【1】この病気にまつわる最初の記憶
ゆっくり、ぼちぼち書き始めてみます。
カルマン症候群にまつわる最初の記憶。
それは、『匂い』についてでした。
皆さんにとっては当たり前の『嗅覚』
それがわたしには生まれつきありませんでした。
まだ幼稚園の頃。
わたしは、自分が他の人とは違うことに気づきました。
きっかけなどは覚えてないのですが。
でも、まだ見ていない夕食の献立を当てる姉や、可愛いお花に顔をくっつけるお友達を見て不思議な感覚でした。
匂いが分からないことが分かった時、母親に伝えました。
「これはわかる?」「これは?」と不安げに様々な物を顔に近づけられているうちに、“匂いが分からないことはお母さんを悲しませることなのだ”と察しました。
わたしはレモンの入浴剤が入ったお湯に浸かりながら「このお風呂、レモンティーみたいな感じがする」と伝えました。
入浴剤の袋を見ただけなのですが、見ていないふりをしました。
すごくほっとした母の顔を見て、安心とモヤモヤが残りました。
後日、結局は匂いが分からないことを伝えたのですが。
味覚はある私に嗅覚がないことがいまいち伝わらなかったようでした。
(味覚は嗅覚障害とは別の話のようで、ちゃんとあるんです)
信じたくない気持ちと、匂いがわかっている風な発言をするわたしの姿を見ているせいもあったのかも。
私にとって、病気にまつわる最初の記憶です。