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シロツメクサの季節がくると(672文字)

今の季節、公園などでシロツメクサをよく見かける。ジョギング途中でも白くて可愛らしい花が目立つようになった。

♪  シロツメクサの花が咲いたら
 さあ、行こう、ラスカル〜

昔見ていたアニメ、『あらいぐまラスカル』の主題歌を思い出す。その頃は、シロツメクサがどんな花かも分からずに口ずさんでいた。

一方で、子供の頃を過ごした故郷では、今よりもいわゆる『原っぱ』があちらこちらにたくさんあって、子供たちは誰の所有する土地であるかなんてことは考えもせずに、『原っぱ』で自由に走り回ったり、花を摘んだりして遊んだ。当時はそういうことが許される寛容さがあったように思う。そして、そこで摘んでは花冠を作っていた白い花が、実はシロツメクサであったというのは大きくなってから知ったことだった。

それに気づいた時は、二つの記憶がリンクして繋がったようで、なんだか嬉しかった。どちらの記憶も、思い出すと妙に懐かしく感じる。

草の匂いに包まれて指先を汚しながら作り上げた花冠は、完成した喜びとともに五感的にその場景が記憶に刻まれた。そして、大人になっても心がキュンとなるような忘れがたい思い出となった。

匂い。感触。響きやメロディー。暑さ、寒さ。風の心地よさ。脳で覚えている記憶だけではなく身体が覚えている思い出は、歳を重ねるにつれて名前や単語が出て来ないことが増えたとしても、忘れることはない。今の時代、どれだけの子供たちが花冠を作って遊ぶのか分からないが、このような経験を通して、たくさんの体験的思い出を作って欲しいと思う。シロツメクサを見ると思わずそんな老婆心が頭をもたげる。

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