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1年半床屋へ行かず髪を伸ばした。ロン毛顛末記
歳を取ると髪の毛があるだけでもありがたい。
では、この歳で髪を伸ばすとどうなるか、その顛末を書いてみた。
ロン毛タイム
2023年の5月10日から2024年の11月27日まで床屋へ行かず髪を伸ばしていた。つまり68才の間はロン毛だったことになる。
会社リアタイヤ後、何故か髭を伸ばすオッサンは多いが、髪の毛を伸ばすオッサンは少ない。どちらかと言えば、薄毛対策で短髪で染める人が多い。
何故髪を伸ばしたのか
その理由を説明したい。まずは床屋へ行く暇が無かった。
「仕事してないから暇だろう」
その通りだけど、私は都心に住んでいない。自宅から近くの床屋まで3キロもある。だから行くのが億劫になってしまう。
仕事をしていた頃は、電車やバスに頻繁に乗っていたので、交通費も会社持ち、通勤時などの空き時間に行くことが出来た。しかし、この隠遁生活だとそういう時間がない。あえて行くのは面倒くさくなる。ちなみに今、床屋と本屋は非常に少なくなっている。
また、社会、赤の他人が蠢く世界が遠のくと、気を使う必要もないので、床屋の優先順位がどんどん下がっていく。
2023年12月
髪がロン毛に見える程度伸びてきた頃に観た映画「ブレット・トレイン」Netflix。がある。
これは伊坂幸太郎の小説「マリアビートル」が原作だ。私はデビュー当時から伊坂幸太郎の仙台を舞台とした小説を読んでいて、ファンでもあった。
そしてハリウッドスターのブラッド・ピットも、映画「リバー・ランズ・スルー・イット」からのファンであった。主演の映画「ファイトクラブ」は原作も読んでいるが、これは凄い作品だった。
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そして「ブレット・トレイン」で、オッサンになってもロン毛のブラッド・ピットは格好良かった。
「いいねぇ、これだ!」と言う私、妻は聞いてないふりをしていた。
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「PERFECT DAYS」を観る。
同時期映画館へも行く。ここ数年、地元の駅前の再開発で映画館が出来た。行きやすいし、空いている。「PERFECT DAYS」が評判なので観に行った。
そして役所広司を見て、「俺って、こんな感じ?」
一緒に映画を観ていた妻は言う、
「骨格が違います。敢えて言えば柄本時生側です」
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私のロン毛ヒストリー
しかし、遙かなる昔、1970年代、私は中3の夏から髪を伸ばしていた。この時代坊主頭がデフォルトの中学校も多かった。当然、私は生活指導の鬼瓦のような体育教師に呼び出された。
私は当時サッカー部の部長だった。そして中2の時、世田谷区の中学校の陸上競技大会で、400mリレーの選手にもなった。つまりバリバリのスポーツ少年で、ゲームセンターにたむろす不良とはほど遠い生活をしていた。ただ弱点は友達が不良だった。
「グループサウンズのマネか?」教師が聞く
「いいえ、違います、ジョージ・ ベスト マンチェスター・ユナイテッドのジョージベストを目指しています」
「誰?」
「プロサッカー選手です。センターフォワード」
「はぁぁ」
この体育教師は野球部の顧問なので、サッカーを全く知らない。
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私はそのまま、中3の夏から卒業まで長髪で過ごしたが、この風貌のため、地元の繁華街で、その当時頻繁にあったガキの万引き組織の仲間だと思われ補導された。駅前の沢山のギャラリーの前、パトカーで連行された。夏休みなので、この噂はそれほど広がらなくってラッキーだった。
警察署では完全に犯人扱いで、両手全ての指紋を取られた。
当時の容姿
勉強を全くしておらず、テレビゲームもない時代なので、眼鏡はかけていない。髪は少し長い程度、夏なので半袖の学校指定ではない白のシャツ、下着はDVDの丸首、
細いベルトとマンボウズボン(裾を絞ったパンツで、長崎屋で作ってもらった)、靴はスリポンの革靴。当時の中坊は普通に運動靴だった。
そして、後ろポケットには扇子を入れていた。
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高校になると、もう止まらない。ロックはロン毛だ。一方アイパー、パンチ派も多かった。サッカー部では、春の新人戦前にキーパーと衝突し、骨盤にヒビが入り休部。出遅れたので辞めた。その後バイクに心頭して、ホンダのナナハンを手に入れ、土曜の夜の遊びにデビューした。当時が一番のロン毛だった。
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2024年11月 ラストロン毛
さて、今年の冬からスイム練習を再開予定だ。そうなるとロン毛は、スイム全後の処理が面倒くさい。切ることにする。
これは表向きの理由で、実は、12月1日にライブを開催したのだけど、そこで共演するデュオバンドのオッサンがロン毛で、それもきちんとポニーテールして、ハンチングも被って清潔感溢れる感じで決まっていた。
そのバンドと事前にスタジオでセッションしたのだが、私のロン毛が乞食っぽく見えてしまった。このままま同じ舞台に立つと比較される。お客さんは女性も多いので、これはまずい。私は焦って本番3日前に床屋へ行った。
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久しぶりに床屋へ行く。私の髪を見た理容師のオッサンは困惑していた。
「あのぉ、どうします」
「短く切ってください」
「いいですけど、一体どうしたのですか?」
「色々諸事情で」勝手に想像してもらった。
「今度は早めに来てくださいね」ごもっともです。
もう二度と伸ばさない。ラストロン毛でした。
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