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北海道の記憶

私は20代前半の22か23歳の時
春先からの3ヶ月間
バイクで北海道をほぼ1週した

年齢は覚えてないけど7月の誕生日を
オホーツク海側で迎えたのは覚えてる


125ccのバイクだったので高速は走れない
とりあえず太平洋側から
日本海新潟に行く道のりの確認と
フェリーの予約
着いた苫小牧のユースホステルの予約だけして
それまでに貯めたお金で行った

フェリーの予約の電話をした時のことは
20年以上経った今でも鮮明に覚えている
そのくらいドキドキした




自由気ままな旅だったので
その日に泊まる宿だけ確保して
目的地に向かう

その場所が気に入れば連泊して
ここはちょっとな…という場所の時は
次に移動する
という具合


当時、北海道内には「とほ宿」という
宿のつながりがあって1泊2000円くらいで
泊まれる宿がたくさんあった

それでもお金は減るので
途中キャンプ道具を買って
キャンプ場に泊まったり

宿の手伝いをする形で
宿泊代を安くしてもらったりして
その周辺で遊ぶような感じだった


そんな中、ある湖近くの宿に泊まっていた時
カヌーを体験した私はもっと乗りたい!となりカヌーの乗り方を教えてもらう代わりに
そこのお手伝いをすることになった


そこの代表はカヌー一筋
現役の時は海外でも活動していたみたいで
当時は近隣の川や湖を回る
ツアーや教室をしていた

その代表にはカヌーのことだけでなく、
いろいろ教えてもらったし体験させてもらった

カヌーだけをしてきただけあって
いわゆるクセが強かったけど
筋が通っていた

だから接していてすごいと思うこともあれば
恐さもあった


そんな中、
けっこうなトラウマになる出来事があった


その日もお客さんを率いて川を行くツアーに
出たのだけど途中はぐれてしまった

私は代表と一緒のカヌーに乗っていて
どういう経緯か全く覚えてないけど
私はそのカヌーから降ろされた

ここで待っていろと言う


今思えばなんで??という話だが

なにもつかまるところもない川に
降ろされた私は葦の上に立ち
胸くらいまで浸かって
なんとか沈まないように必死だった



どのくらい待ったのかなんて覚えてない
途方もなく感じられるくらい待った


確か川のすぐ向こうは道路で
車の音は聞こえるのに
このはるかかなたに感じる距離に
絶望的になった記憶がある


一歩間違えば死んでいたんじゃないかと
今にして思う

その記憶が強烈すぎてその後のことは
全く覚えてない



そんなことを体験して
バイクで運転するには肌寒くなってきた頃
地元に帰ってきた


もちろん楽しいこともたくさんあった

宿で意気投合した人たちと違う場所で
合流したり
地元のお祭りに参加したり



私にとって北海道は

楽しかった場所でもあり
強烈なトラウマを体験した場所でもあった



今日、インスタライブで
サカナクションの山口一郎さんの歌を
聴いていた時
北海道繋がりもあって

当時の記憶がよみがえってきて

代表に言われた言葉を久しぶりに思い出した

人を信じるな!

当時の私は何を言ってるのか全く理解できなかったけど

今はわかる

自分を信じろ

もう信じられる自分になっている

そう思っていたら

あの強烈なトラウマが溶けていった

私が過ごしたのは
夏だったのに
なぜか溶けた感じだった