10/19 りなみゅ→Vol.2
リナワールドにライブを観に行く。
午後のトップバッターはシンガーソングライターの佐薙翔さん。(お名前からXに飛びます)
Youtubeで歌を聴いたことはあったけれど、生は全然違った。
まず黒いギターに黒一色の服がかっこいい。
角がない声で、染み入るような歌声だった。
かと思えば早いテンポの曲では力強さもあり、これがシンガーソングライター! と感動した。
ギターもめちゃめちゃうまい。
音が一音、一音ちゃんとぴったり重なっているのだ。音をなくして、ギターをおさえてジャッジャッってやるやつもかっこいい。
ここまでどのくらい練習してきたのだろうと思うと、ぐっとなった。
前日もライブだから声が出るか不安とか言ってたのに全然出てるやないか! と思った。
でもご本人的にはもっと出せたのかもしれない。それならばまたききにいきたい。
M Cでもちゃんと笑いをとっていた。
途中、「目をつむってください」
と言われ、目を瞑ったまま佐薙さんのオリジナル曲をきいた。
「公園のベンチに座っているような気持ちで」
みたいなことを言われていたので、そのようなイメージをつくる。
ベンチで私は一人だった。木陰はカップルが占領しているから、日の当たるあっつい方のベンチ。顎から滴る汗。
その中に佐薙さんがいた。日光の暑さを包み込んで自分のものにしちゃってた。
佐薙さんの前では、全て「かど」が取れてしまうみたい。
私もまんまるになって、じっとステージを見ていた。
コロロ、と心が鳴って、私は「そうだね」と私自身に言った。
何がなのかはわからない。でも、佐薙さんの歌をきいている時に、私が私にかけたい言葉は「そうだね」
なのだった。
楽譜にトンボがとまった。
一瞬だったけれど、秋が切り取られたみたいで面白かった。
トンボはその後も何匹か歌っている佐薙さんの周りをぐるぐる飛んでいて、歌っているご本人は気が散るかもしれないけれど、トンボが舞うなかで歌う佐薙さんは、繊細さをたくましさで内包したような、力強さを持っているように見えた。
トンボは蛹にはならない。
佐薙さんは、まだ蛹の中なんだろうか。それとも飛べたんだろうか。今度きいてみようと思う。
最後の曲はミスチルの「終わりなき旅」という曲だった。(後から曲名を佐薙さんにきいた)
佐薙さん自身、とても思い入れがある曲だという。そのせいか佐薙さんの魂が特にこもっているように感じて泣いてしまった。
佐薙さんに共感、というか、自分の感情は誰にも渡してはいけない大切なものだと思っているけれど、佐薙さんがこの歌を初めてきいた時に近い感情を私は抱いたのだと思う。
佐薙さん、思いは多分、私に届きました。
黒光りするギターを引っ提げて真っ黒な洋服で、汗を散らしながら歌う佐薙さんはとってもかっこよかった。言葉に魂がのっていた。
次はシンガーのナニカノコケイさんだった。(お名前からXに飛びます)
宮城の塩釜から五時の電車に乗ってやってきてくれたという。
声優を目指してらして、目がキラッキラだった。
とにかく声量があって、ステージの左右に二台ずつビニールがかけられたスピーカーがあったのだが、途中ビリビリビリッと電撃をくらったように振動していた。
声が伸びる伸びる伸びる。ついでに体が後ろへ反りまくる。背筋が心配になった。
私はその様子を見て、歌をきいてトルコアイスを思い出した。
アイスみたいに伸びる歌と体もそうだし、トルコのおじさんの全然アイスを渡してくれないアレである。
でもあれはお客さんに楽しんでもらえるようにしているわけで。そうしたら、サービス精神旺盛なナニカノさんにますます似ている気がした。
M Cでは慣れた感じで笑いをとり、虹が出てきた時の「願いが届いたんですかね!」には笑ってしまった。
お子さんズが最前列に座ったら、某遊園地のキャラクターの被り物をしたりと、とにかく私たちを楽しませようという意思がはっきりと感じられた。
あと、これは佐薙さんにも言えることなのだが、歌うだけでも私は恥ずかしいのに、それを人前でできるってすごい勇気だと思う。
ナニカノさんは曲ごとに歌声が変わって、歌声カメレオンだと思った。ナニカノさんの紹介の時に「七色の歌声」と紹介があったが、七色どころではなく、たくさんの色と、それも濃さ、淡さがあった。それらを完全に統括していて、さらに観客を盛り上がらせようとしている。すごい人だなあと思った。
何よりご自身がとても楽しんでらっしゃるように見えた。最初は楽譜の後ろにいたのに、後半は楽譜の前に出てきて、ほぼ踊りながら歌を歌っていた。
ぜひ第二の山寺宏一になってほしい。
どこからあの元気は湧いてくるのだろう。太陽みたいな人だなと思った。嫌なことがあってぐじぐじしていても、ナニカノさんがいれば、ぱあっと照らしてくれる。そんな存在。
歌いながらパフォーマンスなんて私には絶対にできないので、(佐薙さんのギターを弾きながら歌うことも私にはできないが)尊敬する。
ワンピースとかアラジンの曲とかを歌ってくださるたびに
(子供達〜〜きてくれ〜〜)
とずっと願っていた。そうしたら最後の方で何人かのお子様が現れ、私は心の中でガッツポーズをした。
すごいなと思ったのは、「フレンド・ライク・ミー」で、声がいくつもあったこと。
曲ごとに声が違うのはもちろん、一曲の中でも歌声が変わるのだ。
アラジンの声がちょっと高くなる部分も歌えていたし、きいていてわくわくした。
「アリ王子のお通り」に関しては
「実写版の方です」
と言っていらした。
すごい。なんとか版とかあるんだ。と自分の無知を知る。
きいてみたら結構重厚なミュージックなのだが、ナニカノさんはそれに絶対に負けない声量で歌っていた。ナニカノさんの勝ちである。
観客の心を躍らせるビートだった。
佐薙さんも、ナニカノさんも違う人間で、それをきいている人も違う人間だ、と五感で感じた。
歌い手が伝えたいことを100%受け取ることは難しいかもしれないけれど、お二人とも歌に魂が込められていたことはガウガウ感じた。
またどこかでききたいと思った。