【第14話】昔の生活スタイル 『Vol.1 井戸水と囲炉裏』
1960年代、僕の田舎では各家々に井戸があり、生活に必要な水はすべて井戸水で賄っていた。中には何軒かで1つの井戸を共有している家もあった。井戸の深さにもよるが、ロープのそれぞれの端に水を汲み上げる桶が取り付けられていて、井戸の上部に取り付けられた滑車にロープを渡し、片方の桶を井戸水の中まで落とし入れ、桶に水が溜まるともう片方の空の桶側のロープを下に引き、水を汲み上げる。井戸水の水位が低いと、水汲みに必要なロープも水位に合わせて長くなるが、水は自然に湧くので、基本的には水位は常に一定に保たれている。そして、まだ冷蔵庫がない時代でも、真夏は冷たい水を飲むことができたし、逆に真冬は井戸水は温かく感じられた。子供の頃の僕にはそれがとても不思議だった。友達の家の井戸には、釣ってきて入れられたハヤ、カエル、沢ガニなどが住んでいた。
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〜シタール奏者伊藤公朗人生の反省文〜
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