【1000字書評】鈴木彩可『ひとんちのかぞく』
【概要】
北海道のラジオ曲、FM北海道(AIR-G')のパーソナリティをされている方の本です。ずっと本を出版してみたかったとのこと。「ひとんちの」というタイトルはラフな感じで読んでもらいたいという思いがこもっているとのこと。確かにこの言葉はどこか無邪気で、愛せる感じがありますね。
章立てはご自身の話から妹、おばあちゃん、お父さん、長女、次女、お母さん、夫の8名が登場します。ポケットサイズの本なので、すぐに読み終えることができます。
【感想】
AIR-G'を聴いていたのは不登校だった中学時代。北川久仁子さんがお昼に話していた記憶があり、何度かリクエストしたこともあります。孤立しているとき、ラジオから元気な声が聞こえることが唯一の救いでした。
社会人になってからラジオを聴く機会は運転するとき程度で、お恥ずかしながら鈴木さんのことは存じ上げておりませんでした(お声は多分聴いたことがあるはず)。YouTubeで話しているところを見させていただきましたが、元気いっぱいで健康的な方という印象でした。
本書を読んで感じたのは、まず章立てがありがちな父、母、子、祖母、のような家族図(ジェノグラム)形式になっていないこと。鈴木さんにとっての家族は、序列付けされない、皆大事な存在なんだなと感じました。
ラジオパーソナリティという職業柄、とても個性的な方々が登場するのかなと思っていましたが、家族のみんなは、誤解を恐れずに言えば「普通」です。でもどこか個性を持っていていて、その描写をされる鈴木さんの視点がとてもその方の個性をさらに際立たせ、ひとんちの家族なのにもかかわらず面白く、愛おしくなりました。
特に63ページの4歳!のお子さんが発した言葉は、どこぞのえらい社長さんよりも核心をついていて、わたし自身襟を正してしまいました。
鈴木さんは普段は元気いっぱいなのだけれど、文章の中から垣間見える繊細な心や感情に正直になれるところに人間味を感じました。
忙しい日々を送っている人が、本書で一度立ち止まり、家族のことを考えたくなる本です。実際わたしも、妻の祖母に会いに行きたいな。とか、母や妹は元気かな。とか、父に手を合わせに行かないとな。とか色々なことを考えさせられました。会いたいなあ、家族。
また付録のステッカーもとても可愛いです。PCに貼っていこうと思っています。
今日は時間があるので鈴木さんの番組「Be My Radio」を聴いてみたいと思います。
ローラーブレード、乗ったなあ・・・。
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