Buy nowを観る「世界は物欲であふれている」
「世界はほしいモノにあふれてる」
NHKの人気番組である。世界の名品を紹介する紀行番組だ。NHKに豊潤な資金とネットワークがあるので作れる番組。
この番組では世界のステキなモノが紹介されている。そして地域の紹介もある。紀行番組は得意のNHKだから。歴史的背景も理解出来て、モノがより素晴らしく見える。強いて言えば美術番組を見ている感覚になる。
モノへのこだわりと物欲とは違う
「世界はほしいモノにあふれてる」は、人の物欲を刺激する番組ではあるが、モノの本質、本来の価値も説明している。その点はいい番組だと思う。モノが人を選ぶことがわかる。
次はNetflixで最近配信された「Buy now」
これはステキなモノも、そうでないモノに対しても、人々に購買衝動を起こさせる。そのカラクリを説明している。今や、それが企業販促のデフォルトとなっているようだ。買い物好きにとっては恐ろしい内容のドキュメンタリーとなっている。
「世界は物欲であふれている」
Buy now 今すぐ購入: 購買意欲はこうして操られる – Netflixプレゼン。
顧客に絶えず消費を続けさせるために、企業が行う販売戦略に鋭く切り込む社会派ドキュメンタリー。この策略が私たちの暮らしと世界にもたらしている影響と問題点を突き付けている。
成功した企業のえげつない話をしていく。一部は内部告発もある。映画では裏の企業戦略として以下を提案している。
1.買わせる
クリック一つで、何でも即買えるようにする。
主要なネット販売は簡単決済。電子マネーなども使える。とにかく流行を作り出して、新商品を売り続ける。そこにはメディアもインフルエンサーも絡む。
2.捨てさせる
製品を壊れるようにする。
電機製品など動作保証期間が切れると壊れる。コンデンサーやトランス、最近はモールドした電池が使えなくなる。パソコンも同様だ。
修理不可能にする。ちなみに昔のデスクトップPCは修理できた。家電、車、バイク、自転車も修理出来た。今はパーツをモールドしてブラックボックス化している。自転車ロードバイクのクランクBBもそんな感じだ。工場でしか組み立てられない。
衣類、靴、鞄、そんなものは流行が終われば捨てる。どこかへ寄付しても結局ゴミになる現実がある。
食料は賞味期限を設けどんどん破棄する。食糧自給率とか忘れていい。
本当に酷い状況だ。
3.うそをつけ
リサイクルマークは形だけだった。
実際リサイクルは出来ない、されてないモノが大半だ。リサイクルマークは形だけで、結局ゴミはどこかで捨てられる。プラスチック製品はほとんどリサイクルされてない。日本みたいに完全焼却する方が、まだましだと分かる。
4.真実を隠せ
産業廃棄物、電子機器は全てが危険な廃棄物だ。それを工場できちんと処理しなくてはならない。だが実際にはアジアの何処かで人が手で分解している。そして世界を汚染させている。
寄付した衣類、靴、本当はどうなったかを隠す。実はそんなに中古衣類も靴も必要ない。最後はアフリカなどに大量に運び込まれて破棄されている。
5.洗脳しろ
新製品が素晴らしいと信じさせる。そんな信者を作る。そして企業は神となる。環境にいいって聞けば、古いモノを捨てて買う。
自転車のスポーツ業界を40年近く見ているが、上の企業戦略そのものだ。
カーボンフレーム、ディスクブレーキ・・・。
顧客はレミングスの行進を続ける。ここからは私の妄想へ入る。
人間の出すゴミ=CO2排出
太陽光発電、EV、環境に優しい家、省エネ家電、CO2削減を掲げてサステナブルな商品を多量に生産する。そして今あるモノを捨てまくる生活が続く。CO2増加=購入+捨てる。このように消費活動の持続性は保たれる。
さて、人間が生きることで出るゴミはどれくらいなのだろう。
人間の出すゴミ=CO2だ。この量を少し換算してみる。
日本のゴミ総排出量は4,274万トン(東京ドーム約115杯分)、
1人1日当たりのごみ排出量は918グラム。 環境庁によると一般廃棄物からでる二酸化炭素量は0.239kgであり、これを単純に当てはめると1人1年間当りの量は、0.85×0.239×365=74.2kgとなる。
ゴミになった物の製造時における二酸化炭素量を概算すると1人1年当りの二酸化炭素量を計算すると0.291×365=106kgとなる。
人が作られたモノ買う+モノを捨てる=180kgのCO21を排出する・・らしい。
従来型ガソリン自動車の走行時(エネルギー製造・供給段階、走行 段階)の GHG 排出量は、自動車 1 台 が1年20,000km 走行で 3.38t-CO2、次世代自動車と 次世代自動車は 1.0~2.0t-CO2 となっている。
買う+捨てるによるCO2排出量は、10人で1トン/年。100人で10トン/年となる。日本の人口 1億2300万人。もの凄いCO2の排出量だ。
この計算が正しいかは分からないけど、CO2削減と言いいながらモノを作り、破棄している限り、ガソリン車と同じようにCO2を出し続けることになる。EV車に買い替えることでも、相当の量のCO2を出すことになる。
つまり、CO2削減において、「Buy Now」を何とかしなければいけない。
建築で言えば、新しいマンション、商業ビル、スクラップ・アンド・ビルドで街を綺麗にコンクリートで固める。そしてエアコンを使いまくった結果のヒートアイランド。これを防止するため、さらに省エネ設備を売りまくる。「世界は矛盾であふれている」