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「車いす犬ラッキー 捨てられた命と生きる」 小林照幸 著を読んで

 図書館で前から気になっていたノンフィクションの本をようやく借りて読むことができた。

舞台は奄美諸島の徳之島で、当時獣医もいない中、子供を育て上げた夫婦が、野犬を飼う話である。

最初の寅は、16歳まで長生きしている。獣医もいないから、もちろん予防薬もないため、散歩から帰ってくると、ダニを取るのが日課。

ガレージに寝床を作っているのだが、おそらくは犬が安心して過ごせるスペースがあるのだろう。

また公園管理の仕事のために犬を連れていくから、犬たちも自由にたくさん運動することができる。

ラッキーは寅がまだ存命中に野犬の子犬として保護されて、一頭だけ生き残った犬なのだが、自由に話している間に交通事故にあって、沖縄に住む息子さんあてにクレートに入れてフェリーで送り、大手術を受けて、なんとか神経はつながる。

預けている間も、車いすについて調べて、その後の生活もちゃんと考えているのだ。

預けた先の息子さん夫婦も犬猫を飼っていて、ラッキーのことを本当によくみてくれている。

そうした命のリレーを通じ、ラッキーは新しい車いすを手に入れて、毎年タイヤを交換するくらいに元気に生活できるようになる。
寅は天寿を全うするが、島には獣医も来て、ラッキーも予防薬を服用できるようになるのだ。

そうした犬たちの話と、飼い主が電気屋、すし屋、カラオケ屋、そして公園の管理人と、いろいろな事業や仕事にかかわる姿も丁寧に書かれていて面白い。

子供が手から離れて、犬を飼うという人は結構いるのではないか。うちは同居の義理の両親が相次いで亡くなったのが犬を飼うきっかけとなった。

本書でも、車いすのラッキーと元気に生きていこうと思った矢先に、飼い主の男性に胃がんが見つかる。
私も今から9年前に皮膚がんの稀少がんになり、犬は6歳、目の前が真っ暗になったけれど、今はがんセンターも卒業して元気に過ごしている。

愛犬も15歳半、年なりにがたはきているものの、元気に日々を楽しんでいる。

自分と犬の姿と、重ねていろいろ考えさせられる本だった。
愛犬も、薬が欠かせなくなってきたので、ラッキーの島にも獣医が来て、本当に良かったと思う。

それにしても寅の16歳はすごい。飼い主さんがしっかり注意して飼っていたおかげだよね。

やっぱり犬の本は楽しい。写真の車いすのラッキーと飼い主さんもとても楽しそうなところがいい。