惚れ込み興味を持って、「バラエティの姿勢ばかり取り上げられがちだけど日向は何よりまずLIVEが良いんだよな〜」というスタンスを取り続けて来た身としては素直にこれは良い傾向だなと思っていたが、その後2ndアルバムの売り文句へと安易に利用されてからは一気に陳腐なモノと化してしまった気がする。KアリーナでもLIVEで最強になると言った旨の話はノータッチだったため、あれはあくまで2ndアルバムの販促用フレーズだったのか?と残念に思ってしまった。自分はそんな曖昧な目標でも「ロマンがあって良いじゃん」と好意的に捉えていたため、これからも東京ドームという目標の傍らで良いから目指し続けてくれることを願っている。
目標の再設定についてはまだ動揺していて消化しきれていない部分が多いが、今のところ思っているのは大体こんな感じだ。これから徐々に「まあいっか」となるかもしれないし、インタビューなどでその内訳が詳しく説明され、オタク人間の性分とも言える盛大な掌返しをする可能性は十二分にあるが、現時点での日向坂に対するワクワク感や期待は無いに等しい状態だ。ただ、メンバーがこの宣言に恥じらいや情けなさを感じていないはずが無く、相当勇気がいる決断をしてくれたのだと考えると否定的なことばかりも言っていられなくなる。黙って今後の動向を見守るしか無い。
まとめ
散々愚痴愚痴言って来たのだが、実は自分がもうとっくに対象のお客じゃないというだけであることは理解しているつもりだ。自分は卵誕生、改名から東京ドームに立つまでの全てを追えていたからもう一度同じことをするのに面白みを感じないだけで、今いるおひさまの大半はおそらくそうでは無い。一度ドームまでの道のりを体験出来たのにまだおひさまをやっている方が異常なのだろう。日向坂にしがみついてしまっている側の立場故、不満や文句を漏らすくらいならいっそのことここで振り落とされるべきであるということは重々承知の上だ。
自分にとって初めての推しメンである櫻坂46小林由依の卒業が発表され、自分のオタク人生も一旦の区切りがつきそうというこれ以上ないタイミングで日向坂への期待値も0になったのは本当に二度とないチャンスかもしれない。と言いつつ、辞めようと思って辞められるモノじゃないからオタクなのだという言いつけの通り、7年近く依存してきたものをそう簡単に辞められるはずもないためなんだかんだダラダラと来年からもオタクを続けていそうではある。ただその時はなるべく要求も文句も控えて黙って応援するということを心がけたい。これが今年一番の反省であり学びだ。
2023年、個人仕事は充実しつつも日向坂46全体での意味を成すような活動は0どころかマイナスだったこともあり、おひさまとしては正直あまり楽しくはなかったが、櫻坂が蓄積してきたポテンシャルを全開放して一年かけて復権していく様は遠目ながら見ていて気持ちが良かったし、日向坂、櫻坂共に行ったLIVEはおもてなし会含めこれまた最高な体験ばかりだった。中でも以前noteにも感想を投稿した4回目のひな誕祭のような、歴代トップクラスで楽しいLIVEに出会えただけで御の字と言って良いだろう。記念すべきデビュー5周年の年、2024年が日向坂にとっての最高到達点となることを願っている。
そして、大袈裟な言い草だが自分にとってはnote投稿に挑戦したのも今年のオタク活動の中で起きた大きな変化だ。このnote含めて3投稿しかしていないし、Twitterの延長線上にあるような表現しか出来ない中学生レベルの稚拙な文章力しか備わっておらず、自分の頭の中を余すことなく、伝わりやすく文字に起こすことはまだまだ出来ていないのだが、乱雑ながらもアウトプットすることで思考を整理出来たり新しい考え方にたどり着いたりするのはやはり気持ちが良い。毎回面白みのない長ったらしい文章にはなってしまうのだが、それでも読んでくださる方がいて、反響があると素直に嬉しく思う。読んでくださっている方々、いつもありがとうございます。
また何か日向坂に対する心境の変化があればnoteを投稿しようと思う。長文お付き合いいただきありがとうございました。良いお年を。