戦前のブルースマンのギター ステラギター
ステラ(Stella)
50才に入ってから、古いギターを何本か手に入れているけど、今回はステラ(Stella)というアコースティックギターを紹介したい。
ちなみパーラータイプの程度の良いものは、高値で取引されている。それでもギブソンなどのビンテージよりはかなり安い。
ステラはアメリカ製の1920年代からあるビンテージギター。日本へ正式に輸入された記録はない。
ステラ(Stella)というのは、Oscar Schmidtという多くの楽器を手がけていた自社ブランドの一つである。
調べると、1920年代頃からアメリカで主に通信販売向けに楽器流通を行なっていた会社で、当時のエントリーモデル。安価で手に入れやすいギターだったので、多くの貧しいブルースマン達が愛用した。
1930年代後半から40年初頭にかけてライバル会社のハーモニーに買収されてステラ/ハーモニー(Stella/Harmony)という名前のブランドとなっている。
ステラギター、私はオークションでジャンク品として購入した。
単板ギターだが、材質、型番は不明。アメリカのギターサイトを探ってようやく判明した。
(単板とはギターの材料が合板でないこと、1枚板で作られているギター、今や単板で作られるギターは高級品しかない)
型番 STELLA H943 HARMONY 1969年製
スケールは 650mm ナット幅は43mm トップ材はパーチ材 サイド・バック (同じ)
手に入れたが、ともかく汚い。弾ける状態ではなかった。ネックは太く、フィンガーボードはガットギターのように広く真っ平らだった。ただ致命的な壊れはない。取りあえず汚れを取り磨いていく。
サドルが無かったので、適当なサドルを付けて弦を張ると、弦高が5mmもある。
スチールギターか・・、そんなわけはない。
ネックの反りを調整するスラストロッドがある。取りあえず一杯まで締め込み、サドルを極限まで低くした。弦高が12フレット6弦で3mm以下となった。
これで弾けるぞ。
また問題
このギター、典型的なラダーブレーシングだが、サウンドホールをよく覗くとラダーが1本消えている。その痕跡はあった。急遽適当な木でブレーシングを作ってタイボンドで接着する。
ラダーブレーシングとはギターの板の補強と鳴りを決める重要な部分だ。
今のギターは1970年頃から木をクロスするXブレーシングが主流となっている。
このギターは単板の故か、クラックが多くあり、パーチ材(床材、家具に使う木材)なので大胆にタイボンドを流し込む。楽器とか木材の接着には一番強固なボンドだ。
ピックガードも消えていたので、自作してみた。なんとか完成。
1970年製の春日楽器のギターと一緒に、向かって左側の春日も、ラダーブレーシングだが、更に特殊だ。(日本式)
弾きこんでみる
購入して10年経った。更にクラックが沢山入ったが、音は何とも言えないチープでノスタルジック。ばらばらに鐵弦が鳴っている。結構好きな音。
この型番ではないが、レッドツェッペリンのジミー・ペイジがステラギター/ハーモニー Sovereign H1260で、代表曲『天国への階段』のイントロを弾いている。これは伝説となっている。(表題の写真 ステラを弾くジミー・ページ)
チューニングの精度が悪いので、ペッグを交換する。
音、実際の鳴り
これは実機です。
アメリカのおっさんが、同じギターを弾いている。ばらばらの鐵弦の音がいい。倍音とかしない感じだ。ジョン・レノンが持っていたギターとか話ている。