夢女子であることがやめられねえ
見つめ直し:夢女子、夢小説
私は女オタクなわけですが、どういうジャンルのオタクかと言うとタイトルの通り「夢女子」となります。皆様も夢小説やドリーム小説というものは薄ら聞いたことがあるのではないでしょうか?女オタクならば、腐女子一辺倒だったよ!という方でない限り、高確率で通ったことのある道なんじゃないかと思います。
夢小説とは?
下記にて引用します。
所謂、二次元のキャラクター×自分(意味不明かもしれませんが、”自分“の定義がかなり複雑であることは初めに明記しておきます)の恋愛小説やイラストを楽しむ部類の人間のことです。
恋愛シミュレーションゲームとイメージは近いかもしれませんが、あくまで二次創作になります。
夢小説との出会い
私と夢小説との出会いは小学生の頃。大好きなアニメについてインターネットで検索を掛けていたところ、どうやらファンの人たちが考えた作中では描かれていない日常シーンをメインにした小説やイラストが投稿されているらしいということを知りました。もちろんそれは二次創作だったわけですが、当時はそういった言葉すら知らなかったので「(作品名) 小説」と入力し、ひっそりと二次創作小説を楽しむ日々が始まり…その日もいつものように検索を掛け、検索ページに出てきたそれらしいリンクをクリックしたその時に事件が起こりました。
”(キャラ名)「君の名前を教えて!」“という謎の小さな小窓。一瞬ビックリしましたが、小学生だった私はなんの疑いも持たずに馬鹿正直に自分の名前を入力しました。そして現れた小説のページの中には先程入力した自分の名前が反映されていたのです。
どうやらこれは今まで読んできた好きな作品のアニメキャラだけが登場する小説とはジャンルが違うらしい…というのはそれを読んだだけでも分かりました。だってキャラクターが自分の名前を呼んで同じ世界観の中で会話をしているんだもの。更に言えば「好きだよ、(私の名前)」という告白されてしまうような恋愛ストーリー展開も往々にあったので、何だこれは…?と思いながらも、元々少女漫画が大好きで主人公に自己投影しがちな私は似たようなページを探すことにハマり出してしまった。それが”ドリーム(夢)小説”と呼ばれるモノであるということを知るのにそう時間は掛からなかったです。
あの当時は二次創作界隈では専用の検索サーチが数多く存在しており、作品名の検索サーチの中には必ずジャンルとして「夢小説」がありました。夢小説に特化している検索サーチもあったので、それ以降は好きな作品が出来るたびに検索サーチから夢小説を公開している個人サイトを巡り沢山の夢小説を読み漁っていました。原作沿い、パラレル、逆ハー、男装、嫌われ、トリップ…。何度も魔法学校の生徒になったし、色んな学校のテニス部マネージャーになったし、零番隊隊士にもなったし、戦国時代にトリップもした。学生時代、夜更かしをしては色んな作品を読み、時に「この人の文才凄くない…?プロか?」という感動的な作品を見つけたり、ブックマークをして毎日通っては更新を楽しみするお気に入りのサイトが出来たり…。私のオタク人生にとって夢小説は外せないものでした。
私にとって好きな作品が出来る時っていうのは恋に落ちてしまうほどの推しキャラクターが出来た時なんですよね。逆に言えば推しキャラクターが出来なかった時は深くハマれていない気がします。
「自分も書いてみたい」
色んな夢小説を読んでいくうち、自分も書いてみたい、そう思うようになりました。ただし夢小説を書くのであれば、それを公開する場所…つまり自分のウェブサイトを作る必要があります。しかしどうやって作るのか、当時学生の私にはさっぱり分かりませんでした。あの当時、オタクは自分の作ったモノを公開する手段としてはインターネット上にウェブサイトを作る必要がありましたが、ウェブサイトを作るって知識0でスタートすると中々のハードルですよね。
検索すれば「ウェブサイトの作り方」というイロハを教えてもらえるサイトはネット上にいくつも存在していましたが、タグって何…?というところから始まり、そこをクリアしてもネット上にサーバーというものを借りて、何やらアップロードとやらをするものが必要らしい……。って、そういういくつものハードルを乗り越えてHTML言語を習得していたオタクって本当に凄いと思う。ちなみに私はFTPの接続方法が上手くいかずに挫折して、Yahoo!ジオシティーズで初めてウェブサイトを作った人間です。数年前にYahoo!ジオシティーズがサービス終了した時はしみじみしました…。
何とかしてウェブサイトを持ち、今考えれば稚拙でしかない文章だけど自分の大好きな作品の夢小説を作成しては公開する日々。話を書くことはとても楽しかったし、拍手で自分が書いた夢小説に対する感想を頂けるのも嬉しかった。大学生の頃が一番ピークだったかな…自分のPCが持てたことも大きく、時間に余裕もあったのでウェブデザインにも凝り初めたり…。
結局そのウェブサイトは就職したことをきっかけに時間が無くなってしまって閉鎖してしまったんですが、サイト運営自体はかなり楽しかったですね。多分夢女子じゃなかったら、かつオタクじゃなかったらウェブサイトなんて作ることはなかったと思います。
現状と、これから
就職して、その数年後に結婚もして…。仕事も結婚生活も落ち着いていましたが、私はスマホの中で細々と引き続き好きな作品の夢小説は書き続けていました。ただ、どこかに公開する程には至らずに自分自身が楽しむためだけに書いていただけ。
しかし数年前、とあるジャンルとの劇的な出会いがあり、今はそのジャンルにどっぷりと浸かってウェブサイトではない場所で夢小説を公開しています。数年ぶりにハマったということもあり、ハマりたての頃の熱量が半端ではなく、頭の中にある妄想をただひたすら書き殴っていました。それに対して「好きです」と言ってもらえることはやはり嬉しいもので、感想のリプライは未だにスマホでスクリーンショットを取っておいてたまに見返しています。
ここで一つ言っておきたいのですが、結婚したところで夢女子は夢女子のままなんですよ。何なら子育てしている夢女子だって普通にいます。私の主観ですが、今の夢女子は高校生〜大学生がメイン層だけど20代〜既婚者も子持ちの方もかなり見かける。夢女子は現実と二次元はあくまで別モノと捉えていることはご理解頂きたいです。
ただ…私は夢小説って大好きなのですが、他人にはもちろん言えない趣味です。旦那にも話したことがない。夢女子って他人に理解されにくいし、二次創作の中でもかなりデリケートと言われています。まずそもそも「二次元キャラクター×自分」って何?って感じだし、世間一般に大っぴらに話せる趣味じゃないので、そこが人とコミュニケーションを取る上で自分の最大の趣味を話せない=自分を曝け出せないことへの歯痒さみたいなものを感じます。
それでも私は夢女子であることをきっとやめられない。夢小説があったから物語を書く楽しさを知ったし、感想を貰うことの喜びも知った。ウェブサイトを作ってHTML技術を習得しPCにも強くなったし(就職時役に立ったスキルでした)、同じ作品を愛する友人とも知り合えた。何なら今は同じく夢小説が好きなネット上の友人もいて、夢妄想を語り合う日々を送っている。
普段は周りから地味な人だなと思われていたとしても、スマホの中では情熱に富んだ文章に満ち溢れた世界がある。その世界に何度も心を救われたし、続きを読ませてくれ…!と思えるほどの素晴らしい小説と出会った時のドキドキはどんな体験にも変え難い。少なくとも私にとっては。
私を形成するにあたってかなりのパーセンテージが夢小説を通したモノが大きいと思う。色んな作品を通じて私は魔法学校の生徒やテニス部のマネージャーになるという疑似体験をしたけど、それも含めて私の青春時代の思い出の一つなんですよね。私の心の中ではあのサイトの連載作品は神作品だったな…って未だに思い返すことがあるほど印象的なものもある。今では殆どそのサイトが閉鎖しちゃっていて読み返せないので自分の心の中で感傷に浸っています。
時々「昔夢小説にハマっててさ〜w」と夢小説を読んでいたことを黒歴史扱いをする人がいるけれど、私にとっては全然黒歴史じゃないんだ…。もちろん堂々と言えるものでもないんだけど、今も現役の夢女子なんで。だから分かる人に分かってもらえればそれで良いかなと、今ではそう思っています。
補足
補足その①
夢女子の中でも”自分”に対する定義がかなりバラバラなんですよね。
全ては書ききれないですが、例えば…
①本当に「自分」として作品を楽しむ、ガチ恋勢・同担拒否タイプ
②自己投影しつつ作品を楽しむタイプ(名前変換はしたりしなかったり)
③自分ではない架空のオリジナルキャラクター(オリ主と呼ばれる)を作り、「キャラ×オリ主」として読むタイプ※そのオリジナルキャラクターには細かい設定や名前が存在する
…とか、ざっくり書きましたけど他にも書ききれない程には定義が細かく存在していまして、そういった意味でも同じ夢女子でも同担で①と③が出会えばバチバチしちゃいますので…。
私は②で、名前変換をして自己投影をするタイプ。自分の名前ではなく、夢小説を読む用の名前があるんですが、あくまで自己投影なので③とは違うというか…。本当に説明が難しいんですよね。別にミョウジ・ナマエとかで読み進めても良いんですけどね。補足その②
夢女子と腐女子は別モノなんでしょ?と思われる方もいるかもしれませんが、夢も腐もどっちも!という方も全然いますのでかなり複雑ではあります。
夢女子の方で腐作品はNGという方もいますし、そこは本当に色々ですね。ちなみに私は周囲が腐女子の方が多かったので腐作品に対して抵抗は無いですが、根本が夢女子なので夢妄想しか出来ないタイプです。