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神社の正面に建てられた「この世に実在しない駅」を指し示す「謎の道標」調べて分かったその正体『賀来神社(かくじんじゃ)』
2021/10/27 ヤフーニュース掲載記事
■この記事の好きなポイント■
掲載後、史跡愛好者たちから「視点が鋭いですね!」や「これは珍しい情報ですね!」と続々と反応をいただいたこの記事。そう、独自の視点で記事を掘り起こしたいの、私は。笑
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【プライスレス藤沢】
~藤沢の魅力を再発見~
藤沢市内で見つけたプライスレスな情報シリーズ。93カ所目は藤沢市鵠沼藤ヶ谷にある『賀来神社(かくじんじゃ)』です。
勝海舟の拝書とされている、サーフボードを模した独特の銘板が目を引く『賀来神社』。
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銘板を支える台座には波模様が施されており、まさに「日本のサーフィン発祥の地」とされる鵠沼の雰囲気にぴったりですよね。
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神社の東側にはサーフボード型をした道祖神もあります。
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先ほどの銘板の西側にある階段をあがると、境内が広がります。
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『賀来神社』の御祭神は、武内宿禰命(たけしうちのすくねのみこと)、大雀命(おおささぎのみこと)、岩比売命(いわのひめのみこと)、伊邪穂別命(いざほわけのみこと)、墨江中津命(すみのえなかつのみこと)、稲荷大神(いなりのおおかみ)。
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境内に掲示された「賀来神社の由来とご御神霊」を要約すると…
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賀来神社は、869年に宇佐八幡宮からの御分霊を受けて大分県で創建され、江戸時代には松平近濤が江戸屋敷に祀ったと伝えられています。明治時代に入ると、畑も人家もない荒野の鵠沼を住宅地に開発した伊東将行が鵠沼に移し、1905年から地域の郷社となりました。武内宿禰や大国主命など、家業繁栄や厄除けのご利益がある神々が祀られています。
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といった内容が記されています。境内の中央には、巨大な「鵠沼海岸別荘地開發記念碑」が建てられており...
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先ほどの「賀来神社の由来とご御神霊」にもある通り、この場所が明治期に住宅地開発(日本で初めて計画的に開発された別荘地と言われる「鵠沼海岸別荘地」)されたことを今に伝えています。もう少し近づいて写真を撮りたいところですが…
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神社内にはこのような注意書きの看板や札がちらほら。少々注意が必要です。
そんな『鵠沼賀来神社』ですが、神社を囲む石垣のところに、注目すべき道標(石柱)が建っています。それがこちら。
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「江之島電停前ヲ経テ」「藤ヶ谷橋ヲ経テ海岸」?(「藤ヶ谷橋」なんていう橋、あったかな...)
それぞれ文字の上には、方角を指す?矢印も彫られています。反対側にまわると、「小田急鵠沼本町(驛/駅)」(裏側には「昭和三年御大典記念」と彫られているのだとか)の文字が。「鵠沼本町駅」とは、一体どこにある駅なのでしょうか(藤沢本町駅はありますが...)。
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実はこの道標、「昭和三年御大典記念」と刻まれているように、昭和3年に建てられたもの。小田急江ノ島線の開通が昭和4年なので、その前に作られたものということになります。
この背景から推測すると、道標に記されている駅名は「将来このような名前の駅ができるだろう」という想定で、仮に設置されたものと考えられますよね。フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia/外部リンク)』によると、「鵠沼本町駅」と書かれた道標は2か所に残されているのだとか(もう1つの場所は、果たしてどこにあるのでしょうか…)。
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『賀来神社』の正面には、天井に“鵠(白鳥)”のデザインが施された「鵠沼駅(江ノ電)」があります。地域色豊かな鵠沼藤ヶ谷エリアを、ぜひ散策してみませんか?
基本情報
『鵠沼賀来神社』
住所:藤沢市鵠沼藤ヶ谷3-10-19
※駐車場は無いため、行かれる際は公共交通機関をご利用ください。