金融・投資レポート ’22.4.24
今週はFRBパウエル議長が5月FOMCで0.5%利上げの可能性を示唆したことやQT(資産圧縮)開始の思惑も相まって世界的に株式が売られました。特に中国は上海のロックダウン影響も重なり5%強の下落、中国H株指数は2009年1月以来の安値水準となりました。
為替はドル高円安、ドル円は2002年5月来の高値を更新しました。日銀は連続の指値オペの実施や現在の積極的な金融緩和を「粘り強く」継続すべきと述べるなど日米の金融政策の格差も再確認した週となりました。ドルインデックスはコロナショック時の20年3月25日水準まで上昇し、対ドルではリスク選好度の低下からオセアニア通貨や仮想通貨が特に売られました。
商品は全体的に弱い展開、中国のロックダウンや経済見通しの下方修正からエネルギーを中心に売られる展開となりました。
金は長期金利の高止まりに対し上値が重い状態、半月ぶりに1930ドル台まで下落し週を終えました。
来週ですが、5/3・5/4に開催のFOMCと連休を睨み手じまいが進むと思われます。今週はパウエル議長が5月FOMCで0.5%の利上げの可能性を示唆したことで週末にかけて株は大きく売られる展開となりました。0.5%の利上げはある程度予想はできているはずなのに強く売られたな、という所感もあり、来週も軟調な動きに終始すると考えています。経済指標も28日の日銀の声明、各国GDP、物価指数などは最低限チェックは必要と思いますが、日銀は緩和継続のスタンスを崩しておりませんし、GDPは遅行指標な上に下目線、物価指数は高く留まるといった形で、特段のサプライズは無さそうです。
また決算発表はGAFAMも含む多くの銘柄が予定されています。今週 IT大手のIBMは市場予想を上回り強い業績見通しを示したものの、ネットフリックスは初の契約者数減少により35%安と、明暗を分ける展開となりました。長期金利の上昇も鑑みるとハイテク・グロースセクターはより銘柄選定に慎重にならざるを得ない状況に見えます。安定のGAFAMにしても、前回減益となったFBは「メタショック」と言われ大きく売られる展開となりましたから、GAFAMだからと安心できるものでもないでしょう。特に電子機器製造やストリーミングサービスをけん引するアップル、サービス・消費状況の反映が如実なアマゾンがどうなるかに注目します。
長期投資においては、ウクライナ情勢による欧州の景気後退懸念、中国のロックダウン、国内の円安影響、世界的な同時金融引き締め観測など、見通しを中立転換できる材料に乏しいと考えます。実際に世界銀行のマルパス総裁はロシアのウクライナ侵攻の影響により、22年の世界の成長率予想を4.1%から3.2%に引き下げましたし、IMF(国際通貨基金)も22年の実質成長率を3.6%と前回1月予想から0.8%下方修正しました。こうしたことを考慮するとスタグフレーションへの移行はますます現実味を帯びた感があります。
また、米国政府も不安定さが浮き彫りとなっており、ウクライナ情勢や中東からの原油の調達に苦戦している様子や、バイデン大統領の支持率低迷も、秋の中間選挙を巡り株価を不安定にする一因となりそうです。とりあえずFOMCを確認するまでは今のポートフォリオは維持でよいと考えています。
<来週の注目指標など>
4/25(月)
豪・NZ休場
<決算> コカ・コーラ
4/26(火)
21:30 米 3月 耐久財受注 [前月比] <前回値:-2.2% 予想:1.0%>
22:00 米 2月 ケース・シラー米住宅価格指数 [前年同月比] <前回値:19.1% 予想:19.2%>
23:00 米 4月 消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード) <前回値:107.2 予想:108>
<決算> アルファベット、マイクロソフト、ゼネラル・エレクトリック、テラダイン、3M、GM、VISA、オムロン、東京エレクトロン、キャノン
4/27(水)
10:30 豪 1-3月期 四半期消費者物価(CPI) [前年同期比] <前回値:3.5% 予想:4.6%>
23:00 週間原油在庫
<決算> フェイスブック、ボーイング、クアルコム、ヴァーレ、エムスリー、信越化学、ルネサス、アドバンテスト、オリエンタルランド、キーエンス
4/28(木)
8:50 国内 3月 鉱工業生産・速報値 [前月比] <前回値:2.0% 予想:0.5%>
12:00 国内 日銀政策金利・声明発表、4-6月期 日銀展望レポート公表
15:30 国内 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
21:00 独 4月 消費者物価指数(CPI、速報値) [前年同月比] <前回値:7.3% 予想:7.2%>
21:30 米 1-3月期 四半期実質国内総生産(GDP、速報値) [前期比年率] <前回値:6.9% 予想:1.0%>
21:30 米 前週分 新規失業保険申請件数 <前回値:18.4万件 予想:18.0万件>
21:30 米 1-3月期 四半期GDP個人消費・速報値 [前期比年率] <前回値:2.5% 予想:3.4%>
<決算> アップル、アマゾン、ツイッター、インテル、キャタピラー、マクドナルド、メルク、フォード、バイドゥ、マスターカード、デンソー、商船三井、日立製作所、村田製作所、ANA、レーザーテック、京セラ
4/29(金)
国内休場
10:30 豪 1-3月期 四半期卸売物価指数(PPI) [前年同期比] <前回値:3.7% 予想:-%>
17:00 独 1-3月期 国内総生産(GDP、速報値) [前年同期比] <前回値:1.8% 予想:3.6%>
18:00 欧 4月 消費者物価指数(HICP、速報値) [前年同月比] <前回値:7.4% 予想:7.5%>
18:00 欧 4月 消費者物価指数(HICPコア指数、速報値) [前年同月比] <前回値:2.9% 予想:3.2%>
18:00 欧 1-3月期 四半期域内総生産(GDP、速報値) [前年同期比] <前回値:4.6% 予想:5.1%>
21:30 米 3月 個人消費支出(PCEデフレーター) [前年同月比] <前回値:6.4% 予想:6.7%>
21:30 米 3月 個人消費支出(PCEコア・デフレーター、食品・エネルギー除く) [前年同月比] <前回値:5.4% 予想:5.3%>
<決算> エクソンモービル、シェブロン、アストラゼネカ
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