見出し画像

「犬の心 怪奇な物語」ミハイル・ブルガーコフ著 を読んで

 図書館の新刊コーナーで、かわいい犬の写真に惹かれて借りた本。実は、レーニンの死から一年、スターリン統治下に書かれ、ペレストロイカの1987年まで発禁で、現在はロシアの高校生の必読作品となっている、と本の後ろに書いてあった。まぁいいやとそのまま受付で手続きして自宅へ。

 この本の半分が訳注になっていて、それが売りみたいだったのだが、白状すると訳注はすっとばして本文を、じっくり読ませていただいた。
 訳も分かりやすく書いてあったし、わからない人名や単語もちょっとはあったものの、無視してそのまま読み通したが、普通の小説としては、十分楽しめる内容だった。

 犬を人に改造するということと、その後、犬がにわか共産主義者になってしまうことなど、これまた本の裏に書いてあって、どう決着をつけていくのか、心配半分、怖いもの見たさで最後まで読み切った。
 ネタバレは書かないけれど、大丈夫、たぶん最後まで安心して読めるラストだった。

 本との出会いというのもある意味ご縁で、今のこの時代に発禁だったロシアの小説を日本の地方都市に住む私が読むことの不思議を感じた。そして、何の色眼鏡もなく読んでしまったことに、ある種、驚いてしまった。

 色んな心情や、社会情勢があるけれど、本はきっと不滅だと思う。
大好きな村上春樹さんの本が発禁になっている国もあるそうだけれど、大丈夫、本はなくならないと思う。

 この本も日本でも何度か翻訳されて発売されているんだそうだ。

 今回はあまり小難しいことは考えずに、純粋に小説の内容を敢えて楽しんだことを書いて終わりにしたい。